カーボンフットプリントとは?制度の目的やサスティナブル建築との関係性について

カーボンフットプリント

メディアで最近見かける「カーボンフットプリント」という言葉ですが、いまいちその意味を知らないという方も少なくないはずです。

なんとなく環境に関連するキーワードと分かっている方は多くても、なかなか世間への浸透が進みません。

そこで、今回は「カーボンフットプリント」の定義や現状、建築との関連性について詳しく解説します。

「環境配慮型の建築物にしたい」そのようにお考えの方は、是非参考にしてください。

このコラムのポイント
●「カーボンフットプリント(CFP)」とは、商品やサービスを提供する上で排出するトータルCO2量を“見える化”する仕組みです。
●CFP登録へのハードルが高いため認定製品は少ないですが、認定商品以外でも脱酸素に効果的な建築材料があります。
●恩加島木材は、環境に配慮しつつ国内外から多数の高品質の天然木を仕入れ、常にお客様のニーズに応えられるよう努めております。




カーボンフットプリント(CFP)とは?

カーボンフットプリントの算定方法

カーボンフットプリント(CFP)とは、製品やサービスに対して全ての工程で排出した温室効果ガスの量を表示する仕組みです。

CFP(カーボンフットプリント)とは、Carbon Footprint of Productsの略称で、商品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算して、商品やサービスに分かりやすく表示する仕組みです。LCA(ライフサイクルアセスメント)手法を活用し、環境負荷を定量的に算定します。

事業者と消費者の間でCO2排出量削減行動に関する「気づき」を共有し、「見える化」された情報を用いて、事業者がサプライチェーンを構成する企業間で協力して更なるCO2排出量削減を推進すること。「見える化」された情報を用いて、消費者がより低炭素な消費生活へ自ら変革していくことを目指します。

(引用:CFPプログラム
(引用:CFPプログラム


カーボンフットプリントの考えが生まれたのはイギリスで、その後ヨーロッパ、アメリカ、日本、韓国など徐々に浸透してきています。

その動きを受け、2013年には各国それぞれの基準を統一化するために「ISO/TS 14067(国際的な技術仕様書)」が作られ、各国の足並みが揃ってきました。

カーボンフットプリントの目的は、ずばり「CO2の“見える化”」です。

それぞれのサービスや商品について、どれほどの二酸化炭素が排出されているのかを個人や企業が把握し、低酸素社会実現に向けた取り組みを進めるために設けられました。


どうやって算定されるの?

カーボンフットプリントの算定対象となるのは、二酸化炭素(CO2)だけではありません。

温室効果ガスと呼ばれる以下が対象です。

  • CO2(二酸化炭素)
  • CH4(メタン)
  • N2O(亜酸化窒素)
  • HFCs(フッ素化ガス)
  • PFCs(パーフルオロカーボンガス)
  • SF6(六フッ化硫黄)


これらの排出量をCO2に換算して計算します。

CO2(その他ガス)排出量 = Σ(活動量 × CO2排出原単位)


「活動量」とは、サービスもしくは商品を作る上での工程で行われる活動を指し、その範囲は原材料調達から廃棄・リサイクルにまで及びます。

(引用:経済産業省|カーボンフットプリントの算定・表示ルールについて


全てのステップについて、それぞれのCO2排出量を消費者にも分かるように表示することで、脱炭素社会に向けた意識改革へつなげることこそ、カーボンフットプリントの意義なのです。


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カーボンフットプリントと建築の関わりは?

カーボンフットプリントと建築の関連性

カーボンフットプリント取り組んでいる産業はいくつもありますが、その中でも“建築”の与える影響は大きいとされています。

その理由は、建物の新築・運用・改修・解体に係るCO2排出量は、国内における全排出量の多くを占めているからです。

建設機械から排出されるCO2量だけ見ても、国全体の排出量の0.5%にも相当します。(参考:国土交通省|建設現場における脱炭素化の加速に向けて

建築材料の製造過程、解体後の廃棄処分過程などを含めると、さらに多くのCO2を排出していることは想像に難くないでしょう。

そのため、政府も建設業の担う役割を重要視しており、国土交通省を筆頭に建築物の徹底した低炭素化を進めており、その一環が「カーボンフットプリント」の推奨なのです。

ポイント
今までは建物の省エネ化や再生可能エネルギーの利用など“運用段階”の低炭素化が進められてきましたが、今後はそれだけではなく、“建設・運用・解体・廃棄”とライフサイクル全てに置いてトータル的な取り組みが必要とされています。


カーボンフットプリント(CFP)プログラムを活用することで、CO2排出量の根拠が明確になり、企業の行う取り組みの成果も公平に評価されるようになります。

最近は、建築材料でも多種多様なものがCFPマークの表示認定を受けているため、施主側もそれらを選ぶことで、環境問題解決への貢献度が“見える化”できるのです。

CFPマークは、商品・サービスごとのカーボンフットプリント算定ルールを作成し、それが公的に認定を受けたものにのみ表示が許可されます。

「CFPマーク」
(引用:CFPプログラム

CFPマーク表示認定を受けている主な建築材料は以下の通りです。

  • 製材
  • 集成材
  • 合板
  • パーティクルボード
  • 繊維板
  • 加圧式保存処理木材
  • 低炭素型コンクリート


建築におけるCO2排出量削減はカーボンニュートラル社会実現において大きな意味を持っており、材料や工法の選定により、決して難しいことではありません。

実際に、カーボンオフセットと組み合わせて、建物における“実質CO2排出量ゼロ”を実現している事例もあります。(参考:安藤ハザマ技術研究所|TTCつくば

カーボン・オフセットとは、日常生活や経済活動において避けることができないCO2等の温室効果ガスの排出について、まずできるだけ排出量が減るよう削減努力を行い、どうしても排出される温室効果ガスについて、排出量に見合った温室効果ガスの削減活動に投資すること等により、排出される温室効果ガスを埋め合わせるという考え方です。

(引用:環境省


〈関連ページ〉

CFP宣言認定製品一覧



カーボンフットプリントは浸透していない?問題点は?

カーボンフットプリントの普及が進まない原因

カーボンフットプリント(CFP)プログラムは、当初の補助事業による建築資材の登録は全て終了しています。

そのため、その後継続的に認定を受けるためには、毎年更新費用が必要となるのです。

また、補助事業が終了した現在では、新規登録するにもコストがかかり、申請の煩雑さなどが認知度拡大や普及を進めるハードルとなっている点は否定できないでしょう。

実際、認定マークの使用を正式に許可された建築材料はわずかですし、一度登録しても登録終了している商品やサービスも少なくありません。

プログラムへの登録・更新にかかる費用や手間が、カーボンフットプリントの認知度が上がらず世間へ広まらない原因とされています。

しかし、その現状を打破すべく、会社独自の取り組みを始めている企業も増えています。

会社によっては自社でCFP算定を行い、「建物の環境配慮」や「環境問題への貢献度」を世間へアピールする手段としているのです。

このような動きがより一層活発化すれば、施主やエンドユーザーのCFPへの意識が高まることが期待できるでしょう。

設計・建設において同業他社と差別化する上で有効なだけではなく、サスティナブルな建築物を目指す上でも重要なポイントであると言って間違いありません。



カーボンフットプリントを意識するなら「国産材」がおすすめ

間伐材

設計やデザインに“脱炭素”を反映させる最も手っ取り早い方法が、「国産材の利用」。

国産材は、海を渡ってくる輸入材とは異なり、運搬時に使用する燃料が少ないため、必然的にCO2排出量を減らせます。

また、木材を積極的に利用することで、“森のサイクル”が活性化し、生育過程で多くの二酸化炭素を吸収してくれます。

木材は、解体後も再利用できる点もポイントです。

森林循環サイクル
(引用:内閣府


木材利用による地球環境への効果は立証されており、政府もその重要性を踏まえて、積極的に様々な取り組みの実施や法改正を実施しています。

「木材利用・国産材利用が低炭素社会実現への近道」という事実は揺るぎありません。

そのため、CFP認定を受けている商品はもちろん、そうでなくても環境に配慮された商品を取り入れることは、サスティナブル建築をコンセプトとして打ち出す上でおすすめです。

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恩加島木材の取り組み

私たち“恩加島木材”は、地球環境や森林維持のために様々な取り組みを行っており、国産材の積極的な利用はもちろん、製造工程の自然エネルギー活用など、トータルCO2排出量の削減に努めています。

再生エネルギーの導入

自社工場への太141kw陽光発電システムおよび蓄電池を導入いたします。
(2023年6月、稼働決定)

持続可能な製品の開発製造

植林木を利用した人工突板の開発を進めています。

地産材の積極的利用

日本の貴重な資源である“森林”、そして林業・製材業を守るため、原産地を日本国内ならず地域を限定した樹種を積極的に取り扱っています。

地産材の納入実績
JR北陸新幹線・長野駅 コンコース内天井(長野県産杉利用)
香川県多度津町庁舎(香川県産材利用)
某百貨店 什器(大阪府内産桧利用)
新居浜商業高校 体育館(愛媛県産材利用)
京都女子大学(京都府内産桧利用)
京都 某ホテル(京都府内産利用)


「建築デザインに環境への配慮を反映させたい」「長く愛され続ける建物にしたい」そのようにお考えの方は、ぜひ私たち”恩加島木材工業”の突板製品をご採用ください。

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恩加島木材工業株式会社|製品案内|原産地(日本)

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恩加島木材は高品質な製品を取り扱っています

私たち“恩加島木材工業”は、1947年に創業以来、突板製品専門メーカーとして時代の変化を見極めながら、国内に限らず世界中の銘木を使って、良質でバラエティに富んだ内装材を提供し続けてきました。

常備在庫はおよそ1000束に上り、その豊富なストックから、仕様やご要望に応じて一枚一枚丁寧に突板を選定しています。

0.2mmという極薄にスライスされた突板は気温や湿度により、生き物のように大きく変化し、その小さな変化を感じながら、熟練した職人が手作業でそれを貼り合わせていくのです。

貼り合わせた突板はその日の環境に合わせて、樹種ごとにプレス時間、温度、圧力を細かく調整し、高圧ホットプレス機で圧着し、化粧板などの製品となり、お客様の元へと届きます。

木の特性を熟知した“恩加島木材工業”が自信を持ってご提供する突板製品は、多くの住宅や公共施設にて採用されています。

内装の木質化は、今やカーボンニュートラルや脱炭素化の実現には欠かせないと言っても過言ではありません。

輸送過程での二酸化炭素排出量を大きく削減できる地産材(地域材)の取り扱いもございますので、ウッドインテリアをご検討中の方は、ぜひ一度“恩加島木材工業”の製品をご覧ください。


KDパネルとは

KDパネルは、台湾・KEDING社製の天然木化粧合板で、0.5mmの厚単板で木目の立体感を、特殊UV塗装で耐久性と抗菌性能を付与した今までに無い化粧合板です。

天然木本来の質感と、メラミン化粧板のような強度・施工性を兼ね備えています。

恩加島木材工業が自信をもって展開する日本初上陸のプロダクトです。

▶︎製品の詳細はこちらから


PANESSE(パネッセ)

天然木練付化粧板のシリーズで、基材によって「不燃ボード」「難燃ボード」「MDF化粧合板」「突板シート」「有孔パネル」「テクスチャーボード」と多彩なラインナップを実現。

樹種も40種類以上からお選びいただけますし、産出地を限定した地産材のご注文も承っております。

▶︎製品の詳細はこちらから


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樹種別の特徴や木目のトレンドは?恩加島木材の人気樹種や選び方のポイントを解説


リブパネル・ルーバー

最近トレンドのリブパネルやルーバーも、その他化粧板と同じ樹種で製造しております。

リブパネルは、もちろん天然木練付化粧板に貼り付けた仕様で、あらかじめ工場でパネル組みをしている高精度・省施工型の製品です。

ルーバーも同様で、精度の高い高意匠ルーバーとして人気商品となっています。

基材は木芯・不燃(ダイライト、エースライトなど)からアルミ押出成形品(※ルーバーのみ)まで対応しておりますので、内装制限のある建物にもご採用いただけます。

リブパネルはHPより規格書もダウンロードできますので、是非ご検討ください。

▶︎製品の詳細はこちらから


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突板製品はこうして生まれる。森から現場までのプロセスは?生産工程や恩加島木材の強みを紹介


用途を問わず様々な施設にご採用いただいております

恩加島木材の突板製品は、建物の用途を問わず様々な施設にご採用いただいております。

ホームページでは随時、施工事例や納入実績を紹介していますので、気になる方はぜひ併せてご覧ください。

恩加島木材工業株式会社|納入実績

恩加島木材工業株式会社|施工事例

一口メモ
世界的に著名な建築家・隈研吾氏が主宰する隈研吾建築都市設計事務所が設計した「和歌山県・有和中学校」新校舎にも、当社突板製品が採用されました。




まとめ|国産材利用はカーボンニュートラル実現への鍵

カーボンフットプリントは、商品・サービスのライフサイクルを通して排出されるCO2量を“見える化”する取り組みです。

しかし、まだまだ十分普及しているとは言えず、建築材料で認定を受けているものはほんのわずか。

大切なのは認定を受けた材料を使うことではなく、出来るだけ建物のライフサイクルCO2量を最小限に抑えることであることを忘れてはいけません。

製造・加工にかかるCO2排出量の少ない木材利用、特に国産材利用は、まさにカーボンニュートラル実現へ効果が高いとされています。

ぜひ、建築デザインへ「国産材」を使った建築材料の採用をご検討ください。

そこで“恩加島木材”がおすすめするのが、「突板製品」。

人工的な材料の持つ施工性と、無垢材の持つ“木本来”の質感の両方を兼ね備えている点が強みです。

“恩加島木材”は長年培った経験と知識をもとに、みなさんの設計デザインをお手伝いさせていただいております。

製品は、天然木突板を使った化粧板やフローリング材、ルーバー、有孔ボードなど多岐にわたっているため、空間のトータルコーディネートも可能です。

「環境に配慮した製品を取り入れたい」「統一性のある洗練されたデザインを実現させたい」とお考えの方は、ぜひに一度恩加島木材の突板製品をご検討ください。




日本初〉大臣認定取得|恩加島木材の“不燃突板複合板”

難燃_不燃複合板

建築基準法上で「特殊建築物」に指定される商業施設や宿泊施設などを建てる際に欠かせないのが、“不燃突板複合板”です。

天然木突板(厚さ0.2mm)に不燃材料である無機質不燃板(厚さ6・9mm)を貼り合わせた材料です。

しかし、今までの不燃突板化粧板には施工上の問題点がありました。

  • 重い
  • 割れやすい
  • 高コスト
  • ビスが効かない


それらの問題を解決したのが、恩加島木材の不燃突板複合板」です。

天然木突板(厚さ0.2mm)+ 無機質不燃板「ダイライトFAL」(厚さ6mm)+ 特殊合板(厚さ9mm)で構成されているため、ビスが効いて割れません。また、軽量化されたため、施工効率もアップします。
※幅290mmまでは本実加工も可能です。

日本で初めて大臣認定を受けたため、安心して採用していただけます。

不燃突板複合板大臣認定取得





恩加島木材が現場の様々なご要望にお応えします

「プリントシート材の木目だと味気なく個性が出せない」「天然木を使用したいが無垢材だとコストが高くメンテナンスが不安」そんな時には、天然木突板を使っておしゃれで安らげる空間をデザインしてみませんか?

恩加島木材の歴史ある熟練技術で、デザイナー様や設計士様の疑問やご要望にお応えします。

随時、木材選定から各種オーダー加工に関するご相談を承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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