扉の「面材」とは|種類と用途、材料選びのポイント、メンテナンスについて解説

扉の“面材”とは|種類と用途、材料選びのポイント、メンテナンスについて解説

造作家具やキッチン・洗面化粧台などの扉に使われているのが「面材」です。

しかし、面材と言っても種類によって特徴は異なります。

そこで今回は扉の面材に使われる化粧板の種類とそれぞれの特徴・用途、面材を選ぶ際のポイントについて「1947年創業の恩加島木材」が解説します。

多くの方からいただくメンテナンスなどに関するご質問やおすすめの木質建材も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

このコラムのポイント
●扉の面材に用いられる化粧板は、表面材の違いによっていくつかの種類に分けられます。

●化粧板それぞれの特徴を知り、適切な材料を選ぶことが重要です。

●天然木にこだわった木目のドアを採用したい場合におすすめの材料が「突板化粧板」です。

●恩加島木材は国内外から産地にこだわった良質な突板を仕入れ、高品質で施工性・デザイン性の高い突板化粧板を製造販売しています。


扉の「面材」とは

扉の“面材”とは
PANESSE 天然木練付化粧板

建築において面材は広く板状の材料を指しますが、扉に用いられるのは主に化粧板で合板やMDFなどの基材(きざい)に、様々な素材の表面材を接着し、意匠性と耐久性をプラスした材料です。

日本農林(JAS)規格では「天然木化粧合板」や「特殊加工化粧合板」に該当するものが家具やキッチン、洗面化粧台などの扉の面材として用いられています。

扉の面材は、表面材の違いによっていくつかに分類され、それぞれ特徴が異なります。

扉の「面材」に使われる材料の種類・特徴・用途

扉の“面材”に使われる材料の種類・特徴・用途
施工事例:ザ・ファインタワー大手前

扉の面材として採用される化粧板は、主に以下の5種類に分けられます。

  • メラミン化粧板
  • オレフィン化粧板
  • ポリエステル化粧板
  • シート化粧板
  • 突板化粧板

では、それぞれ特徴と主な用途を紹介します。

メラミン化粧板

表面材色柄を印刷したパターン紙にメラミン樹脂をコーティングしたもの
基材メラミン樹脂やフェノール樹脂を染み込ませた紙を圧着したもの
特徴・耐キズ性・耐熱性・耐水性が高い(高圧と低圧で違いがある)
・印刷によって様々な色柄を表現できる
・価格が高い
用途
(主な採用場所)
・キッチンの扉面材
・キッチン・給湯室などの壁パネル
・トイレブースの面材


オレフィン化粧板

表面材色柄を印刷したオレフィン※シートにコーティングしたもの
基材合板・MDF・不燃パネルなど
特徴・製造時における二酸化炭素排出量が少なく、VOC※を含まないため環境負荷が少ない
・耐水性が高い
・印刷によって様々な色柄を表現できる
用途
(主な採用場所)
・キッチンの扉面材
・造作家具の扉面材
・内装ドアの面材
・天井や壁の仕上げ材

※オレフィン:プラスチック(樹脂)の一種で、ポリエチレン(PE)・ポリプロピレン(PP)・炭素(C)・水素(H)から作られる原料
※VOC:揮発性有機化合物の略称で光化学オキシダントやPM2.5など大気汚染物質の原因物質


ポリエステル化粧板

表面材色柄を印刷したパターン紙にポリエステル樹脂でコーティングしたもの
基材合板・MDFなど
特徴・表面の強度や耐水性はあまり高くない
・印刷によって様々な色柄を表現できる
・価格が安い
用途
(主な採用場所)
・賃貸物件などの内装仕上げ材
・安価な量産家具の面材


シート化粧板

表面材色柄を印刷したパターン紙
基材合板・MDFなど
特徴・表面の強度や耐水性は高くない
・印刷によって様々な色柄を表現できる
・ポリエステル化粧板よりもさらに価格が安い
用途
(主な採用場所)
・安価な量産家具の面材


突板化粧板

表面材突板(天然木を0.2〜0.3mmほどの薄いシート状にスライスした素材)
基材合板・MDF・不燃パネル・粘着シート材など
特徴・扉に用いられる面材の中で唯一、表面材が「天然素材」
・木そのものの色合いや質感が魅力
・無塗装品と塗装品を選べる(塗装品は耐摩耗性・耐汚性アップ)
用途
(主な採用場所)
・キッチンの扉面材
・造作家具の扉面材
・内装ドアの面材
・天井や壁の仕上げ材

突板は化粧板だけではなくフローリングの表面材にも用いられるため、扉と天井・壁・床をトータルコーディネートしたい場合におすすめです。

▶︎おすすめコラム:天然木にこだわるなら突板練付化粧板。メラミン化粧板・オレフィン化粧板・プリント化粧板との違いは?

▶︎おすすめコラム:造作建具でこだわりのデザインに。既製建具との違いやメリット・おすすめ面材まで解説


扉の「面材」を選ぶポイント

扉の”面材”を選ぶポイント
KDパネル(ホワイトアッシュK6178QN)

扉の「面材」を選ぶ際には、6つのポイントを押さえましょう。

扉の取り付け場所

扉の取り付け場所によって、適した面材は異なります。

例えば、キッチンで水がかかりやすい場所にはメラミン化粧板やオレフィン化粧板が適していますが、天井や壁、床など内装デザインとの調和が求められる造作家具の扉や内装ドアには、突板化粧板がおすすめです。

恩加島木材の突板化粧板PANESSEは、同じ突板を用いた基材や厚さのレパートリーが豊富な製品を取り揃えていますので、扉の面材と様々な部分の仕上げを揃えられます。

見た目・質感・デザイン性

メタル調や石目調、その他のカラーを採用したい場合は、印刷紙や印刷フィルムを用いたメラミン化粧板やオレフィン化粧板をおすすめします。

対して、ナチュラルな木目を採用したい場合は、突板化粧板を採用するケースが大半です。

表面塗装の可否

メラミン化粧板・オレフィン化粧板・ポリエステル化粧板は表面が樹脂コーティングされているため、その上から塗装できません。

シート化粧板はコーティングされていないものの表面材が化粧紙なので、同じく塗装不可です。

突板化粧板は工場でウレタン塗装やUV塗装、オイル塗装でき、機能をプラスできる点が他の化粧板と異なります。

塗料の種類特徴
ウレタン塗装耐汚性が高まる
UV塗装耐汚性・耐摩耗性が高まる
オイル塗装表面を保護しつつ、自然な質感に仕上がる
抗ウイルス・抗菌塗装表面を保護しつつ、表面についたウイルスの不活性化や細菌の増殖抑制の効果がある

※メラミン化粧板・オレフィン化粧板は無塗装でも、耐水性・耐汚性・耐摩耗性があり、抗ウイルス・抗菌製品もあります。

恩加島木材では、ウレタン塗装やオイル塗装はもちろん、UV塗装などの特殊塗装も全て自社工場・自社スタッフで行なっています。

▶︎おすすめコラム:「ウレタン塗装クリア仕上げ」と「オイル塗装」どちらがいい?特徴の違いと選び方

▶︎おすすめコラム:ウレタン塗装・UV塗装・ラッカー塗装・オイル塗装… 各種木材塗装の違いは?抗ウイルス塗装についても解説

価格

面材の種類によって価格帯が異なり、商業施設やホテル、病院などでは扉の表面積が広いため、建築コストに大きく影響を及ぼします。

化粧板の種類特徴
メラミン化粧板・比較的高価
オレフィン化粧板・比較的高価
ポリエステル化粧板
シート化粧板
・安価だが耐久性は△
突板化粧板・メラミン化粧板・オレフィン化粧板よりリーズナブル
・突板の樹種によって価格を選べる

突板化粧板は塗装で表面の耐久性を高められるため、コストパフォーマンスに優れた面材として多くの事例に採用されています。

恩加島木材では、常時40種類以上の樹種を取り揃え、ホームページ(取扱樹種一覧)では価格を5段階からお選びいただけます。

現場での加工性・施工性

化粧板は表面材と基材で構成されるため、切断面が何層かに分かれます。

工場で作られた扉は木口(こぐち)まで仕上がっていますが、現場でカットすると別途、木口テープなどを貼る必要があるのでご注意ください。

また、メラミン化粧板やオレフィン化粧板など硬い材料は細工しづらい点もチェックポイントです。

恩加島木材の突板化粧板PANESSEは、3種類の木口処理をお選びいただけます。※オプション

木口貼り加工
木口塗装加工
面取り加工

防火性・不燃性

特殊建築物※などのインテリアデザインを検討する際に重要なキーワードとなるのが「内装制限」です。

内装制限とは建築基準法及び消防法で定められたルールで、火災時に建物利用者が速やかに避難できるように天井・壁に防火材料※を使うことが義務付けられています。

※特殊建築物:不特定多数の人が利用する公共性の高い建築物で、建築基準法第2条第2項で定められている
※防火材料:不燃材料・準不燃材料・難燃材料の総称

原則として扉やドアなどの建具は内装制限の対象外ですが、消防法では「容易に取り外しできないよう木材その他の可燃材料を用いた棚を壁全面に取り付けた部分」(=壁面収納、造作家具など)は対象となる可能性があるので注意しましょう。

恩加島木材の突板化粧板PANESSEは、国土交通大臣より不燃材料・難燃材料として認定を受けているため、内装制限の対象範囲にもご採用いただけます。

※認定番号:不燃認定番号NM-1272/NM-1368/難燃認定番号RM-0060

また、非不燃(難燃)仕様と不燃(難燃)仕様とでは同じ突板を使用するため、空間全体のトータルデザインが可能です。


【FAQ】扉の「面材」に関するよくある質問

【FAQ】扉の”面材”に関するよくある質問
KDパネル(オークK6187AS)

ここで、扉の「面材」に関してお客様より多くいただくご質問を紹介します。

Q.「面材の種類によってメンテナンスやお手入れ、掃除の方法は変わる?」

A.化粧板の種類によって使用できる洗剤や掃除道具の種類が異なるのでご注意ください。

化粧板によっては、水に弱く乾拭きもしくは固く絞った布で汚れを拭き取る程度に止める必要があります。

詳しくは「【化粧合板の汚れ落とし】壁・天井・ドア・家具の掃除方法と注意点を解説」をご覧ください。

Q.「扉の面材が剥がれることはある?」

A.安価な化粧板は接着剤の経年劣化や衝撃によって角や端から表面材が剥がれる可能性があります。

良質な化粧板は表面材と基材の密着性が高いため剥離のリスクはほとんどありませんが、紫外線を長時間受ける場所などでは表面材が劣化するのでご注意ください。

Q.「無垢材の扉と面材仕上げの扉で違いはある?」

A.無垢材の扉やドアは重く、変形リスクが高いのでご注意ください。

化粧板仕上げの扉やドアは内部が空洞になっているため、無垢材のドアと比べて軽量です。

また、無垢材ドアよりも温度や湿度の変化による変形リスク(反り・ねじれ・伸縮など)が低い点もポイントです。

詳しくは「【内装ドア選び】無垢VS突板化粧板どちらがいいか|メリット・デメリットを徹底比較」をご覧ください。


高品質な突板化粧板は「恩加島木材」にご相談ください

恩加島木材の高品質な「天然木練付化粧板」

恩加島木材は、国内外から良質でレパートリー豊富な突板を仕入れ、高品質な突板化粧板(天然木練付化粧板)を製造する建材メーカーです。

突板化粧板の製造から着色塗装・特殊塗装まで全て自社工場で行うため、オリジナリティを表現できる木質建材をお探しの方はぜひ恩加島木材までご相談ください。

恩加島木材が自信を持って提供する「突板化粧板の強み」は以下の点です。

  • 無垢材と同様の「ナチュラルな見た目と質感」に仕上がる
  • 工業製品なので「品質安定性が高い」
  • 軽量化を実現でき、「施工効率性アップ」につながる
  • 無垢材よりも温度や湿度環境変化による「変形リスクが少ない」
  • 希少性があり高価な樹種でも、「無垢材より安価」で安定して材料を入手しやすい
  • 原木1本から取れる突板面積は無垢板材よりも広いため、「同じ風合いを大量入手しやすい」
  • 特殊塗装によって「表面の耐摩耗性・耐汚性」が高く、日焼けによる変色も抑えられる
  • 「不燃・難燃材料認定取得済み」製品もあり、内装制限のある建築物にも採用可能で、対象部分と対象外部分の仕上げを揃えられる

さらに弊社では、国産材や地域材、間伐材、成長の早い小径材を積極的に活用し、森林活性やカーボンニュートラル実現に向けた取り組みも行っています。

恩加島木材工業の突板化粧板シリーズ
● 豊富な樹種・木目とUV塗装も選べる「天然木練付突板化粧板(非不燃・不燃)
● 重い・割れやすい・高コスト・ビスが効かないなどの懸念点を解消した「不燃突板複合板
● 国内初・組み立てた状態で準不燃認定を取得した「リブパネル
● 国内初・孔を開けた状態で不燃認定を取得した「有孔ボード
● 0.5mm厚突板による立体感と特殊UV塗装で耐久性と抗菌性能を付与した日本初上陸のプロダクト「突板化粧合板・KDパネル

内装制限の対象となる建築物へご採用いただける製品を取り揃えておりますので、建物の設計デザインに木目を取り入れたい方はお気軽に弊社までご相談ください。

▶︎おすすめコラム:突板製品はこうして生まれる。森から現場までのプロセスは?生産工程や恩加島木材の強みを紹介

▶︎おすすめコラム:今こそ木材も“地産地消”する時代。脱炭素化に向けた地産材・地域材利用について解説


まとめ

扉の面材に用いられる化粧板は、表面材の違いによっていくつかの種類に分けられます。

それぞれの特徴を知り、適切な化粧板を選びましょう。

内装デザインに木目を取り入れたい方には、恩加島木材の突板化粧板がおすすめです。

「思い通りのデザインを実現したい」「環境に配慮した建物にしたい」という方は、高品質でレパートリー豊富な恩加島木材の突板製品をご採用ください。