難燃材料とは|不燃・準不燃材料との違い、関連告示、種類を解説

難燃材料とは|不燃・準不燃材料との違い、関連告示、種類を解説

難燃材料とは防火材料の一種で、建築基準法に沿った設計に欠かせません。

そこで今回は、難燃材料について不燃・準不燃材料との違いや用途・施工部位、種類を“1947年創業の恩加島木材”が詳しく解説します。

防火材料を選ぶ際のポイントとおすすめの木質内装建材も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

このコラムのポイント
●難燃材料は、建築基準法の防火規定をクリアするために欠かせない材料で、主に内装制限の対象範囲の仕上げ材に使用されます。

●難燃材料は、告示で指定されたものと大臣認定を受けたものに分かれます。

●難燃材料や準不燃・不燃材料を選ぶ際には、デザイン性や品質、施工性にもこだわりましょう。

●恩加島木材は国内外から産地にこだわった良質な突板を仕入れ、高品質で施工性・デザイン性の高い突板化粧板を製造しています。


難燃材料とは|不燃・準不燃材料との違い

難燃材料とは|不燃・準不燃材料との違い
PANESSE 天然木練付難燃化粧板

難燃材料とは、建築基準法で定められている「防火材料」の一種です。

防火材料とは、加熱されても発火しづらい性能が備わっているものを指し、基準や性能実験の方法は細かく決められています。

防火材料の認定条件は以下の3点です。

  • 燃焼しないものであること。
  • 防火上有害な変形、溶融、き裂その他の損傷を生じないものであること。
  • 避難上有害な煙又はガスを発生しないものであること。

難燃材料と同じく防火材料である不燃・準不燃材料との違いは、この3つの条件を維持できる時間の長さにあります。

防火材料の種類認定条件
(根拠となる条文)
難燃材料加熱開始後5分以上要件※を満たす
(建築基準法施行令第1条)
準不燃材料加熱開始後10分以上要件※を満たす
(建築基準法施行令第1条)
不燃材料加熱開始後20分以上要件※を満たす
(建築基準法施行令第108条の2)
※要件=建築基準法第108条の2「不燃性能及びその技術的基準」で定める3つの点

建築基準法では建物の構造(耐火・準耐火)や規模(階数・延床面積)、施工部位によって、「不燃・準不燃・難燃材料」のいずれかを使うことが義務付けられています。

上の表からも分かる通り、防火性能は「不燃>準不燃>難燃材料」で高く、難燃材料の使用が義務付けられている部分には不燃・準不燃材料を使用することも可能です。

▶︎おすすめコラム:突板不燃化粧板|特徴やメラミン化粧板・化粧ケイカル板との違いを解説


難燃材料の用途と施工部位

難燃材料の用途と施工部位

難燃材料は、火災時の延焼や建物破損を最小限に抑えるためのもので、部位ごとに防火規定の内容は異なります。

難燃材料が必要となるのは、主に「特殊建築物における内装制限」です。

※準不燃・不燃材料は、内装制限に加えて「耐火建築物・準耐火建築物の構造体及び外装仕上げ材、看板などの造作物」にも用いられます。詳しくは、「建築基準法における“不燃材料”の定義|設計で欠かせないルールと材料選定のコツ」をご覧ください。

内装制限は建築基準法第35条の2「特殊建築物等の内装」によって定められ、特殊建築物※において火災時に内装材が燃えて建物利用者の避難を妨げたり有害ガスによる被害が出たりするのを防ぐためのルールです。

※特殊建築物:不特定多数の人が利用する公共性の高い建物(建築基準法第2条第2項「用語の定義」

以下に該当する建物の居室及び廊下や階段などの「壁・天井」の仕上げには、不燃・準不燃・難燃材のいずれかを使用する必要があります。

  • 特殊建築物(用途によって基準の内容に違いあり)
  • 3階建て・延べ床面積500㎡を超える特殊建築物以外の建築物
  • 2階建て・延べ床面積が1,000㎡を超える特殊建築物以外の建築物
  • 平屋(1階建て)・延べ床面積が3,000㎡を超える特殊建築物以外の建築物
  • 11階建て以上(高さ31m以上)の建築物
  • 地下街
  • 非常用エレベーター用乗降ロビーや避難階段
  • 調理室などの火気使用室(主要構造部を耐火構造とした場合は除く)
  • 無窓居室

建物の種類や施工部位(壁か天井か、居室か廊下・階段か)によって、不燃・準不燃・難燃材料のどれを使用しなくてはいけないかが細かく決められているため、設計の際には詳細をご確認ください。

防火区画の仕上げを除き、内装制限に該当する大半の範囲は、準不燃材料もしくは難燃材料で規定をクリアできます。

▶︎おすすめコラム:内装制限の範囲はどこまで?対象となる部分・ならない部分を徹底解説


難燃材料の種類と具体例一覧|告示・大臣認定

施工事例:スプランディッド大阪WEST

難燃材料は、建設省告示※に明記されている材料と、それ以外で個別に国土交通大臣から認定を受けている材料に分かれます。

※建設省告示:建設省(現、国土交通省)が建築基準法などの法令に基づき決定した基準や規定を広めるためのもの

告示にて定められている材料

難燃材料は、建設省告示第1402号「難燃材料を定める件」にて指定されています。

ここで重要なポイントは、「難燃材料に不燃・準不燃材料が含まれている」点です。

不燃・準不燃材料は難燃材料よりも耐火性が高いため、規定条件をクリアできるためです。

防火材料の種類種類・具体例
難燃材料・告示もしくは個別認定で準不燃材料に該当するもの(=不燃材料も含む)
・難燃合板で厚さが5.5mm以上のもの
・厚さが7mm以上のせっこうボード(ボード用原紙の厚さが0.5mm以下のものに限る。)
準不燃材料・告示もしくは個別認定で不燃材料に該当するもの
・厚さが9mm以上のせっこうボード(ボード用原紙の厚さが0.6mm以下のものに限る。)
・厚さが15mm以上の木毛セメント板
・厚さが9mm以上の硬質木片セメント板(かさ比重が0.9以上のものに限る。)
・厚さが30mm以上の木片セメント板(かさ比重が0.5以上のものに限る。)
・厚さが6mm以上のパルプセメント板
不燃材料・コンクリート
・れんが
・瓦
・陶磁器質タイル
・繊維強化セメント板
・厚さが3mm以上のガラス繊維混入セメント板
・厚さが5mm以上の繊維混入ケイ酸カルシウム板
・鉄鋼
・アルミニウム
・金属板
・ガラス
・モルタル
・しっくい
・石
・厚さが12mm以上のせっこうボード(ボード用原紙の厚さが0.6mm以下のものに限る。)
・ロックウール
・グラスウール板
(参考:建設省告示第1402号「難燃材料を定める件」建設省告示第1401号「準不燃材料を定める件」建設省告示第1400号「不燃材料を定める件」


大臣認定されている材料

告示に書かれている難燃材料以外でも、通常の火災を想定した加熱試験によって防火性が証明された材料は、国土交通大臣より個別認定番号を与えられます。

防火材料の種類認定番号
難燃材料RM-○○○○
RE-○○○○(外部仕上げ材)
準不燃材料QM-○○○○
QE-○○○○(外部仕上げ材)
不燃材料NM-○○○○
NE-○○○○(外装仕上げ材)
※○○○○は認定番号


ポイント
恩加島木材では、良質な突板を用いたPANESSE(パネッセ)シリーズを製造しております。

● 不燃・難燃の個別認定を取得済みの「難燃・不燃ボード」
●“国内初”孔を開けた状態で不燃認定を取得した「有孔パネル」
●化粧板では対応しづらい曲面部分の施工に適した不燃認定取得済み「不燃突板シート」

防火材料の使用が義務付けられている建物の設計デザインに木目を取り入れたい方は、お気軽に弊社までご相談ください。


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難燃材料(準不燃・不燃材料)を選ぶ際のポイント

不燃・準不燃・難燃材料を選ぶ際のポイント
施工事例:札の辻スクエア

難燃材料(準不燃・不燃材料)を選ぶ際には、その防耐火性だけではなく、デザイン性や品質、価格も確認しましょう。

施工効率性

防火認定を受けた内装仕上げ材にはいくつかの種類がありますが、その重量や加工性によって施工効率は変わります。

施工効率の高い材料は、工事費用や工期の圧縮につながる点がポイントです。

突板化粧板は、無垢材(不燃木材)よりも軽量で、工場生産されるため品質やサイズのムラが少なく、現場作業の負担を軽減できます。

意匠性

クロスや非木質の化粧板、無垢材は、防火規定を受ける部分とそれ以外の部分で見た目や質感を揃えるのが困難です。

しかし、恩加島木材の突板化粧板は非不燃・不燃で同じ突板を使い厚さ・サイズのレパートリーが豊富なので、天井・壁や床、造作家具、内装ドアなどのトータルコーディネートが可能になります。

表面塗装の種類

仕上げ材の表面塗装によって、色味や質感だけではなく、耐摩耗性や耐汚性は異なります。

恩加島木材では、ウレタン塗装やオイル塗装はもちろん、UV塗装などの特殊塗装も全て自社工場・自社スタッフで行なっているため、お客様個々のご要望に対応可能です。

▶︎おすすめコラム:ウレタン塗装・UV塗装・ラッカー塗装・オイル塗装… 各種木材塗装の違いは?抗ウイルス塗装についても解説

価格

材料によって価格帯が異なり、商業施設やホテル、病院など中規模以上の建築物では内装工事の面積が広いため、建築コストに大きく影響を及ぼします。

恩加島木材では、常時40種類以上の樹種を取り揃え、ホームページ(取扱樹種一覧)では価格を5段階からお選びいただけます。


環境配慮性

近年、建築に対する「環境配慮」の重要度が高まっており、材料選定においてもSDGs実現をコンセプトに掲げる事例も珍しくありません。

恩加島木材は国産材や地域材、小径材、間伐材の積極的活用を通じて、脱炭素化や地域経済の発展、林業・製材業の保護に努めています。

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高品質な突板化粧板は“恩加島木材”にご相談ください

高品質な突板化粧板は“恩加島木材”にご相談ください

恩加島木材は、国内外から良質でレパートリー豊富な突板を仕入れ、高品質な突板化粧板(天然木練付化粧板)を製造する建材メーカーです。

恩加島木材が自信を持って提供する「突板化粧板の強み」は以下の点です。

  • 無垢材と同様の「ナチュラルな見た目と質感」に仕上がる
  • 工業製品なので「品質安定性が高い」
  • 軽量化を実現でき、「施工効率性アップ」につながる
  • 無垢材よりも温度や湿度環境変化による「変形リスクが少ない」
  • 希少性があり高価な樹種でも、「無垢材より安価」で安定して材料を入手しやすい
  • 原木1本から取れる突板面積は無垢板材よりも広いため、「同じ風合いを大量入手しやすい」
  • 特殊塗装によって「表面の耐摩耗性・耐汚性」が高く、日焼けによる変色も抑えられる
  • 「不燃・難燃材料認定取得済み」製品もあり、内装制限のある建築物にも採用可能で、対象部分と対象外部分の仕上げを揃えられる


▶︎おすすめコラム:突板製品はこうして生まれる。森から現場までのプロセスは?生産工程や恩加島木材の強みを紹介

恩加島木材工業の突板化粧板シリーズ
● 豊富な樹種・木目とUV塗装も選べる「天然木練付突板化粧板(非不燃・不燃)
● 重い・割れやすい・高コスト・ビスが効かないなどの懸念点を解消した「不燃突板複合板
● 国内初・組み立てた状態で準不燃認定を取得した「リブパネル
● 国内初・孔を開けた状態で不燃認定を取得した「有孔ボード
● 0.5mm厚突板による立体感と特殊UV塗装で耐久性と抗菌性能を付与した日本初上陸のプロダクト「突板化粧合板・KDパネル

内装制限の対象となる建築物へご採用いただける製品を取り揃えておりますので、建物の設計デザインに木目を取り入れたい方はお気軽に弊社までご相談ください。



まとめ

難燃材料は、建築基準法の防火規定をクリアするために欠かせない材料で、主に内装制限の対象となる範囲の仕上げ材に使用されます。

難燃材料や準不燃・不燃材料を選ぶ際には、デザイン性や品質、施工性にもこだわりましょう。

木目を取り入れたデザインをご検討中の方には、恩加島木材の突板化粧板がおすすめです。

「思い通りのデザインを実現したい」「環境に配慮した建物にしたい」という方は、高品質でレパートリー豊富な恩加島木材の突板製品をご採用ください。