国産材の二代巨頭「杉」と「桧」の違いは?特徴・見た目・価格などについて解説

杉と桧の違い

2021年に起きたウッドショックをきっかけに、日本の豊かな森林資源が生み出した「国産材」に注目が集まっています。

特に生産量の多い杉・桧(ひのき)は、建築材料として使われることが多いですが、同じ針葉樹なので混同されてしまうことも少なくありません。

そこで、今回は「杉」と「桧」の違いについて、木材のプロが詳しく解説します。

「国産材を建築に取り入れたい」「美しく高品質なウッドインテリアを目指したい」という方は、是非参考にしてください。

このコラムのポイント
●「杉」と「桧」には似たような特徴がありますが、見た目や経年変化に少々違いがあります。
●「杉」よりも「桧」の方が高値で取引されますが、突板製品ですと価格の差を小さく抑えられます。
●恩加島木材は、環境に配慮しつつ国内外から多数の高品質の天然木を仕入れ、常にお客様のニーズに応えられるよう努めております。




国産材の大半を占める「杉」と「桧」

木目を活かす木材の表面仕上げ

日本は、その国土の2/3を森林が占める森林大国です。

その中でも多く生息しているのが杉や桧などの針葉樹。

我が国の森林面積はほぼ横ばいで推移しており、平成29(2017)年3月末現在で2,505万haであり、国土面積3,780万haのうち約3分の2が森林となっている。

我が国の森林面積のうち約4割に相当する1,020万haは人工林で、終戦直後や高度経済成長期に伐採跡地に造林されたものが多くを占めており、その半数が一般的な主伐期である50年生を超え、本格的な利用期を迎えている。

人工林の主要樹種の面積構成比は、スギが44%、ヒノキが25%、カラマツが10%、マツ類(アカマツ、クロマツ、リュウキュウマツ)が8%、トドマツが8%、広葉樹が3%となっている。

(引用:林野庁|森林の適正な整備・保全の推進



今まで、特に建築業界は木材を輸入材(外材)に頼ってきましたが、ウッドショックによる木材価格高騰や流通遅延、材料不足などの利用から、「国産材」利用への注目が高まっています。

国産材を積極的に活用することは、輸送エネルギーの削減などの環境的なメリットや、林業・製材業、ひいては地方経済の活性化を生み出すため、サスティナブルな取り組みとしても無視できません。

政府による推進活動が功を奏して、実際に木材自給率(建築用材)は順調に上昇しています。(2019年[46.3%]・2020年[47.2%]・2021年[48.0%]) ※参考:農林水産省|木材需給表

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ポイント
杉・桧は全国の森林で満遍なく植林されているため、地域を限定した地産材を使いたい方から、多く選ばれています。




特徴や見た目・経年変化の違いは?

表面仕上げの方法を選ぶポイントは「耐久性」と「質感」

杉と桧はどちらも針葉樹なので混同されやすいですが、見た目や特性において少々違いがあります。

そのため、施工場所や施設用途、デザインに応じて、適切な方を選びましょう。

では、それぞれの特徴を紹介します。

すぎ

杉は油分が少なく、軽くて柔らかい点が特徴で、加工しやすい点がメリットです。

軽量なので、構造体・造作材・内装材と幅広い用途で使われています。

また、木造の中でも熱伝導が低いため、断熱性が期待でき、さらに通気性や防水性が比較的高い点もポイント。(参考:道南スギ産地形成推進協議会

木目は直線的かつシンプルで白っぽく、あまり艶感はありません。

ただし、経年変化によって全体的に黄色味がかり、木目がより一層浮き出て見えるようになります。


桧(檜・ひのき)

桧

1000年以上前から寺社仏閣に用いられてきた桧。

今でも、杉と同様に住宅の構造体・造作材・内装材などに用いられています。

杉よりも防虫性をもたらす匂い成分が多く、シロアリや腐朽菌を寄せ付けにくい作用が特徴です。

研究によって、ダニ抑制や消臭機能の効果があることもわかっています。

また、桧は建材として設置されてから年月が経てば立つほど強度が増すという特徴もあるため、良質な建材として長年活用されてきました。(参考:国立研究開発法人 科学技術振興機構「木材の経年変化 歴史的建造物由来ヒノキ古材を用いた検討」

樹皮に近い辺材は白く黄色味を帯びており、樹心に近い心材は少し薄いピンク味を帯びています。

木目は杉同様にまっすぐですが、全体的にあまり目立ちません。

経年すると全体的に飴色へと変色し、光沢感が増してきます。


ポイント
杉と桧は、根本的な特徴が似ていますが、桧の方がその性質が全体的に高いとされています。



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価格の違いは?

突板の入札即売会に参加20220914a

杉と桧を比べると、同じような特性や見た目であるものの、桧の方が耐久性などに優れており、希少価値が高いとされています。

そのため、杉よりも桧の方が高値で取引されるのが通常です。

令和2(2020)年の素材価格の平均は、スギは12,700円/m3(前年比800円/m3安)、ヒノキは17,200円/m3(前年比900円/m3安)、カラマツは12,500円/m3(前年比100円/m3高)となった。

(中略)

令和2(2020)年の国産材の製材品価格は、スギ正角(しょうかく)乾燥材)は66,700円/m3(前年同)、ヒノキ正角(しょうかく)(乾燥材)で85,500円/m3(前年比400円/m3安)となった。

(引用:林野庁|木材需給の動向


(引用:林野庁|木材需給の動向


上のグラフを見てみると、丸太の状態で杉材に対して桧材は+35%、製材では+28%の価格差があることが分かります(2020年時点)。

そのため、建築規模が大きくなればなるほど、材料コストの差が広がってしまいます。

「どうしても桧材にこだわりたい」という方におすすめなのが、“突板化粧板”。

突板とは、天然木を薄くスライスした材料で、それを基材となる合板に貼り付けて化粧板として使用します。

無垢材のような変形リスクが少なく、美しい木目の材料をまとまった量入手できる点がメリットです。

ポイント
杉と桧の価格差を、無垢材や製材よりも少ない10%前後に狭まるため、導入コストのハードルを下げられます。



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杉・桧を内装へ取り入れるなら“恩加島木材”の突板化粧板がおすすめ

“恩加島木材”の突板化粧板製品

内装仕上げに木材を使う場合は、“突板化粧板”をおすすめします。

無垢材は施工時の含水率と時間が経過した状態の含水率の変動によって、反りや木割れが起きてしまうリスクは避けられません。

一方、突板化粧板は寸法安定性の高い合板などを基材にするため、施工性も高く湿度変化によって変形する心配が少ないのです。

実は、突板の原料は水分を多く含む生材(なまざい)。

柔らかい生材を薄くスライスしてから含水率10〜15%にまで乾燥させて基材と張り合わせることで、美しい木目を表現できます。

私たち“恩加島木材工業”は、1947年に創業以来、突板製品専門メーカーとして時代の変化を見極めながら、国内に限らず世界中の銘木を使って、良質でバラエティに富んだ内装材を提供し続けてきました。

突板の常備在庫はおよそ1000束に上り、その豊富なストックから、仕様やご要望に応じて一枚一枚丁寧に選定しています。

木の特性を熟知した“恩加島木材工業”が自信を持ってご提供する突板製品は、多くの住宅や公共施設にて採用されています。

内装の木質化は、今やカーボンニュートラルや脱炭素化の実現には欠かせないと言っても過言ではありません。

輸送過程での二酸化炭素排出量を大きく削減できる地産材(地域材)の取り扱いもございますので、ウッドインテリアをご検討中の方は、ぜひ一度“恩加島木材工業”の製品をご覧ください。

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KDパネルとは

KDパネルは、台湾・KEDING社製の天然木化粧合板で、0.5mmの厚単板で木目の立体感を、特殊UV塗装で耐久性と抗菌性能を付与した今までに無い化粧合板です。

天然木本来の質感と、メラミン化粧板のような強度・施工性を兼ね備えています。

恩加島木材工業が自信をもって展開する日本初上陸のプロダクトです。

▶︎製品の詳細はこちらから


PANESSE(パネッセ)

天然木練付化粧板のシリーズで、基材によって「不燃ボード」「難燃ボード」「MDF化粧合板」「突板シート」「有孔パネル」「テクスチャーボード」と多彩なラインナップを実現。

樹種も40種類以上からお選びいただけますし、産出地を限定した地産材のご注文も承っております。

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ルーバー

最近トレンドのルーバーも、その他化粧板と同じ樹種で製造しております。

もちろん天然木練付化粧板に貼り付けた仕様で、あらかじめ工場でパネル組みをしている高精度・省施工型の製品です。

基材は木芯・不燃(ダイライト、エースライトなど)からアルミ押出成形品まで対応しておりますので、内装制限のある建物にもご採用いただけます。

▶︎製品の詳細はこちらから


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用途を問わず様々な施設にご採用いただいております

恩加島木材の突板製品は、建物の用途を問わず様々な施設にご採用いただいております。

ホームページでは随時、施工事例や納入実績を紹介していますので、気になる方はぜひ併せてご覧ください。

恩加島木材工業株式会社|納入実績
恩加島木材工業株式会社|施工事例

一口メモ
世界的に著名な建築家・隈研吾氏が主宰する隈研吾建築都市設計事務所が設計した「和歌山県・有和中学校」新校舎にも、当社突板製品が採用されました。




恩加島木材の取り組みや今後の目標

恩加島木材の取り組みや今後の目標

私たち“恩加島木材”は、地球環境や森林維持のために様々な取り組みを行っており、国産材の積極的な利用はもちろん、製造工程の自然エネルギー活用など、トータルCO2排出量の削減に努めています。

再生エネルギーの導入

自社工場への太陽光発電システム(141kw)および蓄電池を導入いたします。
(2023年10月、稼働開始)

持続可能な製品の開発製造

植林木を利用した人工突板の開発を進めています。

地産材の積極的利用

日本の貴重な資源である“森林”、そして林業・製材業を守るため、原産地を日本国内ならず地域を限定した樹種を積極的に取り扱っています。

地産材の納入実績
JR北陸新幹線・長野駅 コンコース内天井(長野県産杉利用)
香川県多度津町庁舎(香川県産材利用)
某百貨店 什器(大阪府内産桧利用)
新居浜商業高校 体育館(愛媛県産材利用)
京都女子大学(京都府内産桧利用)
京都 某ホテル(京都府内産利用)


「建築デザインに環境への配慮を反映させたい」「長く愛され続ける建物にしたい」そのようにお考えの方は、ぜひ私たち”恩加島木材工業”の突板製品をご採用ください。


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恩加島木材工業株式会社|製品案内|原産地(日本)

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まとめ|似ているからこそ違いを知ることが重要

杉と桧は同じ針葉樹であり、日本の人工林に多く植林されます。

それぞれ似たような特性を持ちますが、桧の方が少しだけ優秀です。

そのため、無垢材ですとどうしても杉材よりも価格が高くなってしまいます。

そこでおすすめするのが「突板化粧板」。

天然木の風合いを残しつつ、杉材と桧材の価格差を縮められます。

突板化粧板について少しでも疑問や不安がある方は、まず私たちへご相談ください。

“恩加島木材”は長年培った経験と知識をもとに、みなさんの設計デザインをお手伝いさせていただいております。

製品は、天然木突板を使った化粧板やフローリング材、ルーバー、有孔ボードなど多岐にわたっているため、空間のトータルコーディネートも可能です。

「環境に配慮した製品を取り入れたい」「統一性のある洗練されたデザインを実現させたい」とお考えの方は、ぜひに一度恩加島木材の突板製品をご検討ください。




日本初〉大臣認定取得|恩加島木材の“不燃突板複合板”

難燃_不燃複合板

建築基準法上で「特殊建築物」に指定される商業施設や宿泊施設などを建てる際に欠かせないのが、“不燃突板複合板”です。

天然木突板(厚さ0.2mm)に不燃材料である無機質不燃板(厚さ6・9mm)を貼り合わせた材料です。

しかし、今までの不燃突板化粧板には施工上の問題点がありました。

  • 重い
  • 割れやすい
  • 高コスト
  • ビスが効かない


それらの問題を解決したのが、恩加島木材の不燃突板複合板」です。

天然木突板(厚さ0.2mm)+ 無機質不燃板「ダイライトFAL」(厚さ6mm)+ 特殊合板(厚さ9mm)で構成されているため、ビスが効いて割れません。また、軽量化されたため、施工効率もアップします。
※幅290mmまでは本実加工も可能です。

日本で初めて大臣認定を受けたため、安心して採用していただけます。

不燃突板複合板大臣認定取得





恩加島木材が現場の様々なご要望にお応えします

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「プリントシート材の木目だと味気なく個性が出せない」「天然木を使用したいが無垢材だとコストが高くメンテナンスが不安」そんな時には、天然木突板を使っておしゃれで安らげる空間をデザインしてみませんか?

恩加島木材の歴史ある熟練技術で、デザイナー様や設計士様の疑問やご要望にお応えします。

随時、木材選定から各種オーダー加工に関するご相談を承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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