F☆☆☆☆(エフフォースター)の基準とは? 安心・快適な空間づくりに必要な訳をずばり解説

皆さんは、“F☆☆☆☆(エフフォースター)”や“シックハウス症候群”という言葉を聞いたことはありますか?1990年代後半からニュースで取りただされ始めたことで、一般の方にも広く知れ渡り、「なんとなく分かる、聞いたことある」という方も多いでしょう。

しかし、その変遷や現状についてはまだまだ理解されていない点もあります。

そこで、今回はF☆☆(エフフォースター)やシックハウス症候群について、今までの背景や現状を詳しく解説します。内装デザインや設計にウッドインテリアを取り入れたい方はもちろん、ご自宅などのインテリアをリノベーションしたいという方も、ぜひ皆さん参考にしてください。

このコラムのポイント
・F☆☆☆☆は、建築基準法の改定と合わせてJIS・JASが認定した製品の安全等級で、最も安全性が高いという証拠です。
・誰もが安心して利用できる建物づくりには、シックハウス症候群の要因なる物質を放散する建材を使わないことが重要です。
・Fスター等級を取得していて建築基準法上でも使用が認められている製品の中でも、F☆☆・F☆☆☆・F☆☆☆☆と安全性のランクがあるため、出来るだけ最上級のF☆☆☆☆を選ぶことをおすすめします。




F☆☆☆(エフフォースター)の変遷は?シックハウス症候群との関係

シックハウス症候群は、日本国内では1990年代後半〜2000年頃にかけて頻繁にニュースで取り上げられました。そのため、比較的最近のことのように感じる方もいるかもしれませんが、実はその歴史は1970年代にまで遡ります。

1970年代
欧米にて、新築ビル内で体調不良を訴える人が急増

この頃、急速な経済成長に伴って欧米ではビルの建設ラッシュが始まりました。しかし、当時は第一次オイルショック真っ只中。冷暖房の効率を上げるために建物の高い気密化や省エネ性能が求められました。それによって、換気能力を落とす建物が増え、床材を貼る接着剤に含まれるホルムアルデヒドが引き起こす「シックビルディングシンドローム」が生まれたのです。

一方、日本国内では1970年に適切な温度調節や空気の衛生環境確保など“建築物環境衛生管理基準”を定めた「ビル管理法」が制定されたため、オフィスビルによる同様の問題はほどんど起こりませんでした。

1980年代〜1990年代
国内でも主に住宅において症状を訴える人が急増

バブル期を迎えた日本では住宅の建設が急増し、個人住宅においても省エネ(換気量の削減)・高気密高断熱化が進んだおかげで、シックビルディングシンドロームと同じ症状を訴える人が急増しました。当時、一般住宅についてはオフィスビルとは異なり、機械換気設備を導入するケースは少なく、建築資材に合板やプラスチック系のものが多く使われたことが原因と言われています。

逆に、欧米では住宅の建て替えが少なく、古い住宅をずっと住み続ける文化が根強いため、戸建て住宅ではこのような問題はあまり起きませんでした。

一口メモ
シックハウス症候群の主な症状は、眼・鼻・喉・皮膚の刺激症状や、頭痛、倦怠感などで、「化学物質過敏症」の一種です。

2003年(平成15年)7月1日
建築基準法にて、化学物質の発散に対する衛生上の措置や技術的基準が明確化し、Fスター認定も設立

シックハウス症候群対策として、原因物質であるホルムアルデヒド・クロルピリホスなどを発散する材料の使用制限や、換気設備に関する基準が定められました。これが、平成15年の建築基準法改正です。

揮発性有害物質の放散基準値については以前にも規制がありましたが、それまでは物質の気中濃度が基準で、放散速度(1時間当たりに物質が揮発する速度)に関する規定がありませんでした。

改正と合わせて、JIS(Japanese Industrial Standard日本工業規格)・JAS(Japanese Agricultural Standard日本農林規格)にてホルムアルデヒドの放散速度量によるFスターの等級分けが義務化されたことにより、使用面積の制限が定められ、発症件数が激減しました。(建築基準法におけるシックハウス対策に係る法令等はこちらをご覧ください)

JIS・JAS表示材料区分放散速度基準使用面積制限の有無
F☆☆☆☆建築基準法における規制の対象外0.005mg/㎡h以下制限なし
F☆☆☆第三種ホルムアルデヒド発散建築材料0.005mg/㎡h以上0.02mg/㎡h以下(夏季において)制限あり
(換気量によって量は異なる)
F☆☆第二種ホルムアルデヒド発散建築材料0.02mg/㎡h以上0.12mg/㎡h以下(夏季において)制限あり
(換気量によって量は異なる)
表示なし第一種ホルムアルデヒド発散建築材料0.12mg/㎡h以上(夏季において)使用禁止


一口メモ
ホルムアルデヒドなどシックハウス症候群の原因物質は揮発性が高く、気温の上がる時期に放散速度が早まります。そのため、建築基準法では夏季の状態が基準となります。

〈関連ページ〉
各ホルムアルデヒド発散建築材料につきましては、下記ページをご覧ください。

国土交通省|第三種ホルムアルデヒド発散建築材料を定める件
国土交通省|第二種ホルムアルデヒド発散建築材料を定める件
国土交通省|第一種ホルムアルデヒド発散建築材料を定める件

現在
規制を受ける建材の多くが、最上等級であるF☆☆☆☆を取得しており、未取得の製品についても改良を積極的に行っている

建材メーカーの多くは、現時点で既に自社製品においてF☆☆☆☆の取得を完了もしくは進行中であるため、シックハウス症候群の発生リスクは減少しています。

ただし、未だにF☆☆☆・F☆☆の製品は販売されているため、材料選びの際には必ず東急確認しましょう。




対象となる建築材料や仕上げ材は?

Fスター認定の対象となるのは、全ての建築材料や仕上げ材ではありません。製造過程で下記の物質が含まれるものが対象となります。

  • ホルムアルデヒド
  • トルエン
  • アセトアルデヒド
  • キシレン
  • クロルピリホス


これらの物質は、合板を作る際や床材を貼る際の接着剤や塗料、防腐剤に含まれます。では、具体的にはどのような建材にこれらの材料が含まれている可能性があり、Fスターの認定対象になっているのでしょうか?


建築基準法によってFスターの表示および等級による使用制限が決められている主な材料は、下記の通りです。

  • 合板や集成材、木質フローリングなど接着剤を用いた板材
  • 壁紙を貼るためのでん粉系接着剤
  • ロックウールやグラスウールを用いた断熱材
  • アルミニウムペイントや油性調合ペイント、合成樹脂調合ペイントなど塗料全般
  • その他接着剤全般


まず、今や建築資材には欠かせない合板や集成材などの板材は、薄板材やチップ材を接着してパネル状にします。その際、使用される接着剤によって、Fスター等級が決まるのです。

壁紙を貼るためのでん粉系接着剤は、化学物質があまり含まれていないように感じるかもしれませんが、実はそれに含まれる樹脂系材料や防腐剤はFスターの対象となります。よって、ユリア樹脂やメラミン樹脂などや、ホルムアルデヒド系防腐剤もしくはホルムアルデヒド水溶液が含まれているかどうかは必ず確認しましょう。

断熱材については、建築用断熱材および吹込み用繊維質断熱材はF☆☆☆等級以上の製品を使用することが義務付けられています。

そして、塗料については下地用、金属部錆止め用、仕上げ用など、塗装する材料や工程問わずほとんどのものがF☆☆等級以上の材料を使うように定められています。接着剤は、酢酸ビニル樹脂系溶剤形接着剤・ゴム系溶剤形接着剤・ビニル共重合樹脂系溶剤形接着剤・再生ゴム系溶剤形接着剤についてF☆☆等級でなくてはいけません。

このように、建築に関わる多くの材料はFスター認定を取得していなければ使用できず、施設利用者の立場になるとより安全性の高いF☆☆☆☆の利用が推奨されます。ですから、設計やデザインをする際には、カタログなどに表示されたFスター等級をチェックすることをおすすめします。

〈関連ページ〉
各建材の細かい規定などについては、関連法規と合わせて下記資料も合わせてご参照ください。

国土交通省|シックハウス対策に係る関係告示



造作建具・造作家具には認定済み化粧板を

意匠にこだわった空間づくりには欠かせない「化粧板」ですが、その製造過程では合板や接着剤、塗料を用いるため、Fスター認定を取得してるか否かは施設利用者の健康に大きく影響します。ですから、造作建具や造作家具を設計デザインに取り入れる場合には、必ず化粧板についての詳細も確認してください。

私たち恩加島木材では、接着剤・基材(合板やMDFなど)、塗料について、全てF☆☆☆認定品を使用しており、それ以外のものは一切用いておりません。

また、弊社工場はフローリングと合板部門でJASの認定を受けているため、毎月の報告や年一度のJAS機構による立入監査、一定ロット毎のF☆☆☆☆試験の実施を徹底しており、常に安心してご利用いただける製品づくりに努めております。

天然木化粧合板及び特殊加工化粧合板のJAS認定工場はまだまだ数少ないため、信頼できる化粧板をお探しの方は、ぜひ弊社までお気軽にお問い合わせください。

〈関連ページ〉
弊社では、安心安全なだけではなく豊富な経験や知識から高品質の製品を数多くご提供しております。私たちの“こだわり”についても、ぜひ合わせてご覧ください。

恩加島木材工業株式会社|恩加島木材のこだわり



恩加島木材の取り組み

私たち恩加島木材では、国内各地の地産材利用も積極的に行なっております。また、突板の流通市場に頼らずに原木市場や製材所から直接仕入れて、自社で選木・加工・販売することも可能です。原産地を日本国内に限定した樹種を常時取り扱っているほか、地産材を利用した突板も数多くご注文いただいております。建物の社会的価値を高めるためにも、ぜひ国産材を使った突板製品をご検討ください。

地産材の納入実績
JR北陸新幹線・長野駅 コンコース内天井(長野県産杉利用)
香川県多度津町庁舎(香川県産材利用)
某百貨店 什器(大阪府内産桧利用)
新居浜商業高校 体育館(愛媛県産材利用)
京都女子大学(京都府内産桧利用)
京都 某ホテル(京都府内産利用)


〈関連ページ〉
下記ページでは、当社が常時取り扱っている国産材を使った突板のラインナップや納入実績を紹介しています。ぜひご覧ください。

恩加島木材工業株式会社|製品案内|原産地(日本)

〈関連コラム〉
下記コラムでは、国産材や地産材の利用のメリットについて詳しく解説しています。合わせてご覧ください。

恩加島木材工業株式会社|コラム|今こそ木材も“地産地消”する時代。脱炭素化に向けた地産材・地域材利用について解説




まとめ|利用者の健康を守るためにはF★★★★の製品を

今回は、知っているようで知らないシックハウス症候群やF☆☆☆☆について詳しく解説しました。今やF☆☆☆☆製品は当たり前のように思っている方も少なくないかもしれませんが、建築基準法上ではそれよりも安全性の低いF☆☆やF☆☆☆の製品も使用が認められています。

しかし、化学物質過敏症の方など体質によっては微量でもアレルギー反応を起こしてしまう方もいらっしゃいます。ですから、誰でも安心して利用できる施設づくりを目指す場合には、ぜひF☆☆☆☆認定製品の採用をご検討ください。

私たち恩加島木材では、日頃より自社検査や報告、関係機関による定期監査を実施し、安心してご採用いただける製品づくりに努めております。また、様々な木目の化粧板やルーバー・リブパネル、有孔ボードなどを製造販売しております。空間全体をトータルコーディネートしたい場合や、統一性のある洗練されたデザインをご希望の際には、ぜひに一度恩加島木材にご相談ください。

〈関連ページ〉
当社の納入実績は下記ページをご覧ください。

恩加島木材工業株式会社|納入実績

恩加島木材が現場の様々なご要望にお応えします

「プリントシート材の木目だと味気なく個性が出せない」「天然木を使用したいが無垢材だとコストが高くメンテナンスが不安」そんな時には、天然木突板を使っておしゃれで安らげる空間をデザインしてみませんか?恩加島木材の歴史ある熟練技術で、デザイナー様や設計士様の疑問や要望にお応えします。随時、木材選定から各種オーダー加工に関するご相談を承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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