突板化粧板のデメリットや注意点は?メーカーだから分かる解決方法を紹介

突然ですが、みなさんは「突板化粧板」についてどれくらい知っていますか?

なんとなくのイメージしかない方も多いでしょう。

しかし、内装材料を選ぶ際には、その素材の欠点や解決策も十分知っておかなくてはいけません。

そこで、今回は「突板化粧板」のデメリットについて、長年向き合ってきたメーカーだから分かる対策を解説します。

「美しいウッドインテリアに仕上げたい」「“木”を取り入れたいが、突板化粧板を採用するか迷っている」という方は、是非参考にしてください。

このコラムのポイント
●突板化粧板は、無垢材と比べると「施工性・品質安定性・コスト」に関してメリットが多い内装仕上げ材です。
●お手入れ面や経年変化など、採用する前に知っておくべきデメリットや注意点があり、その対策を知っておくことが重要です。
●恩加島木材は、環境に配慮しつつ国内外から多数の高品質の天然木を仕入れ、常にお客様のニーズに応えられるよう努めております。




突板化粧板とは?メリットは?

突板練付化粧板

突板化粧板とは、表面材である「突板」と、基材となる合板などを貼り合わせた内装仕上げ材です。

突板は、天然木をシート状にスライスしたものなので、木目や風合いはまさに“木そのもの”。

以下のようなメリットがあります。

「温度・湿度によって変形しにくい」

無垢材は空気中の水分を吸収・放出するため、温度や湿度の変化によって反り・歪み・伸縮などの変形を起こし、ひどい場合では割れたり裂けたりします。

しかし、天然木部分が薄い突板化粧板は、そのようなリスクがかなり低いです。

「軽量で施工しやすい」

天然木100%の無垢材や集成材は、どうしても重量があり、施工面であまり効率が良くありません。

突板化粧板は天然木部分が薄いので、無垢材などと比べると軽量です。

「天然木由来の材料の中では比較的安価」

突板は天然木を“桂剥き”の要領でスライスするため、一本の丸太から大量に製造できます。

そのため、無垢材よりもコストがかからず、なおかつ銘木などの希少樹種も、比較的安価でデザインに取り入れられます。

「同じ色味の材料を大量に入手しやすい」

ホテルなど、同じ色味の内装仕上げ木材を大量に用意しなくてはいけない場合、無垢材ですと個体差によって均一な見た目の材料を揃えることは困難です。

しかし、同じ丸太から削り出された突板を貼った化粧板なら、色味の揃った材料を多く入手できます。

「R加工や端部加工などにも対応できる」

無垢材で曲線を表現する場合、大きな材料を削らなくてはいけないため、コスト面でも環境面でも無駄が生じてしまいます。

一方、突板化粧板は熱処理によってR(曲線)加工をすることができます。

また、無垢材と比べても意匠的に遜色ないように、端部(木口)に塗装を施したり突板テープを貼ることも可能です。


このように、突板化粧板は、無垢材と同様に天然木本来の木目や風合いを持ちながらも、品質の安定性や施工性などの面においてメリットが多いため、様々な建築物の内装仕上げに用いられています。

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突板化粧板を採用する際の注意点やデメリットは?

ここまで突板化粧板のメリットを紹介しましたが、もちろんデメリットや注意点がない訳ではありません。

ですから、必ず以下の点についても十分理解しておきましょう。

  • キズや凹み、シミの補修がしずらい
  • 大判一枚板と同じようなダイナミックな木目は表現できない
  • 木口部分は衝撃に弱い
  • 表面の突板が剥離する可能性がある
  • 無垢材と同様に変色などの経年変化が起こる
  • 無垢材と同様に水に弱いものが多い




デメリットの解決策や対処方法は?

突板化粧板のデメリットを解消

突板化粧板は、無垢材のような本物の質感を持ちながらも、施工しやすく時間が経っても変形しにくいなどのメリットがあります。

しかし、一方で無垢材よりも劣る点や、無垢材と同様のデメリットがあるのも事実です。

そこで、ここではそれぞれの解決策・対処方法について、“突板化粧板のプロ”が解説します。

キズ・凹み・シミを補修しづらい

無垢材は表面にキズや凹み、シミがついた場合に削って補修することができます。

一方、表面材と基材の材質が異なる突板化粧板は、表面をやすりがけすると基材が見えてしまうため、補修しきれません。

しかし、摩耗跡や浅いキズは補修できる可能性もありますので、できるだけ分厚い突板が貼ってある化粧板を選びましょう。

また、商品によっては表面に耐キズ塗装が施されているものもあるため、そちらもおすすめです。

ポイント
恩加島木材では、表面の耐キズ塗装に特化した「KDパネル」を取り扱っています。
突板の標準厚さが0.2mmなのに対して、KDパネルには“厚さ0.5mm”の突板を使用し、さらに表面強度は自動車の塗装と同じ程度の硬さ”鉛筆高度4H”です。

▶︎「KDパネル」の詳細はこちらから


ダイナミックな木目が表現できない

大木から切り出した板材は、大きくダイナミックな木目が現れますが、突板の幅は最大でも600mm程度です。

そのため、ある程度の大きさの化粧板にするためには、複数の突板を並べて貼らなくてはいけません。

継ぎ目が気になるという方は、できるだけ木目がシンプルで主張のないブラックウォールナットやチークなどの樹種を選んでみてください。

ポイント
恩加島木材では、熟練した技術と経験を持つ職人が、その日の空気環境に合わせて指先の感覚を頼りに、薄い突板を隙間なく美しく見えるように貼り合わせます。
また、天然木の風合いを最大限に表現できるように、木目の向きやバランスへも徹底的にこだわっています。




木口部分は衝撃に弱い・表面の突板が剥離する可能性がある

表面材と基材を接着している突板化粧板は、どうしても木口に衝撃を受けると欠けてしまう可能性が高いです。

また、家具などに用いた場合、長年使っているうちに端部から表面材が剥がれたなどのケースも耳にします。

ただし、そもそも上質の化粧板であれば滅多なことがない限り表面材は剥がれてきません。

また、端部の処理や木口の加工によって、破損や剥離のリスクがかなり抑えられます。

物がぶつかりやすい場所へ施工する場合は、木口に突板よりも分厚い挽板を貼ったり、角を落とす面取り加工したりしておくのがおすすめです。

また、木口貼り加工や木口塗装加工で見た目を美しくすることも設計デザインの重要ポイント。

強度を高めたい場合には、コーナーにスチール製のフラットバーをつけるなどの補強をしておくと良いでしょう。

ぜひ、端部の仕様や納まりまでこだわってみてください。

木口加工


このコラムのポイント
恩加島木材は、創業以来、様々な現場へ突板製品を納めてきた実績があります。
細かな納まりにもできる限り対応するように努めておりますので、「このような場合にはどうすればいい?」とお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。


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変色などの経年変化が起こる

突板は天然木由来なので、無垢材同様、紫外線による変色は避けられません。

また、チェリーやウォールナットのように、日焼けが原因ではなく経年によって段々色味が変わってくる樹種もあります。

しかしこれらを天然木が織りなす“味や趣”と捉えれば、愛着の湧く内装になるはずです。

ただし、気をつけなくてはいけない変色もあります。

金属汚染や酸汚染、アルカリ汚染による変色は、不自然になってしまうので気をつけましょう。

「金属汚染」

無垢材と金属(主に鉄)が長時間触れ続けると、湿気によって錆のような跡がついてしまいます。

シミになるため、中性洗剤などを使っても簡単には落とせません。

オーク・メープル・ウォールナット・チェリー・クリなどは、特に金属汚染しやすいので気をつけましょう。

「酸汚染」

しつこい汚れがついてしまったからといって、強酸性洗剤を使うと油染みのような跡がつく場合もあります。

こちらも拭き取ることはできず、基本的には落とせません。

ヒノキ・スギ・パインなど、比較的明るい色の樹種が変色しやすいため、注意してください。

「アルカリ汚染」

最近、汚れを落とす際に洗剤の代わりに重曹を使う方も多いですが、無垢材がアルカリ性物質に触れ続けると、白や焦茶などに部分変色してしまいます。

セスキや強アルカリ性洗剤を使った場合も同様なので、十分気をつけましょう。

オーク・メープル・ウォールナット・スギなどは、特にアルカリ汚染しやすいと言われています。


ポイント
金属汚染は表面を研磨することで落とせるという情報がありますし、酸汚染の場合はセスキ、アルカリ汚染の場合はクエン酸を使うと薄くなるとも言われていますが、表面塗装の種類によっては余計に変色が目立ってしまう恐れがあります。
まずは何も手をつけず化粧板のメーカーに相談してください。



水に弱い

天然木の表面に保護コーティングなどをしていなければ、水が跳ねるとシミになってしまいます。

また、大量の水を吸収すれば膨張し、変形を引き起こす可能性が高いです。

突板化粧板も同様で、表面塗装されていないものは、やはり水には十分気をつけなくてはいけません。

ちなみに、オイル塗装など浸透系塗料では、水分の吸収を抑えきることはできないので、万が一濡れてしまった場合には、速やかに乾いた布巾で拭き取りましょう。

汚れを落としたい場合も、硬く絞った布巾で拭き取る程度にとどめてください。

キッチンカウンターなどの水回りに突板化粧板をどうしても使いたい場合は、ウレタン塗装などの造膜塗装が施されたものがおすすめです。

ポイント
恩加島木材では、ウレタンクリア塗装から着色塗装、UV塗装、抗ウイルス塗装まで、全て専門の職人が自社工場で行なっています。 数量によってはオーダー塗装も承っておりますので、お気軽にご相談ください。


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創業70年の技術と経験が創る“恩加島木材”の突板化粧板製品

内装仕上げに木材を使う場合は、“突板化粧板”をおすすめします。

無垢材は施工時の含水率と時間が経過した状態の含水率の変動によって、反りや木割れが起きてしまうリスクは避けられません。

一方、突板化粧板は寸法安定性の高い合板などを基材にするため、施工性も高く湿度変化によって変形する心配が少ないのです。

実は、突板の原料は水分を多く含む生材(なまざい)。

柔らかい生材を薄くスライスしてから含水率10〜15%にまで乾燥させて基材と張り合わせることで、美しい木目を表現できます。

私たち“恩加島木材工業”は、1947年に創業以来、突板製品専門メーカーとして時代の変化を見極めながら、国内に限らず世界中の銘木を使って、良質でバラエティに富んだ内装材を提供し続けてきました。

突板の常備在庫はおよそ1000束に上り、その豊富なストックから、仕様やご要望に応じて一枚一枚丁寧に選定しています。

0.2mmという極薄にスライスされた突板は気温や湿度により、生き物のように大きく変化します。

その小さな変化を感じながら、熟練した職人が手作業でそれを貼り合わせていくのです。

貼り合わせた突板はその日の環境に合わせて、樹種ごとにプレス時間、温度、圧力を細かく調整し、高圧ホットプレス機で圧着し、化粧板などの製品となり、お客様の元へと届きます。

木の特性を熟知した“恩加島木材工業”が自信を持ってご提供する突板製品は、多くの住宅や公共施設にて採用されています。

内装の木質化は、今やカーボンニュートラルや脱炭素化の実現には欠かせないと言っても過言ではありません。

輸送過程での二酸化炭素排出量を大きく削減できる地産材(地域材)の取り扱いもございますので、ウッドインテリアをご検討中の方は、ぜひ一度“恩加島木材工業”の製品をご覧ください。

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KDパネルとは

KDパネルは、台湾・KEDING社製の天然木化粧合板で、0.5mmの厚単板で木目の立体感を、特殊UV塗装で耐久性と抗菌性能を付与した今までに無い化粧合板です。

天然木本来の質感と、メラミン化粧板のような強度・施工性を兼ね備えています。

恩加島木材工業が自信をもって展開する日本初上陸のプロダクトです。

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PANESSE(パネッセ)

天然木練付化粧板のシリーズで、基材によって「不燃ボード」「難燃ボード」「MDF化粧合板」「突板シート」「有孔パネル」「テクスチャーボード」と多彩なラインナップを実現。

樹種も40種類以上からお選びいただけますし、産出地を限定した地産材のご注文も承っております。

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リブパネル・ルーバー

最近トレンドのリブパネルやルーバーも、その他化粧板と同じ樹種で製造しております。

リブパネルは、もちろん天然木練付化粧板に貼り付けた仕様で、あらかじめ工場でパネル組みをしている高精度・省施工型の製品です。

ルーバーも同様で、精度の高い高意匠ルーバーとして人気商品となっています。

基材は木芯・不燃(ダイライト、エースライトなど)からアルミ押出成形品(※ルーバーのみ)まで対応しておりますので、内装制限のある建物にもご採用いただけます。

リブパネルはHPより規格書もダウンロードできますので、是非ご検討ください。

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用途を問わず様々な施設にご採用いただいております

恩加島木材の突板製品は、建物の用途を問わず様々な施設にご採用いただいております。

ホームページでは随時、施工事例や納入実績を紹介していますので、気になる方はぜひ併せてご覧ください。

恩加島木材工業株式会社|納入実績
恩加島木材工業株式会社|施工事例

一口メモ
世界的に著名な建築家・隈研吾氏が主宰する隈研吾建築都市設計事務所が設計した「和歌山県・有和中学校」新校舎にも、当社突板製品が採用されました。




恩加島木材の取り組みや今後の目標

私たち“恩加島木材”は、地球環境や森林維持のために様々な取り組みを行っており、国産材の積極的な利用はもちろん、製造工程の自然エネルギー活用など、トータルCO2排出量の削減に努めています。

再生エネルギーの導入

自社工場への太141kw陽光発電システムおよび蓄電池を導入いたします。
(2023年6月、稼働決定)

持続可能な製品の開発製造

植林木を利用した人工突板の開発を進めています。

地産材の積極的利用

日本の貴重な資源である“森林”、そして林業・製材業を守るため、原産地を日本国内ならず地域を限定した樹種を積極的に取り扱っています。

地産材の納入実績
JR北陸新幹線・長野駅 コンコース内天井(長野県産杉利用)
香川県多度津町庁舎(香川県産材利用)
某百貨店 什器(大阪府内産桧利用)
新居浜商業高校 体育館(愛媛県産材利用)
京都女子大学(京都府内産桧利用)
京都 某ホテル(京都府内産利用)


「建築デザインに環境への配慮を反映させたい」「長く愛され続ける建物にしたい」そのようにお考えの方は、ぜひ私たち”恩加島木材工業”の突板製品をご採用ください。


〈関連ページ〉

恩加島木材工業株式会社|製品案内|原産地(日本)

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今こそ木材も“地産地消”する時代。脱炭素化に向けた地産材・地域材利用について解説
“人工突板”は天然木由来の建材。基礎知識やウッドショックとの関連性について解説



まとめ|突板の特性を知って採用することが重要

無垢材と比べて軽量で品質が安定している突板化粧板ですが、採用する前に知っておかなくてはいけない注意点もあります。

後悔しないためには、デメリットを踏まえて、施工する場所や用途、設計デザインを検討することが重要です。

突板化粧板について少しでも疑問や不安がある方は、まず私たちへご相談ください。

“恩加島木材”は長年培った経験と知識をもとに、みなさんの設計デザインをお手伝いさせていただいております。

製品は、天然木突板を使った化粧板やフローリング材、ルーバー、有孔ボードなど多岐にわたっているため、空間のトータルコーディネートも可能です。

「環境に配慮した製品を取り入れたい」「統一性のある洗練されたデザインを実現させたい」とお考えの方は、ぜひに一度恩加島木材の突板製品をご検討ください。




日本初〉大臣認定取得|恩加島木材の“不燃突板複合板”

難燃_不燃複合板

建築基準法上で「特殊建築物」に指定される商業施設や宿泊施設などを建てる際に欠かせないのが、“不燃突板複合板”です。

天然木突板(厚さ0.2mm)に不燃材料である無機質不燃板(厚さ6・9mm)を貼り合わせた材料です。

しかし、今までの不燃突板化粧板には施工上の問題点がありました。

  • 重い
  • 割れやすい
  • 高コスト
  • ビスが効かない


それらの問題を解決したのが、恩加島木材の不燃突板複合板」です。

天然木突板(厚さ0.2mm)+ 無機質不燃板「ダイライトFAL」(厚さ6mm)+ 特殊合板(厚さ9mm)で構成されているため、ビスが効いて割れません。また、軽量化されたため、施工効率もアップします。
※幅290mmまでは本実加工も可能です。

日本で初めて大臣認定を受けたため、安心して採用していただけます。

不燃突板複合板大臣認定取得





恩加島木材が現場の様々なご要望にお応えします

「プリントシート材の木目だと味気なく個性が出せない」「天然木を使用したいが無垢材だとコストが高くメンテナンスが不安」そんな時には、天然木突板を使っておしゃれで安らげる空間をデザインしてみませんか?

恩加島木材の歴史ある熟練技術で、デザイナー様や設計士様の疑問やご要望にお応えします。

随時、木材選定から各種オーダー加工に関するご相談を承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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