木材の浮造(うづくり)仕上げとは|メリット・デメリットとメンテナンス方法を解説

木目の風合いや立体感を表現できるのが「浮造(うづくり)」仕上げです。
ただし、採用する前に知っておいていただきたいデメリットもあるので注意しましょう。
今回は、木材の「浮造(うづくり)仕上げ」について、加工方法やメリット・デメリット、施工後のメンテナンス方法を“木材のプロ”が詳しく解説します。
1947年創業の恩加島木材がおすすめする内装建材も紹介しますので、ぜひ最後までごらんください。
● 浮造(うづくり)仕上げは無垢材と突板化粧板に採用できますが、コスト面や施工性、品質安定性の観点から突板化粧板がおすすめです。
● 恩加島木材は国内外から良質な突板を仕入れ、レパートリー豊富で高品質な突板化粧板を製造販売しております。
Contents
浮造仕上げとは

浮造仕上げとは、木材の表面をブラシなどで擦って柔らかい早材(春材)だけを磨き落とし、晩材(秋材)だけ際立たせる加工を指します。

▶︎おすすめコラム:“早材”と“晩材”の違い|年輪・木目が生まれるメカニズムを木材のプロが解説
主に、杉や桧、桐などの柔らかい針葉樹に施され、木目の凹凸が強調されて独特な風合いを生み出します。
工場では刈萱(かるかや)と呼ばれるブラシや、ホイールサンダーなどの機材で表面を細かく研磨して仕上げますが、現場加工する場合もあります。
▶︎おすすめコラム:木目を活かす木材の表面仕上げとは?塗装や加工の種類を紹介
浮造仕上げのメリット

浮造仕上げは木目を生かしたインテリアデザインに多く採用されますが、その背景にはデザイン面や機能面におけるメリットがあります。
- 表面に凹凸ができて立体的な仕上がりになる
- 細かい凹凸により、素足で歩いてもサラッと心地よく、滑りにくい
- 細かい凹凸により、平滑な材料よりも光が反射しにくい
- 細かいスリきずや凹み、汚れが目立ちにくい
このような観点から、主に室内の天井・床・壁に浮造仕上げの無垢材や化粧板が採用されます。
▶︎おすすめコラム:突板・挽板・無垢材それぞれの違いとは?どれがおすすめ?特性から選び方まで徹底解説
浮造仕上げのデメリット

浮造仕上げの材料には採用する前に知っておいていただきたいデメリットもあるので注意しましょう。
柔らかい樹種はキズ・凹みがつきやすい
浮造加工は柔らかい樹種でなければきれいに仕上がりません。
つまり、浮造仕上げの木材はキズや凹みがつきやすいということです。
また、分厚い塗膜は浮造の繊細な印象を損ねる可能性もあります。
そのため、キズや凹みが気になる場合は、浮造仕上げの材料を床ではなく天井など人の手に触れにくく物がぶつかりにくい壁へ採用するプランがおすすめです。
汚れやすく掃除しにくい
浮造仕上げは表面に細かい凹凸ができるため、汚れが引っかかりやすい点は否めません。
また、ついた汚れを拭き取りにくいケースもあるので注意しましょう。
汚れを落としにくくても無塗装品は水拭きすると変形・変色する可能性があります。
ワックスがけやウレタン塗装で耐汚性を高めることも可能ですが、浮造仕上げ独特の風合いは損なわれます。
不燃材料が限られる
内装制限など、仕上げ材に防火材料(不燃・準不燃・難燃材料)を採用する必要がある場合、浮造仕上げの材料は原則として「突板化粧板」に限定されます。
▶︎おすすめコラム:建築基準法で定められた“内装制限”とは? 概略や緩和から「木」を取り入れる方法まで詳しく解説
不燃木材で表面が浮造仕上げの製品は限られるので注意しましょう。
浮造(うづくり)・ウェーブ・オビノコ・なぐりのテクスチャーラインナップがございますので、個性的な内装に仕上げたい方は是非採用をご検討ください。
浮造仕上げに関する“よくある質問”

浮造仕上げに関して多くのお客様からいただく質問を紹介します。
Q.「浮造仕上げの木質建材はどのようにお手入れ・メンテナンスすればいい?」
浮造仕上げの木質建材をお手入れする際には、以下の注意点とポイントを押さえてください。
- 基本的には乾拭きのみ
- しつこい汚れは硬く絞った雑巾で水拭きしてすぐ乾拭きする
- 洗剤を使う場合は、中性洗剤を水で薄めたものを使うが、必ず目立たないところで試してからにする(シミになる可能性がある)
- たわしなど固いもので擦ると細かいキズがつくので要注意
製品の表面塗装によっても適切なお手入れ・メンテナンス方法が異なりますので、必ず事前にメーカーに注意点などを問い合わせることをおすすめします。
Q.「浮造仕上げの風合いを損なわない表面保護塗装はある?」
塗膜が厚いUV塗装などは表面の耐摩耗性が高まりますが、浮造仕上げ独特の凹凸が目立たなくなります。
そのため、風合いを活かしたい場合は艶を抑えたクリアタイプのウレタン塗装がおすすめです。
濃い色に着色すると凹凸が目立ちにくくなるため注意しましょう。
Q.「浮造仕上げをDIYや現場加工するデメリットは?」
電動浮造機などの工具を使えば、DIYや現場加工でも浮造仕上げにできますが、広い面積だと仕上がりにムラが出るので注意しましょう。
また、突板化粧板の天然木層は0.2〜0.3mmととても薄いため、力加減によってはうまく木目が浮き出なかったり、逆に磨きすぎて基材が見えてしまう可能性があるので要注意です。
木材の表面仕上げは浮造以外も|なぐり・オビノコなど





木材の表面仕上げは浮造以外にもあるので、デザインのイメージと合うものを選びましょう。
なぐり
木材の表面を削って独特な模様をプラスする日本の伝統的な木材加工技術です。
ランダムな模様がデザインに個性をプラスします。
オビノコ(帯鋸目)
オビノコ加工とは、板の表面に帯鋸で挽いたような無数のキズをつける加工方法です。
使い込んだ風合いをプラスしたい場合にご採用いただきます。
テキスタイル
恩加島木材独自の加工方法で、細かい格子状に凹凸をつけます。
洋風はもちろん和風建築にも合う人気のテクスチャーです。
ウェーブ
テキスタイルと同様に恩加島木材独自の仕上げで、木材の表面に曲線状に溝をつけます。
柔らかい印象に仕上がります。
▶︎おすすめコラム:木目を活かす木材の表面仕上げとは?塗装や加工の種類を紹介
恩加島木材の高品質な「天然木練付化粧板」

恩加島木材は、国内外から良質でレパートリー豊富な突板を仕入れ、高品質な突板化粧板(天然木練付化粧板)を製造する建材メーカーです。
突板化粧板とは、天然木を0.2〜0.3mmほどの薄いシート状にスライスした突板(つきいた)を表面材とし、それを基材(きざい)に接着したパネル材で、壁・天井の仕上げ材や家具・建具の表面材など、幅広い部位に採用されます。

恩加島木材が自信を持って提供する「突板化粧板の強み」は以下の点です。
- 無垢材と同様の「ナチュラルな見た目と質感」に仕上がる
- 工業製品なので「品質安定性が高い」
- 軽量化を実現でき、「施工効率性アップ」につながる
- 無垢材よりも温度や湿度環境変化による「変形リスクが少ない」
- 希少性があり高価な樹種でも、「無垢材より安価」で安定して材料を入手しやすい
- 原木1本から取れる突板面積は無垢板材よりも広いため、「同じ風合いを大量入手しやすい」
- 特殊塗装によって「表面の耐摩耗性・耐汚性」が高く、日焼けによる変色も抑えられる
- 「不燃・難燃材料認定取得済み」製品もあり、内装制限のある建築物にも採用可能で、対象部分と対象外部分の仕上げを揃えられる
さらに弊社では、国産材や地域材、間伐材、成長の早い小径材を積極的に活用し、森林活性やカーボンニュートラル実現に向けた取り組みも行っています。
● 重い・割れやすい・高コスト・ビスが効かないなどの懸念点を解消した「不燃突板複合板」
● 国内初・組み立てた状態で準不燃認定を取得した「リブパネル」
● 国内初・孔を開けた状態で不燃認定を取得した「有孔ボード」
● 0.5mm厚突板による立体感と特殊UV塗装で耐久性と抗菌性能を付与した日本初上陸のプロダクト「突板化粧合板・KDパネル」
内装制限の対象となる建築物へご採用いただける製品を取り揃えておりますので、建物の設計デザインに木目を取り入れたい方はお気軽に弊社までご相談ください。
▶︎おすすめコラム:突板・挽板・無垢材それぞれの違いとは?どれがおすすめ?特性から選び方まで徹底解説
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突板製品はこうして生まれる。森から現場までのプロセスは?生産工程や恩加島木材の強みを紹介
まとめ
木材の浮造仕上げは、デザインに重厚感をプラスするメリットがある反面、お手入れ面などで注意しなくてはいけない点もあります。
また、無垢材と化粧板では特徴が異なりますので、材料選定の際には注意が必要です。
恩加島木材では、人の生活環境と地球環境の両方に配慮した高品質な突板化粧板を製造しております。
「思い通りのデザインを実現したい」「環境に配慮した建物にしたい」という方は、レパートリー豊富な恩加島木材の突板製品をご検討ください。