突板製品はこうして生まれる。森から現場までのプロセスは?生産工程や恩加島木材の強みを紹介

私たち恩加島木材は、1947年創業以来、突板製品専門メーカーとして国内外の銘木を建築現場にお届けしてまいりました。普段皆さんが何気なく触れている家具や内装材にも、それらの突板製品が多く使われています。

しかし、それらがどうなって作られているかは、設計士やデザイナーの方でもよく知らないかもしれません。

そこで、今回は突板製品が現場に届くまでのプロセスや、御社の“こだわり”についてお話します。日頃、何気なく内装デザインや設計に突板製品を使っている方も、きっと見方が変わるはずです。ぜひ、当社“こだわり”について、もっとよく知ってください。

このコラムのポイント
●突板製品はたくさんの工程を経て作られるため、それぞれのプロの知識や経験が必要になります。
●当社では、国内外の多様な樹種を取り扱い、自社により特殊加工を施しているため、高品質の製品を短納期・低コストでご提供できます。




天然木突板は“自然な風合い”と“製品安定性・施工性”を兼ね備えた商品

「突板化粧板」や「突板フローリング」など、建築デザインに携わっている方ならよく耳にする言葉でしょう。突板とは、天然木を薄くスライスした建材のことで、実際にはそれを合板などの基材に接着して意匠材として用います。

よく無垢材や挽板と比較されますが、無垢材は天然木そのものを板状に加工したもので、挽板は突板よりも表面材が分厚い材料です。どちらも突板同様、天然木をデザインに生かすことができますが、重量があったり反り・ひび割れが起こるなど、扱いが難しい点が懸念されます。

一方、突板は表面材が0.2〜0.3mmと非常に薄いため、天然木特有の変質や変形が起こりにくく、施工性・寸法性が安定している点が特徴です。

そのため、住宅はもちろん公共施設等でも数多く施工されており、当社の主力商品となっています。

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突板製品はどうやって作られる?

では、突板製品はどのような工程を経て、建築現場まで届けられるのでしょうか。ここでは、それぞれの工程について、当社の強みと合わせて詳しく紹介します。

森から原木が切り出される

林業

まず、森林から原木を伐採します。日本は世界有数の森林大国であるものの、建築に用いられる木材の多くを輸入材に頼ってきました。しかし、近年のウッドショックの影響や地球温暖化効果ガス削減の動きにより、国産材や地産材の価値が見直されています。国や自治体も様々な取り組みを行っていることもあり、嬉しいことに木材自給率は微増しています。

引用:森林・林業学習館

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市場で原木を仕入れる

長野県産材の杉を求めて、長野県木島平にて検品した様子

伐採された原木は、原木市場に運ばれ各製材業者へ販売されます。仕入れる際には、木口(切り口)の色や目合い(柾目の通りや木目の詰まり具合)、木肌の状態を頼りに、購入する丸太を判断します。そのため、良質な原木を仕入れるには、長年培った経験や見識が必要となるのです。

自社で海外から直接丸太を輸入することも

フランスにて、シカモアの丸太を検品している様子(左)と、ヨーロッパよりシルバーハートの丸太が到着した時の様子(右)

当社では、日本国内では手に入らない樹種については、海外から自社で直接仕入れを行っております。そのため、他メーカーでは取り扱いのできない樹種もラインナップされており、幅広いデザインに対応することができます。
(突板への加工は専門業者に依頼し、化粧板への加工を自社で行っております。)

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原木を製材する

自社の丸太を製材している様子

仕入れられた原木は製材業者に運ばれます。まず、不要な樹皮や木割れしている部分を切り落とし、スライサーで加工できるように整形します。整形された丸太を「フリッチ」と言います。この際、どのような木目を表現したいかによって、加工方法や向きが異なるため、製材業者は、メーカーや現場の要望に合わせて適宜対応します。

フリッチ

この際に発生する樹皮などの廃材は、家畜の敷料、バーク堆肥、チップ原料、熱源等(バイオマス発電)、ペレットなどに加工されて使われるケースもあり、今後はサスティナブルの視点からも更なる有効活用の確立が求められます。

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下記コラムでは、木目の種類について詳しく紹介しています。ぜひデザインの参考にしてください。

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スライスして突板に加工

自社第二工場にて、スライス加工している様子。現在は他社に委託していますが、創業以来65年間が全て自社で行なっていました。

フリッチに加工された丸太を、専用の基材で0.2〜0.3mmの厚さにスライスします。これが「突板」です。

フリッチはもちろん、突板の状態にスライスした木材は、気温や湿度によって大きく変化するため、保管や取り扱いには熟練した技や技術、整備された環境が欠かせません。

メモ
お客様からのご指定がある場合には、地産材・地域材を自社で仕入れて加工会社に突板にしてもらい、再び自社で化粧板などに製品化してお届けしております。
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良質な突板を仕入れる

当社は創業から75年間で培った信頼と実績をもとに、全国の突板加工メーカーとの関係性を築き上げ、妥協しない突板選びにこだわっています。というのも、元々は自社で突板加工を行っており、確かな目利きができるスタッフが多数いるため、各加工メーカーは良くも悪くも“ごまかし”ができないからです。

他の化粧板メーカーは、突板を地元の仲介業者などから仕入れているのに比べ、当社では直に仕入れが可能。そのため、良質な突板製品をリーズナブルな価格で提供できます。

通常の仕入れに加え、定期的に行われる大規模な入札展示大会にも積極的に参加し、国内外の高品質な突板を入手しています。入札は競りではなく金額を一発で決める真剣勝負。スタッフの経験値が物を言います。

「第66回静岡優良ツキ板展示大会」に参加した様子


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突板を基材に貼り付ける

いよいよ仕入れた突板を化粧板などへ加工します。職人の目と指先の感覚を頼りに、手作業で突板を貼り合わせ、基材となる合板などに接着します。

この際、貼り精度はもちろん、木目のバランスやセンスも重要で、この工程の良し悪しによって、実際に現場で施工された時のデザインにも大きく影響を及ぼします。

接着時には、熱と圧力をかけるホットプレスという工法を用いるのですが、樹種やその日の気温・湿度によって、プレス時間や温度を調整しなくてはいけません。

つまり、いくら最新機器を揃えていても、職人の経験や技無しでは良質な突板化粧板は生まれないのです。

メモ
当社製品は、不燃材・難燃材・普通合板・MDFなどの基材を取り扱っております。商品によって、厚さにもレパートリーがございますので、お気軽にお問い合わせください。


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表面に塗装を施す

UV塗装

天然木の雰囲気を残しつつ耐久性や耐汚性を高めるためには、表面塗装は欠かせません。クリア塗装や着色塗装、高耐久のUV塗装、抗ウイルス塗装などを全て自社で行なっているため、設計デザインに合わせた微妙な風合いも実現可能です。

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当社の塗装技術や各種塗装の違いについては、下記コラムをご覧ください。

恩加島木材工業|コラム|ウレタン塗装・UV塗装・ラッカー塗装・オイル塗装… 各種木材塗装の違いは?抗ウイルス塗装についても解説

様々な加工を施す

出来上がった突板化粧板へ、最先端技術によって更なる加工を施します。当社では、下記加工を全て自社で行なっているため、現場に合わせたカスタマイズが可能な上に、高精度の商品を短納期・低コストでご提供できます。

  • 正寸カット
  • 木口貼り加工
  • 本実加工
  • 有孔加工
  • うづくり加工や立体成形加工 …


多彩な加工技術によって、他メーカー製品では実現できないデザインにも対応できるケースも多々ありますので、設計の際にはぜひ一度ご相談ください。

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下記コラムでは、当社の加工技術について詳しく紹介しています。合わせてご覧ください。

恩加島木材工業|コラム|美しい仕上がりに不可欠なオーダー加工。恩加島木材が誇る各種加工技術とは?

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製品となって現場へ納品される

ここまで長い工程を経て作り上げられた突板製品は、徹底した検品と厳重な梱包が施された後に、ついに全国の建築現場へ出荷されます。国内どこへでも配送可能ですし、施工現場への直送やチャーター便の手配、時間指定も承っています。

当社では、現場が円滑に進むことへの配慮を心がけ、製造だけではなく出荷にも“こだわり”を持って取り組んでおります。納期や配送でお悩みの方も、ぜひ当社製品をご検討ください。


恩加島木材の取り組み

私たち恩加島木材では、国内各地の地産材利用も積極的に行なっております。また、突板の流通市場に頼らずに原木市場や製材所から直接仕入れて、自社で選木・加工・販売することも可能です。原産地を日本国内に限定した樹種を常時取り扱っているほか、地産材を利用した突板も数多くご注文いただいております。その建物の社会的価値を高めるためにも、ぜひ国産材を使った突板製品をご検討ください。

地産材の納入実績
JR北陸新幹線・長野駅 コンコース内天井(長野県産杉利用)
香川県多度津町庁舎(香川県産材利用)
某百貨店 什器(大阪府内産桧利用)
新居浜商業高校 体育館(愛媛県産材利用)
京都女子大学(京都府内産桧利用)
京都 某ホテル(京都府内産利用)


〈関連ページ〉
下記ページでは、当社が常時取り扱っている国産材を使った突板のラインナップや納入実績を紹介しています。ぜひご覧ください。

恩加島木材工業|製品案内|原産地(日本)

〈関連コラム〉
下記コラムでは、地産材について詳しく紹介しています。

恩加島木材工業|コラム|今こそ木材も“地産地消”する時代。脱炭素化に向けた地産材・地域材利用について解説



まとめ|ハイクオリティな突板には豊富な知識と技術が必要です

突板製品は、直接目に入る意匠デザインに使われるため、その製造に少しの妥協も許されません。出来上がるまでには、たくさんの“その道のプロ”がこだわりを持って関わっています。

私たち恩加島木材では、突板化粧板メーカーのパイオニアとして、熟練した知識や経験だけではなく、最先端技術を積極的に取り入れ、化粧板やルーバー・リブパネル、有孔ボードなどを製造販売に取り組んでおります。また、多種多様な木目ラインアップを用意しておりますので、空間全体をトータルコーディネートすることも可能です。統一性のある洗練されたデザインをご希望の際には、ぜひに一度恩加島木材にご相談ください。

〈関連ページ〉
当社の納入実績は下記ページをご覧ください。

恩加島木材工業株式会社|納入実績


恩加島木材が現場の様々なご要望にお応えします

「プリントシート材の木目だと味気なく個性が出せない」「天然木を使用したいが無垢材だとコストが高くメンテナンスが不安」そんな時には、天然木突板を使っておしゃれで安らげる空間をデザインしてみませんか?恩加島木材の歴史ある熟練技術で、デザイナー様や設計士様の疑問やご要望にお応えします。随時、木材選定から各種オーダー加工に関するご相談を承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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