有孔パネルとは|活用方法、防音・吸音効果の仕組み、材料選びのポイントを解説

有孔パネルとは|活用方法、防音・吸音効果の仕組み、不燃タイプの必要性まで徹底解説

有孔パネルは、壁面収納や天井・壁の仕上げ材などに用いられるパネル材です。

そこで今回は「有孔パネル」の活用方法や施工部位、プランに採用される建物の用途、防音・吸音効果の仕組みについて、“木材のプロ”が詳しく解説します。

有孔パネルを選ぶ際のチェックポイントや、天然木の風合いを生かしたおすすめの内装建材も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

このコラムのポイント
●有孔パネルは、防音(吸音)効果のある仕上げ用パネル材で、住宅・非住宅問わず、様々な建物に採用されています。

●非住宅の公共施設に有孔パネルを採用する場合は、内装制限に対応できる不燃タイプを選ぶ必要があります。

●『恩加島木材工業株式会社』は、高品質・レパートリー豊富で環境にも配慮した「突板化粧板シリーズ」を製造販売しております。


有孔パネル(有孔ボード)とは|活用方法・施工部位

有孔パネル(有孔ボード)とは

「有孔パネル」とは、有孔ボードやペグボード、パンチングボードとも呼ばれるパネル材で、板に小さな孔が多数開けられています。

有孔パネルは住宅・非住宅と多様な建物に施工され、活用方法も様々です。

住宅●壁面収納(フック式棚)
⚫︎室内の壁仕上げ材
非住宅建物(公共建築物)⚫︎室内の壁仕上げ材
⚫︎室内の天井仕上げ材
⚫︎壁面ディスプレイ(フック式棚)
⚫︎パーテーションの仕上げ材

施工部位によって有孔パネルを採用する理由は異なります。

  • 「壁面の収納・ディスプレイ」▶︎パネルの孔に専用フックや棚受け金具を取り付け、収納をカスタマイズする
  • 「室内の壁・天井仕上げ材」▶︎有孔パネルの防音(吸音)効果により、空間の作業音などを軽減する
  • 「パーテーションの仕上げ材」▶︎有孔パネルの防音(吸音)により、音が広がるのを抑える

▶︎おすすめコラム:「有孔ボードを壁一面に」メリット・デメリットと材料選びのポイント

有孔パネルが採用される建物用途|非住宅建物にも

有孔パネルが採用される建物用途|非住宅建物にも
納入実績:茨城県つくば市「香取台小学校」

有孔パネルは、住宅の居室やガレージなどで空間を無駄なく活用して効率的に収納するために採用される以外に、非住宅分野における様々な用途の建築物にも多く取り入れられています。

  • 音楽ホール
  • 体育館
  • 会議室
  • 音楽スタジオ・ダンススタジオ
  • 学校・幼稚園・保育園(ホール・教室・音楽室・視聴覚室・廊下・オープンスペースなど)
矢印

有孔パネルは、話し声や足音、その他作業音が反響したり、拡散したりするのを防ぐために、内装仕上げ材として採用されます。


有孔パネルは防音の中でも「吸音」に効果あり|仕組みとポイント

有孔パネルにおける防音・吸音効果の仕組み
恩加島木材の有孔パネル「PANESSE」

防音は「吸音」と「遮音」に分かれ、有孔パネルは特に「吸音効果」に優れたパネル材です。

防音音漏れや騒音を防ぐための総合的な対策を指す
吸音音を「吸収して反響を抑える」性能を指す
遮音音を「跳ね返す」性能を指す

研究によると、一般的な合板で仕上げた壁や天井よりも、有孔パネルを採用した方が、高い吸音効果を発揮することが分かっています。

有孔ボードの吸音率
(画像引用:国立研究開発法人 科学技術振興機構|J stage|音響材質の性質と使い方

上のグラフを見ると、有孔パネルは、500〜1000Hzで合板の6倍近い吸音効果があることが判明しているのです。

500〜1000Hzの周波数は中低域から中域の音波になり、主な例は以下のとおりです。

  • 男性の話し声(500Hz付近)
  • 女性の話し声(1000Hz付近)
  • 子供の話し声(1000〜2000Hz)
  • 歌声
  • 楽器の演奏音(ピアノ・ギター・トランペットなど)

有孔パネルが吸音効果を発揮する仕組みは、主に3つあります。

空気層の効果

有孔パネルの入射音

音波が有孔パネルの孔から裏に設けた空気層に入射し、空気振動との摩擦によって反響を抑えられます。

原則として、空気層が厚いほど、低音への吸音効果を発揮するとされているため、壁の納まりを検討する際には注意しましょう。

ヘルムホルツ共鳴

ヘルムホルツ共鳴とは、ワインボトルやフラスコなど、細い入り口とそれよりも大きな空気溜まりで構成される形状に起こる現象で、入り口から音が入ると、中で空気と共鳴して、音が鳴ります。

ただし、有孔パネルにおいては、孔からの入射音が空気層の中で振動して、音エネルギーが減衰するため、防音効果を発揮するのです。

音エネルギーから熱エネルギーへの変換

音波は、物質や空気にぶつかると摩擦が発生し、音エネルギーから熱エネルギーへと変換されます。

この現象を利用したのがグラスウールやロックウール、ウレタンフォームなど空気を多く含む防音材です。

有孔パネルにおいては、孔から入射し、空気層で反響する過程で熱エネルギーに変換され、音が減衰します。

ポイント
「有孔パネル」は、裏に空気層を設けることによって高い吸音効果を発揮するため、躯体や壁・天井下地に直貼りしても防音対策にならないのでご注意ください。

また、空気層の厚さや有孔パネルの孔径・ピッチ(間隔)によって、吸音率が高い周波数が異なる点も重要なポイントです。


▶︎おすすめコラム:防音・吸音効果がある「有孔ボード」の仕組み、メリット・デメリット、種類を解説


有孔パネルを選ぶ際のチェックポイント

有孔パネルを選ぶ際のチェックポイント

有孔パネルを選ぶ際には、デザイン性(見た目)だけではなく、吸音性や不燃性、コストパフォーマンスなど、多角的な視点が必要です。

表面材の種類

有孔パネルは、表面の仕上げが主に3種類あり、見た目と特徴が異なります。

表面材の種類特徴
石膏ボード+不燃紙⚫︎塗装済みタイプ(主にホワイト系)と、現場塗装できる無塗装タイプがあり、不燃性が高い
⚫︎比較的、安価
化粧シート貼り⚫︎プリント化粧シートを、合板やMDFに貼り合わせたタイプで、塗装せずそのまま仕上げに使用できる
⚫︎木目は印刷で表現しているため、リアリティには要注意
⚫︎化粧シートのタイプによっては耐摩耗性・耐汚性に優れる
⚫︎安価なタイプから高価なタイプまで様々
突板貼り⚫︎天然木を薄くスライスした突板(つきいた)を、合板・MDF・不燃パネルなどに貼り合わせたタイプ
⚫︎表面は天然木そのもので、ナチュラルな木目や色合い、質感を表現できる
⚫︎表面塗装が可能で、塗料の種類によっては耐摩耗性・耐汚性に優れる
⚫︎価格は中級〜高級グレード

有孔パネルを選ぶ際には、デザインの統一性を意識しましょう。

突板貼り有孔パネルは、同素材で突板化粧板も選べるため、天井・壁・内装ドア・家具などの見た目を揃えられます。


▶︎おすすめコラム:突板でデザインの幅が広がる。「突板」のメリットから無垢材などとの違いまで解説

基材の種類(施工性・不燃性)

有孔パネルは、表面材だけではなく基材(きざい)の種類によっても施工性や納まり、不燃性が変わります。

表面材の種類特徴
合板⚫︎無垢材よりも変形しにくく、現場での加工や施工が容易
⚫︎原則として、不燃性はない
⚫︎比較的、安価
MDF⚫︎無垢材・合板よりも変形しにくく、現場での加工や施工が容易
⚫︎軽量で搬入が楽
⚫︎原則として、不燃性・耐久性はない
⚫︎湿気の影響を受けやすく、水分に触れると波打つ
⚫︎合板よりも安価
石膏ボード⚫︎石膏ボードは国土交通省(建設省)の告示※により、防火材料※として認定されており、内装制限※の対象範囲にも採用できる
⚫︎端部やパネル木口(こぐち)からの衝撃に弱く、崩れやすいので要注意
不燃パネル⚫︎防火材料※として国土交通省の個別認定を受けているものは、内装制限※の対象範囲にも採用できる

※告示:建設省(現国土交通省)告示第1400号「不燃材料を定める件」
※防火材料:建築基準法及び施行令によって、火災時に加熱を受けても「燃焼しない・防火上有害な変形・損傷を生じない・避難上有害な煙やガスを発生しない」と証明された材料を指し、耐久時間に応じて不燃材料・準不燃材料・難燃材料に分類される
※内装制限:不特定多数が利用する建物や、規模が大きい建物において、火災時における周囲への影響を防ぎ、建物から人が安全に避難できるようにするために、居室・通路(廊下や階段)の天井・壁仕上げに防火材料の使用を義務付けるルール

▶︎おすすめコラム:建築基準法における“不燃材料”の定義|設計で欠かせないルールと材料選定のコツ

▶︎おすすめコラム:建築基準法で定められた“内装制限”とは? 概略や緩和から「木」を取り入れる方法まで詳しく解説

▶︎おすすめコラム:内装制限の範囲はどこまで?対象となる部分・ならない部分を徹底解説

ポイント
パネル材として国土交通省から防火材料としての個別認定を受けている製品でも、工場や現場で有孔パネルに孔開け加工してしまうと、認定が取り消されるのでご注意ください。

内装制限の対象範囲に有孔パネルを採用したい場合は、「有孔パネルとして防火材料の認定を受けている製品」を選ぶ必要があります。

『恩加島木材』の天然木練付有孔化粧板(PANESSE)は、突板を用いた有孔パネルとして『日本で初めて』不燃材料の認定を受けた製品です。

サイズ・厚さの種類

有孔パネルのサイズや厚さは、設計プランの納まりや施工効率、材料コストに影響します。

メーカーによって有孔パネルのサイズ(厚さ)展開は異なりますが、以下が主なラインナップです。

厚さ・サイズ / 基材合板MDF不燃パネル
厚さ(mm)2.5
4.5
5
9
12
15
2.5
4.5
5
7
9
12
15
6
9
12
15
サイズ(尺)3*6
(910×1820mm前後)
3*8
(910×2430mm前後)
4*8
(1220×2430mm前後)
3*6
(910×1820mm前後)
3*8
(910×2430mm前後)
4*8
(1220×2430mm前後)
3*6
(910×1820mm前後)
3*8
(910×2430mm前後)
4*8
(1220×2430mm前後)

『恩加島木材』では、上記に加えて特注サイズのオーダーも承っておりますので、お気軽にご相談ください。

孔径・ピッチの種類

有孔パネルは、製品によって孔径とピッチ(孔の間隔)が異なり、どんなタイプを選ぶかによって吸音性能に影響します。

有孔パネルの吸音性能を評価する際のキーワードが「開口率」です。

開口(開孔)率(%)=(孔の総面積/ボードの表面積)×100

有孔パネルの製品カタログなどを見ると、孔径は「◯◯φ」、ピッチ(孔の間隔)は、「◯◯P」と表記されるのが一般的です。

※◯◯には寸法(mm)が入る

開口率の違いにより、音波の周波数ごとの吸音効果が異なります。

有孔ボードの開孔率と吸音率の関係
(画像引用:国立研究開発法人 科学技術振興機構|J stage|音響材質の性質と使い方

上のグラフを見ると、孔径が大きいほど吸音効果が高いことが分かります。

ただし、有効パネルの吸音率は、孔径・ピッチだけでは決まらず、パネル裏面の仕上げや空気層の厚さによって異なるのでご注意ください。

メーカーによって孔径・ピッチのラインナップが異なりますので、製品選びの際には細かくチェックしましょう。

孔径(mm)ピッチ(mm)




長孔
25P
30P
(孔径とピッチの組み合わせは弊社までお問い合わせください)
有孔ボードの孔径・ピッチの違い
(有孔ボードにおける孔径・ピッチの違い)

『恩加島木材』の不燃突板有孔パネルは、以下の組み合わせで不燃材料として国土交通大臣の認定を受けています。

パネルの厚さ
(認定番号)
孔径・ピッチの組み合わせ
6mm
9mm
(NM-5855(1))
⚫︎6Φー25P
⚫︎6Φー30P
⚫︎8Φー25P
⚫︎8Φー30P
12mm
15mm
(NM-5855(3))
⚫︎6Φー25P
⚫︎6Φー30P
⚫︎8Φー25P
⚫︎8Φー30P

寒冷紗貼り仕様かどうか

有孔パネルは寒冷紗貼り仕様かどうか
恩加島木材の有孔パネル「PANESSE」

有孔パネルの吸音性をさらに高める処理が「寒冷紗(かんれいしゃ)貼り」です。

寒冷紗とは、ポリエチレン・ポリエステル・麻の糸を平織りした布で、有孔パネルの裏面に貼ると、ボードと寒冷紗の間に薄い空気層ができ、吸音率が高まります。

ただし、メーカーによっては寒冷紗貼りのオプションを選べない場合もありますので、製品選びの際にはご注意ください。

ポイント
『恩加島木材』天然木練付有孔化粧板(PANESSE)の有孔パネルは、40種類以上の取り扱い樹種から突板を選定でき、さらに裏面の寒冷紗貼り(白・黒)オプションも追加できます。

加えて、以下のセレクトも可能ですので、お気軽にご相談ください。

・クリア塗装
・着色塗装
・抗ウィルス仕上げ
・木口貼り
・木口塗装
・うづくり加工
・面取り加工
・裏面の不燃クロス貼り

▶︎おすすめコラム:木目を活かす木材の表面仕上げとは?塗装や加工の種類を紹介

価格・コスパ

有孔パネルは、表面材・基材の組み合わせにより、安価なものから高価なものまでありますが、材料を選定する際は価格だけではなくコストパフォーマンスも重視しましょう。

石膏ボードやMDFを用いた有孔パネルは、比較的安価ですが、衝撃で破損する可能性が高いため、不特定多数が利用する公共的な建築物に採用する場合には注意が必要です。

また、壁の広範囲に採用するプランでは、見た目のクオリティも重要になります。

『恩加島木材』の有孔パネルは、国内外から取り寄せた高品質な突板を表面材としているため、デザイン性にも優れています。

▶︎取り扱い樹種の一覧はこちらから

取り扱い樹種一覧(QRコード)

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ポイント
『恩加島木材工業株式会社』は、突板化粧板を用いた様々な建材のメーカーです。

国産材・地域材のラインナップを多数取り揃え、林業の活性化につながる間伐材・小径材の利用にも、積極的に取り組んでいます。

「環境配慮型の建築材料を探している」という方は、ぜひ恩加島木材までお気軽にご相談ください。



内装のトータルコーディネートが可能な恩加島木材の「突板化粧板シリーズ」

「内装木質化」におすすめの恩加島木材「突板貼り化粧板シリーズ」

『恩加島木材』は、国内外から多種多様な突板を仕入れ、天然木の風合いを残した高品質な「突板化粧板」を製造している建材メーカーです。

突板化粧板とは、突板と呼ばれる天然木を0.2〜0.3mmの薄いシート状にスライスした素材を合板などに接着したパネル材で、内装仕上げや家具・建具の材料として使用されています。

表面材と基材

恩加島木材が自信を持って提供する「突板化粧板の強み」は以下の点です。

  • 無垢材と同様の「ナチュラルな見た目と質感に仕上がる」
  • 工業製品なので、無垢材よりも「品質と寸法の安定性が高い」
  • 無垢材よりも軽量化が可能で、「施工効率性アップにつながる」
  • 無垢材よりも温度や湿度の環境変化による「変形リスクが少ない」
  • 希少性があり高価な樹種でも、「無垢材より安価で安定して材料を入手しやすい」
  • 原木1本から取れる突板面積は無垢板材よりも広いため、「同じ風合いを大量入手しやすい」
  • UV塗装などの特殊塗装により「表面の耐摩耗性・耐汚性が高い」
  • 通常の化粧板と同じ突板を用いた「不燃・難燃材料認定取得済み化粧板」もあり、内装制限など防火規定の対象部分と非対象部分の仕上げをトータルコーディネートできる

さらに弊社では、国産材や地域材、間伐材、成長の早い小径材を積極的に活用し、「人工突板」の開発・製造にも努めるなど、森林活性やカーボンニュートラル実現に向けた取り組みを行っています。

恩加島木材工業の突板化粧板シリーズ
● 0.5mm厚突板による立体感と特殊UV塗装で耐久性と抗菌性能を付与した日本初上陸のプロダクト「KDパネル:突板化粧合板

● 豊富な樹種・木目とUV塗装も選べる「PANESSE(パネッセ):非不燃・不燃天然木練付突板化粧板

● 重い・割れやすい・高コスト・ビスが効かないなどの懸念点を解消した「不燃突板複合板

● 国内初・組み立てた状態で準不燃認定を取得した「リブパネル

● 国内初・孔を開けた状態で不燃認定を取得した「有孔ボード


▶︎おすすめコラム:突板・挽板・無垢材それぞれの違いとは?どれがおすすめ?特性から選び方まで徹底解説

▶︎おすすめコラム:突板製品はこうして生まれる。森から現場までのプロセスは?生産工程や恩加島木材の強みを紹介


まとめ

有孔パネルは、防音(吸音)効果のある仕上げ用パネル材で、住宅・非住宅問わず、様々な建物に採用されています。

非住宅の公共施設に有孔パネルを採用する場合は、内装制限に対応できる不燃タイプを選びましょう。

恩加島木材は、高品質&レパートリー豊富で、環境に配慮した「突板化粧板」を製造販売しております。

「思い通りのデザインを実現したい」という方は、恩加島木材の突板製品をご採用ください。