今こそ木材も“地産地消”する時代。
脱炭素化に向けた地産材・地域材利用について解説

日本は、世界的にも有数の森林資源に恵まれた国です。戦後一斉に植樹された木々は樹齢60年を越し、木材として今まさに収穫期を迎えています。しかし、残念ながらその森林資源の多くは活用されておらず、建材についてはほとんどを安価な輸入材に頼っているのが現状です。

そこで国を挙げて推進しているのが「地産材」や「地域材」の利用です。今回は地産材や地域材について、推奨される理由や使うメリットについて詳しく解説します。社会的・環境的意義だけではなく、直接的なメリットもありますので、ぜひ参考にしてください。

このコラムのポイント
・地産材や地域材の利用は、工程を円滑に進められるというメリットもある。
・お客様の要望に応じて地産材を取り扱えるメーカーが限られている。

 

地産材・地域材の定義とは?

昭和後半に入ってからというもの、国産材の使用率低下や価格の低落が深刻化しています。特に、建築資材における国産材利用率は40%前後というデータは、無視できない現状です。森林資材が潤沢なのにそれらを活用できていないという問題に対して、近年、国は国産材の需要拡大を目的とした「地産材」「地域材」の活用を推進しています。

地産材や地域材はその名の通り、建設されるエリアに近い場所で伐採・製材された木材を指します。一般的には都道府県単位で産出されるものを指し、産出地と同じエリアの建物に使用するという意味で“地材地建”という言葉もできました。ただし、国内においては林業が盛んな地域と建設棟数が安定して多い地域は異なるため、あまり木材の産出地にこだわり過ぎず、場合によっては「国産材」を使うという広い視野を持つことも大切とされています。


国産材の利用が推奨される理由とは?使うメリットは?

近年、国や自治体で国産材や地産材利用に対して補助金を設けていることからしても、その必要性は明らかです。国産材が強く推奨されているのには、様々な理由がありますが、ここでは利用するメリットについて解説します。

理由① 脱炭素化・カーボンニュートラルに効果的

最近よく耳にする「脱炭素化」「カーボンニュートラル」は、二酸化炭素などの温室効果ガス排出を抑えて地球温暖化を阻止するための考え方や活動を指します。実は、国産材や地産材を利用することは、これらに大きな影響を与えると言われています。

木材の伐採や加工にはエネルギーをあまり使わないため「エコマテリアル」として認識されていますが、それらを運搬するにはどうしても多量の燃料エネルギーが欠かせません。これを指標化したものを「ウッドマイレージ(木材輸入量×輸送距離)」と呼び、建材の多くを輸入材に頼っていた日本は、ウッドマイレージが世界でも1・2を争う数値となっています。

引用:一般社団法人 ウッドマイルズフォーラム|ウッドマイルズ関連指標

つまり、日本の建築業界は資材の運搬においてたくさんの二酸化炭素を排出しているということです。ですから、出来るだけ建設場所から近いところから材料を取り寄せることで、運送時のエネルギー量を削減しなければいけません。公益財団法人 日本住宅・木材技術センターの調べによると、住宅に使う木材の全てを地産材や国産材にするだけで、大幅に二酸化炭素排出量を減らすことができるというデータが出ています。

引用:一般社団法人 ウッドマイルズフォーラム|ウッドマイルズ関連指標

 

理由② 木材利用促進法が民間施設も対象に

環境的視点からも、近年住宅以外の建築物における木材の利用促進が急激に進んでいます。その一番の理由が、「木材利用促進法」の改正です。

平成22年の「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」制定以降、農林水産省及び国土交通省では、同法に基づき、基本方針を策定し、公共建築物における木材の利用に取り組んできました。公共建築物の床面積ベースの木造率は、法制定時の8.3%から令和元年度には13.8%に上昇しています。

一方で、民間建築物については、木造率の高い低層の住宅以外にも木材の利用の動きが広がりつつあるものの、非住宅分野や中高層建築物の木造率は低位にとどまっています。

こうしたことを背景として、第204回通常国会において「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律」(令和3年法律第77号)が成立し、令和3年10月1日に施行されました。

これにより、法律の題名が「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」(平成22年法律第36号)に変わるとともに法の対象が公共建築物から建築物一般に拡大しました。

引用元:林野庁|脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律

つまり、公共建築物に限定されていた木材利用促進法が、改正に伴って一般建築物全般も対象になり、木材の利用促進がさらに強化されたのです。

理由③ 地域経済活性化ができる

森林大国である日本においても、今までは安価な輸入材に依存してきました。そのため、国内の林業は衰退し、近年は従業者の高齢化や人材不足が否めません。そのような現状がある中、地産材・国産材を積極的に利用することで、再び林業に活気が戻り、その地域の経済が活性化すると期待されています。2019年4月には「森林経営管理制度」が制定され、個人では管理しきれない山林を市町村主導で整備できる仕組みができました。このことからも、国内の林業や製材業に再び活気を取り戻すことが国を挙げたプロジェクトとなっていることが分かります。

理由④ 森林の循環・保全ができる

森林を健全な状態で維持し高品質の材木を作るには、森を常に“循環”させなくてはいけません。「植林→間伐→伐採→利用→植林」のサイクルを維持することで、今まで停滞していた人工林も若返り樹木がきちんと成長し、材木の品質向上に繋がるです。また、コンスタントに植林ができれば、森全体の寿命も長くなると言われています。

引用:近畿中国森林管理局|健全な森林づくり

 

理由⑤ SDGs推進につながる

最近、様々なメディアでよく目にする言葉に「SDGs」があります。「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、環境問題対策のスローガンとなっています。森林大国である日本は、常に多くの木材ストックを持っており、国産材の活用は経済的にも大きな可能性を秘めています。今までお話ししてきた通り、国産材を積極的に利用することは「脱炭素化」「地方の経済活性化」「森林の若返り」につながります。それこそがまさにSDGsを達成する大きな要素となるのです。



これからは「地材地建」がトレンド。その意義とは?

国内もしくは同地域内で製材された木材を使うこと、いわゆる「地材地建」は日本だけではなく世界の建築界においてトレンドとなっています。その主な理由は以下の3点です。

  • 建物や企業のアピールポイントになる(CSR的メリット)
  • 利用者や周辺住民にとって愛着の湧く建物になる(地元愛)
  • 材料供給が安定化する(ウッドショック対策)


まず、地産材や国産材の利用は環境的問題へ積極的に取り組んでいるという印象を世間に与え、高い意識を持った建物や企業であるとアピールできます。ですから、CSR(企業の社会的責任を果たすための活動)の一端として、国産材利用に取り組んで入る企業は少なくありません。

そして、その地域にゆかりのある木材を使うことは、建物利用者や周辺住民の方の共感を得る上でも効果的です。“地元愛”を掻き立てることができ、その建物が人々から長く愛され使い続けるものになると考えられます。
これら社会的意義のあるメリットの他にも、直接的に利点となるポイントがあります。それが「材料供給の安定化」です。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、世界中でリモートワーク化が進み特にアメリカでは住宅需要が高まりました。その影響により木材の高騰化や材料不足、納品遅延が深刻化し、これを「ウッドショック」と呼びます。この現象は、今まで輸入材に頼っていた日本の住宅業界にも大きな影響を及ぼしました。輸入材への依存を止めることで、このような事態にも対応できるようになります。

つまり、国産材を使う“地材地建”の動きは、単なる一過性のトレンドではなく、中長期視点からも大きな意義を持つのです。



地産材・地域材を使った突板化粧板は恩加島木工にご相談を

長野駅 コンコース内天井(長野県産杉利用)

恩加島木材では、日本だけではなく世界各国から取り寄せた選りすぐりの突板を取り扱っています。そのため、豊富な樹種と高い品質の突板を化粧板やフローリングなど、様々な製品に自社加工できるのです。また、1947年創業以来培ってきたネットワークを駆使して、お客様のご要望に応じて地産材の原木を調達することも可能です。ぜひ、地産材・地域材利用をお考えの方は、当社製品をぜひご検討ください。

地産材の納入実績
JR北陸新幹線・長野駅 コンコース内天井(長野県産杉利用)
香川県多度津町庁舎(香川県産材利用)
某百貨店 什器(大阪府内産桧利用)
新居浜商業高校 体育館(愛媛県産材利用)
京都女子大学(京都府内産桧利用)
京都 某ホテル(京都府内産利用)

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当社の沿革につきましては、下記ページをご覧ください。
恩加島木材工業株式会社|企業情報・沿革



まとめ|地産材・地域材利用には大きな可能性があります

今回は、地産材や地域材を初めとした国産材について詳しくお話ししました。地球温暖化が進む現代において、脱炭素化や、建材におけるサスティナブルなシステム整備は急務であり、近い場所で伐採された木材を使うことはこれらの問題に対して大きな役割を果たします。また、コロナ禍における材料の価格高騰や納品遅延の際にも影響を受けにくいという利点もあります。しかし、地産材や地域材を取り扱っているメーカーが未だ少ないことも事実で、使いたくてもすぐには使えないのが現状です。当社製品では、お客様のご要望に応じて各地の地産材を取り扱うことが可能です。原木をスライスした突板を使い、化粧板やフローリング材やルーバー、有孔ボードなどを製造しております。ぜひに一度恩加島木材の突板製品をご検討ください。

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当社の納入実績は下記ページをご覧ください。
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恩加島木材が現場の様々なご要望にお応えします

「プリントシート材の木目だと味気なく個性が出せない」「天然木を使用したいが無垢材だとコストが高くメンテナンスが不安」そんな時には、天然木突板を使っておしゃれで安らげる空間をデザインしてみませんか?恩加島木材の歴史ある熟練技術で、デザイナー様や設計士様の疑問や要望にお応えします。随時、木材選定から各種オーダー加工に関するご相談を承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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