天然木“突板シート”でより豊かなインテリアに。特性・用途やおすすめ商品まで解説

突板シート

最近、環境的配慮や意匠的な観点から、ウッドインテリアを取り入れる施設が増えています。

しかし、どうしても化粧板や無垢材では細かな納まりを表現しきれません。

そこでおすすめなのが「天然木突板シート」です。

今回は、そんな天然木突板シートについて、基礎知識からおすすめ他の材料との違い、おすすめ樹種まで丸ごと解説します。

最近のトレンドについても紹介していますので、ぜひ皆さんの設計デザインに活かしてください。

このコラムのポイント
●突板シートは天然木のナチュラルな風合いと、利便性・施工性を兼ね備えた建材です。
●様々な素材の上に貼れて不燃認定を取得しているものもあるため、内装制限のある建築物にも使用できます。
●恩加島木材は、国内外から多数の高品質の天然木を仕入れ、常にお客様のニーズに応えられるよう努めております。




突板シートとは?

「突板シート」とは、天然木を薄くスライスした“突板(厚さ0.2mm程度)”に、強化紙(特殊複合紙)を貼り合わせた総厚0.4mm程度のものです。

通常は裏に専用接着剤を塗布して、いろいろな場所に貼り付けて使います。

木質ではない素材を含んだ大抵のものを簡単に「木質化」できる点がメリットです。

主な使用場所は以下の通りです。

  • 家具
  • 手すりなどの造作部
  • 鋼製建具(SD)
  • 消火栓ボックス
  • 金属製のリブパネルやルーバー
  • 車の内装や楽器 …


公共施設などで内装制限があり木質材料が使えない場所や、化粧板・無垢材では対応できない曲面(カーブ)部分、加工が難しい細かい部分などに適しており、かなり薄いため曲げ加工や端部への巻き込み加工の可能です。

ちなみに、造作家具などでよく使われる木口テープも突板シートの一種で、表面に用いる化粧板は突板シートと同等のものなので、違和感なく併用できます。

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「アルミルーバー・リブパネル + 突板シート」がトレンド

突板シート自体は決して新しい建材ではありませんが、最近その魅力が見直されてきています。

特に人気なのが、ホテルや商業施設などの公共施設でアルミルーバーやリブパネルと合わせて使うケースです。

平坦になりがちな天井や壁に凹凸のある材料を用いることで、立体感・高級感が増します。

しかし、内装制限に該当する施設ではどうしても無垢材は使えません。

アルミのアングル部材に天然木から作った突板シートを貼れば、見た目はまるで木製のような仕上がりになるのです。

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化粧板や無垢材・挽板との違いは?

突板を用いた建材は突板シートだけではありません。

また、無垢材と比べてもその差は一見分からないでしょう。

では、突板シートは他の建材とどのような違いがあるでしょうか?

突板化粧板との違い

突板化粧板は表面材に突板を用いた建材です。

基材には、合板やMDFなどのパネル材が使われます。

広い面積や平らな場所に施工する場合は突板シートよりも適していますが、曲面や細かい部分の加工は難しいため適していません。

基材の厚さや性能のレパートリーが多い事と、基材がパネル材なので施工が容易な点がメリットです。

ただし、化粧板の中には、メラミン化粧板やオレフィン化粧板など木目柄を印刷もあり、それらの表面材に天然木は一切使われていません。

天然木にこだわるなら、突板練付化粧板を選びましょう。

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無垢材・挽板との違い

無垢材は柔らかく吸い付くような触り心地が魅力ですが、一方で施工上無視できない欠点もあります。

天然木は、芯に近い部分と外皮(樹皮)に近い部分で含水率が異なるため、環境によって反りや収縮が起きてしまいます。

また、大きな塊になればかなりの重量になる点もデメリットです。

つまり、寸法安定性や施工利便性は低いく、大規模な現場になるほどその影響は決して小さくありません。

一方、挽板は突板と同じようなものだと認識されがちですが、突板よりも分厚い2mm程度で、重量や反り・収縮の面では無垢材よりも軽減されるものの、やはりその扱いは難しく経験が伴います。

それと比べると、突板は天然木を薄くスライスすることで含水率のムラがなくなり、性質や寸法が安定しやすい点がメリットです。

また、限られた木材から多くの突板が作れるため、無垢材や挽板と同レベルの木材を用いる場合もコストを抑えられます。

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公共施設に使用するなら“不燃材料”の認定を受けたものを

公共施設や商業施設など多数の人が集う建築物においては、火災時の被害を最小限に食い止めるために「防火材料」の使用が義務付けられています。

防火材料は、加熱時の発熱量と有害ガス量などから「不燃材料」・「準不燃材料」・「難燃材料」に分類され、建物用途や規模によって建築基準法で定められた認定材料を使わなくてはいけません。建築基準法施工令(第108条の2・第1条)参照)

ここで疑問に思うのが、「天然木から作った突板シートは防火材料なの?」という点でしょう。

実は、木材由来の建材でも不燃認定を取得している防火材料はあります。

私たち“恩加島木材”の突板シートは、国内メーカーでも数少ない不燃認定を受けている商品です。

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恩加島木材工業株式会社|コラム|公共施設・商業施設に欠かせない不燃材料。防火性能や突板練付不燃板について解説

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弊社「天然木練付不燃突板シート」の各種認定書は下記ページをご確認ください。
恩加島木材工業株式会社|各種認定



人気の突板シート6選

“恩加島木材”では、国内外問わず様々な産地から高品質の突板を仕入れて加工しています。

ここでは、その中でも特に人気の6樹種を紹介します。

オーク

ホワイトオーク・柾目

比較的リーズナブルな上に美しい木目を持つオークは、家具やフローリングなど様々な場所で使われます。

オークの突板シートをドアや格子などに施工すれば、統一感のあるインテリアデザインが可能です。

種類落葉広葉樹(ブナ科コナラ属)
主な生息地ヨーロッパや北米
特徴高耐久・塗装しやすい・軽編変化による自然な変色
価格★★★(3/5)



チーク

チーク・板目

チークは希少価値が高い樹種であるため価格は高めですが、温度や湿度による変形・変質が少なく、耐久性・耐水性が高いため、とても人気です。

自然な光沢と美しい木目も魅力で、年月が経てばだんだんと色が濃くなり経年変化も楽しめます。

種類落葉広葉樹(クマツヅラ科 )
主な生息地東南アジア
特徴高耐久・高耐水・経年変化によって黄金色に変色
価格★★★★★(5/5)



ウォールナット

ウォールナット・柾目

耐衝撃性が高く、比較的温度や湿度の影響を受けにくい樹種で、黒っぽい色味が特徴です。

その色味から重厚感・高級感があるため、住宅はもちろんホテルなどでも多く取り入れられます。

種類落葉広葉樹(クルミ科クルミ属)
主な生息地北米
特徴高耐久・高接着・湿度や温度による寸法の狂いや変形が少ない
価格★★★★(4/5)



スギ(国産材)

スギ・柾目

高くまっすぐ伸びる樹種で、直線的な木目が特徴です。

軽くて成長が早いため、低コストで施工性が高いため、多くの場所で重宝されています。

種類常緑針葉樹
原産地日本
特徴軽量・直線的ですっきりとした木目
価格★★★(3/5)



ヒノキ(国産材)

ヒノキ・板目

白い木肌と独特な香りが特徴の樹種で、和室建築はもちろん明るい洋風のウッドインテリアにも用いられます。

人がよく触れる部分は、年月が経つと艶が増してだんだんと濃い色に変色していくので、経年変化を楽しみたい人におすすめです。

種類常緑針葉樹
原産地日本
特徴白い木肌・芳醇な香り・経年変化による変色
価格★★★★(4/5)



ナラ(国産材)

ナラ(楢)は日本での呼び名で、英訳するとオークです。

弊社では、海外産のオークと国産材のナラを分けております。

海外産のものと同様に耐久性が高く美しい木目が魅力です。

弊社では、柾目・板目以外にも、素朴でどこかアンティークな雰囲気を感じさせるラスティックもご用意しています。

種類落葉広葉樹(ブナ科コナラ属)
原産地日本
特徴高耐久・塗装しやすい・軽編変化による自然な変色
価格★★★(3/5)

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恩加島木材の「自社塗装」が多彩な活用方法を実現

私たち“恩加島木材”では、突板シート・突板化粧板などの塗装を全て自社工場で行なっています。

そのため、細かな塗装オーダーや着色塗装にも対応できる他に、不燃パネルと不燃突板シートの色を合わせることも可能です。

「豊富な樹種・多彩な塗装技術・豊富な基材ラインナップ」これらを組み合わせれば、無限の可能性が生まれます。

実際に、高い意匠性が求められるホテルや商業施設にも数多くご採用いただいております。

様々な場所で活用できるため、理想を形にしたいという方は、ぜひ一度弊社の突板シートをご検討ください。


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下記ページでは、弊社製品の施工事例やメディア掲載情報がご覧いただけます。
恩加島木材工業株式会社|トピックス



恩加島木材の取り組み “国産材・地産材の積極的利用”

私たち恩加島木材では、国内各地の地産材利用も積極的に行なっており、その材木がどのように伐採されたかをしっかりと自分達の目で確認しております。

突板の流通市場に頼らずに原木市場や製材所から直接仕入れて、自社で選木・加工・販売することも可能です。

原産地を日本国内に限定した樹種を常時取り扱っているほか、地産材を利用した突板も数多くご注文いただいております。

その建物の社会的価値を高めるためにも、ぜひ国産材を使った突板製品をご検討ください。

地産材の納入実績
JR北陸新幹線・長野駅 コンコース内天井(長野県産杉利用)
香川県多度津町庁舎(香川県産材利用)
某百貨店 什器(大阪府内産桧利用)
新居浜商業高校 体育館(愛媛県産材利用)
京都女子大学(京都府内産桧利用)
京都 某ホテル(京都府内産利用)


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下記ページでは、当社が常時取り扱っている国産材を使った突板のラインナップや納入実績を紹介しています。ぜひご覧ください。

恩加島木材工業株式会社|製品案内|原産地(日本)

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恩加島木材工業株式会社|コラム|今こそ木材も“地産地消”する時代。脱炭素化に向けた地産材・地域材利用について解説



まとめ|突板シートは利便性・汎用性の高い建材

突板シートは、多種多様な素材に貼れて曲面や細部にも対応できる利便性・汎用性の高い素材です。

ただし、広い面積や平らな場所では施工効率が悪いため、化粧板との併用をおすすめします。

私たち“恩加島木材”は、同じ突板から化粧板・突板シート・有孔パネル・リブパネル・フローリングなど様々な商品を自社製造しているため、トータルコーディネイトが可能です。

また、国産材・地産材に特化した樹種も取り扱っています。

環境に配慮した突板製品・化粧板製品をご希望の際には、ぜひに一度恩加島木材にご相談ください。

〈関連ページ〉
恩加島木材工業株式会社|納入実績


日本初〉大臣認定取得|恩加島木材の“不燃突板複合板”

難燃_不燃複合板

建築基準法上で「特殊建築物」に指定される商業施設や宿泊施設などを建てる際に欠かせないのが、“不燃突板複合板”です。

天然木突板(厚さ0.2mm)に不燃材料である無機質不燃板(厚さ6・9mm)を貼り合わせた材料です。

しかし、今までの不燃突板化粧板には施工上の問題点がありました。

  • 重い
  • 割れやすい
  • 高コスト
  • ビスが効かない


それらの問題を解決したのが、恩加島木材の不燃突板複合板」です。

天然木突板(厚さ0.2mm)+ 無機質不燃板「ダイライトFAL」(厚さ6mm)+ 特殊合板(厚さ9mm)で構成されているため、ビスが効いて割れません。また、軽量化されたため、施工効率もアップします。
※幅290mmまでは、本実加工も可能です。

日本で初めて大臣認定を受けたため、安心して採用していただけます。

不燃突板複合板大臣認定取得


一口メモ
世界的に著名な建築家・隈研吾氏が主宰する隈研吾建築都市設計事務所が設計した和歌山県「有和中学校」新校舎の建物にも採用されました。





恩加島木材が現場の様々なご要望にお応えします

「プリントシート材の木目だと味気なく個性が出せない」「天然木を使用したいが無垢材だとコストが高くメンテナンスが不安」そんな時には、天然木突板を使っておしゃれで安らげる空間をデザインしてみませんか?

恩加島木材の歴史ある熟練技術で、デザイナー様や設計士様の疑問やご要望にお応えします。

随時、木材選定から各種オーダー加工に関するご相談を承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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