フローリングの“変色”はどうして起こる?原因から材料選びのポイントまで詳しく解説

日本の住宅のほとんどが、木質フローリングを用いていますが、その性質上どうしても生活していくうちに起こる変色は避けられません。

住宅の設計デザインをしている方にとっても、お客様からの「変色したから補修したい」というご意見は決して珍しくないでしょう。

しかし、一口に「変色」と言っても、その原因や特性は異なります。

そこで、今回は木質フローリングの変色原因から対策などについて詳しくお話しします。

是非、今後の設計・デザイン業務の参考にしてください。

このコラムのポイント
●フローリングの変色は原因によって補修方法が異なります。
●変色した部分の補修は難しいため、それも“味”として楽しめる床材を選びましょう。
●恩加島木材は、国内外から多数の高品質の天然木を仕入れ、常にお客様のニーズに応えられるよう努めております。




フローリングが変色する原因は主に4つ

フローリングの原料である樹木は、金属などと違って周囲環境の影響を受けやすい素材です。

特に変色はちょっとした環境の変化でも起こってしまいます。

では、その原因は何なのでしょうか?

原因① 日焼け

皆さんは、“木は日焼けする”ことを知っていましたか?

畳は日が当たると色が抜けるイメージが強いと思いますが、木は色が抜けるというより“変質”すると言う方が正しいでしょう。

それを引き起こしているのは、紫外線です。

引用:国立環境研究所 地球環境研究センター


太陽光に含まれる紫外線によって、木材に含まれるリグニンという成分が分解されてしまい、変色してしまうのです。

リグニン(Lignin)は,多糖類(セルロース,ヘミセルロース)と共に,植物の植物体細胞壁を構成する主要成分である。リグニンの含有率は,木本植物の場合,針葉樹材で 25 ~ 35%,広葉樹材で 20 ~ 25%に達し,草本植物の中でも,イネ科植物では 15 ~ 25%である。(中略)リグニンは,疎水性成分として,植物体内における水分,養分,代謝物の輸送に重要な役割を果たしている。

引用:「ネットワークポリマー」Vol. 31 No. 5(2010)|リグニンの利用に向けて


リグニン分解の影響は樹種によって異なり、ウォールナットなどは色が濃くなり、パイン材は飴色、人気のチーク材は、色が薄くなってきます。

そのため、フローリングの樹種を選ぶ際には、日焼けによってどのような色に変化するかについても事前に確認しておくと良いでしょう。

ちなみに、表面にワックスや塗料が塗られている場合は、含まれている樹脂が紫外線の影響で劣化して光沢・透明感を失い、白っぽく変色します。

さらに塗膜の劣化が進めば本来の保護能力が低下して、耐久性・耐汚性・耐水性が失われてしまうでしょう。

〈関連コラム〉
恩加島木材工業株式会社|コラム|樹種別の特徴や木目のトレンドは?恩加島木材の人気樹種や選び方のポイントを解説

原因② 水などの液体

表面に保護塗料が塗られていない場合は、液体がこぼれてしまうとすぐにシミになってしまいます。

特に、コーヒーやお茶など色素が定着するものや、料理中に飛び跳ねた油などには注意しましょう。

無垢材フローリングなどのオイル塗装仕上げの材料は、表面保護がしっかりされていない物も出回っています。

経年劣化や紫外線による影響で保護塗膜が劣化している状態では、液体が奥まで浸透してしまい、大量だとフローリング自体が水分の影響で膨張・収縮して歪み、床鳴りを引き起こします。

見た目だけで判断せず、材料選びをする際は、提案者としっかり打ち合わせすることが重要です。

原因③ 湿気

極端に湿度が高い壁際や窓際、家具の下にも注意しなくてはいけません。

換気不足でフローリングが湿気てしまえば、カビの温床になることもあります。

〈緑カビ〉

住宅の木部に発生する緑色のカビは、トリコデルマ(通称:ツチアオカビ)と言い、木部そのものの劣化や腐食を引き起こします。また、カビ毒を発するため、小さいお子さんなどが吸い込めば体調不良をになる可能性も否定できません。しっかりと乾燥させれば繁殖は止まりますが、内部にカビの死骸は残るため、変色は消えません。

〈黒カビ〉

黒カビには色々な種類がありますが、湿った木部に発生するのは主にクラドスポリウムです。本来、土壌や空気中に普通にいる菌なので、繁殖を防ぐことはできませんが、アルコールと熱、乾燥には弱いのが特徴です。結露しやすい場所や空気が溜まりやすく換気できない場所には注意してください。クラドスポリウムはカビ毒を発しませんが、フローリングに溜まったホコリにまで繁殖してしまうと、アレルギーなどの原因になる可能性はあります。



原因④ 薬品との化学反応

化学薬品は、保護塗膜はもちろん木材にも影響を及ぼします。

特に強アルカリ性や酸性には弱く、洗剤などでも濃度が高ければ変色してしまうため、漂白剤を含むものは使えません。

また、保護塗装されていない無垢材を重曹水などのアルカリ性が強い液体で掃除すれば、木に含まれるタンニンが反応して黒紫色に変色してしまいます。

ですから、いくらフローリングにしつこい汚れがついたからと言って、強い洗剤などを使うことはNGです。

まずはぬるま湯や薄めた中性洗剤で試してみましょう。



変色した時の補修方法は?

変色してしまったら「すぐに補修しなくては」と焦ってしまうかもしれませんが、原因によって施せる方法は異なります。

まずは原因を追求して、何ができるか考えましょう。

〈日焼けによる変色〉

変色した部分とその周辺を全体的に研磨して色ムラを均し、全体的に再塗装しなくてはいけません。ただし、フローリングの材質やメーカーによってはこの方法が取れないケースも少なくありません。また、日焼けが進んで風化してしまっている場合は、研磨すると基材まで見えてきてしまいますし、反りや床鳴りを引き起こすこともあります。DIYで安易に手をつけてしまうと取り返しのつかないことになるため、まずはそのままの状態で施工会社やメーカーに問い合わせましょう。

〈液体によるシミ〉

水をこぼした場合はまずは乾燥させて様子をみましょう。乾けば自然と消える場合もあります。何日か放置しても消えない場合は、薄めた中性洗剤で優しく拭き取ってみてください。シミのように見えても表面的な汚れであればこの方法で落とせます。それでも取れない場合は、研磨して色ムラを均して再塗装しなくてはならず、奥深くまで染み込んでいれば部分張り替えが必要です。

〈化学薬品による変色〉

この場合は変色ではなく“変質”しているため、基本的には補修できません。

どの補修方法においても、木材に関する知識と専門的な工具、それを正しく扱うための技術が必要になるため、一般の方ではかなり難しい作業です。

変色した場合でも無理に補修しようとせずに、それも“時の流れ”“生活した証”として楽しめるフローリングを選ぶことをおすすめします。

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天然木突板フローリングなら変色も“味”に。時の流れを楽しむことも

フローリングは人間が必ず触れるところであるため、経年劣化や変色を回避することはできません。

ですから、変色を毛嫌いして細々と補修していくのではなく、最初からうまく付き合えるフローリングを選びましょう。

「変化を楽しむ」という意味では、無垢材フローリングも良いのですが、万が一大きな変色やキズなどがついてしまった場合は張り替えコストがかかります。

また、無垢材と相性の良いオイル塗装や自然塗料は保護能力が低いため、変色には弱いと言えるでしょう。

最もおすすめなのが、「天然木突板フローリング」。

“恩加島木材”の天然木突板フローリングに使っている突板は約0.2〜0.6mmとしっかりとした厚さがあり、薄いですがUV塗装でしっかりと表面保護をしつつ、質感も残しています。

「できるだけ変色しないフローリングにしたい」
「良い雰囲気で変色するフローリングを選びたい」
「既存フローリングの変色が気になるので張り替えたい」…

そのようなお客様をお持ちの方は、ぜひ一度当社までご相談ください。



恩加島木材の“UV塗装”で変色の被害を最小限に

UV塗装

”恩加島木材”のフローリングは、そのほとんどにUV塗装が施されています。

「UV塗装」とは、表面に専用塗装を塗り、そこに紫外線(UV)を照射して瞬間硬化させる方法で、乾燥硬化する一般的な塗装と比べても塗膜を分厚くできます。

耐久性・耐水性が高く、瞬間硬化するため、仕上がりにムラが出にくく高品質を維持しやすい点がメリットです。

フローリングにはPU(ポリウレタン)塗装も施せますが、塗膜が薄いため摩耗すればすぐにその効力を失ってしまいます。

UV塗装は大きな設備が必要となるため、他社に外注してるメーカーも少なくありませんが、“恩加島木材”はUV塗装も全て自社工場で行なっています。

〈関連コラム〉
恩岡島木材工業株式会社|コラム|ウレタン塗装・UV塗装・ラッカー塗装・オイル塗装… 各種木材塗装の違いは?抗ウイルス塗装についても解説

流行りの“オイル塗装”は変色しやすい一面も

自然派の方から絶大な人気を得ているオイル塗装は、自然な風合いを活かしたい場合には適しています。

しかし、表面保護の観点から見るとあまり効力はありません。

まとまった液体からフローリングを守ることはできませんし、少量の水でもこぼせばシミが簡単についてしまいます。

また、定期的な塗り重ねも必要です。

ちなみに、ワックスは塗りたてのうちは多少効果があるものの、すぐに剥がれて性能が落ちるので、長期間表面を保護することはできません。

ですから、変色やキズを防ぐ意味では、高い透明感があり耐久性の高いUV塗装がおすすめなのです。



材料選びは“恩加島木材”へご相談ください

“恩加島木材”は、様々な分野の熟練した技術・知識をもつスタッフが揃う「プロ集団」です。

ですから、スタッフ一同、品質にプライドを持って製品作りに携わっています。

現場に合った製品選びについても、どうぞお気軽にご相談ください。

よくいただくご相談が、「一部だけ板張りを張り替えたいが、既存の材料が古くて何を使っているか分からない」という内容。

このようなケースでも、“恩加島木材工業”なら高い確率で材料を特定できます。
(※判別後、実際に製作できるかどうかは、都度弊社窓口までご相談ください。)

「変色をどうにか目立たないようにしたい」「既存を少してもよくしたい」そのようにお考えの方は、ぜひ一度当社までお問い合わせください。


まとめ|無理して補修せずに変色と長年付き合うのもおすすめ

変色はその建築物を使い続ける限り、決して避けられない問題です。

確かに、色ムラのないフローリングは素敵ですが、それに縛られるあまり過剰に変色に反応してはいけません。

なぜなら、変色を補修するにはリスクが伴うからです。

やってみなければしっかり補修できるか分かりませんし、手をつけてしまって取り返しのつかないことになる場合もあります。

ですから、無理して補修しようとはせずに、変色してもそれが“味”になるようなフローリングを選びましょう。

“恩加島木材”は長年培った経験と知識をもとに、みなさんの設計デザインをお手伝いさせていただいております。

製品は、天然木突板を使った化粧板やフローリング材、ルーバー、有孔ボードなど多岐にわたっているため、空間のトータルコーディネートも可能です。

統一性のある洗練されたデザインをご希望の際には、ぜひに一度恩加島木材の突板製品をご検討ください。

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恩加島木材工業株式会社|納入実績


日本初〉大臣認定取得|恩加島木材の“不燃突板複合板”

難燃_不燃複合板

建築基準法上で「特殊建築物」に指定される商業施設や宿泊施設などを建てる際に欠かせないのが、“不燃突板複合板”です。

天然木突板(厚さ0.2mm)に不燃材料である無機質不燃板(厚さ6・9mm)を貼り合わせた材料です。

しかし、今までの不燃突板化粧板には施工上の問題点がありました。

  • 重い
  • 割れやすい
  • 高コスト
  • ビスが効かない


それらの問題を解決したのが、恩加島木材の不燃突板複合板」です。

天然木突板(厚さ0.2mm)+ 無機質不燃板「ダイライトFAL」(厚さ6mm)+ 特殊合板(厚さ9mm)で構成されているため、ビスが効いて割れません。また、軽量化されたため、施工効率もアップします。
※幅290mmまでは本実加工も可能です。

日本で初めて大臣認定を受けたため、安心して採用していただけます。

不燃突板複合板大臣認定取得


一口メモ
世界的に著名な建築家・隈研吾氏が主宰する隈研吾建築都市設計事務所が設計した和歌山県「有和中学校」新校舎の建物にも採用されました。





恩加島木材が現場の様々なご要望にお応えします

「プリントシート材の木目だと味気なく個性が出せない」「天然木を使用したいが無垢材だとコストが高くメンテナンスが不安」そんな時には、天然木突板を使っておしゃれで安らげる空間をデザインしてみませんか?

恩加島木材の歴史ある熟練技術で、デザイナー様や設計士様の疑問やご要望にお応えします。

随時、木材選定から各種オーダー加工に関するご相談を承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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