2023年最新版「ウッドショックは終了?落ち着いた?」木材価格推移と回避策について

ウッドショックは終了した?

建築業界を大きく揺るがした「ウッドショック」。

最近は、“終了した”“落ち着いた”という情報を耳にします。

しかし、「木材の価格が下がった」と実感できていない方も多いでしょう。

また、今後またウッドショックが起こった際に備えて、どのような対策をとっておくべきか知りたい方もいらっしゃるはずです。

そこで今回は、最近の木材価格推移における傾向や、今後の回避策について解説します。

このコラムのポイント
●ウッドショックによって高騰した木材価格はピークアウトしたものの、以前の価格までは回復していません。

●世界情勢の影響を最小限に抑えるために、輸入材から国産材への転換が重要です。

●内装材には、無垢材と比べて価格変動が少なく施工性が高い「突板化粧板」がおすすめです。

●恩加島木材は、産地にこだわった突板を用いて、高品質で多彩な突板製品をご提供しています。


ウッドショックはいつ始まった?きっかけは?

ウッドショックのきっかけは?

2021年から木材高騰や運輸停滞が建築業界で問題となりました。

これがいわゆる「ウッドショック」です。

コロナ禍でアメリカや中国において新築住宅の需要が高まり、木材の買い占めが起こったことがきっかけです。

需要集中による運搬コンテナ不足、さらに感染拡大による林業・製材業の稼働率低下や、物流ルート停滞・縮小が相まって、木材価格が高騰しました。

第三次ウッドショックの経緯

(引用:公共財団法人 森林文化協会

さらにその後、ロシア・ウクライナ情勢による原油高や、歴史的な円安が続き、日本の建築業界は大きな痛手を受けました。

しかし、2023年に入って“ウィズ・コロナ”の生活が浸透し始めると、「ウッドショックは終了した」といういう情報も見かけるようになりました。


〈関連コラム〉

木材の価格高騰はいつまで続く?歴史的円安との関係や今後の推移について解説

〈2022年版〉 木材の値段はこれからどうなる?グラフでわかる木材価格推移

〈2023年〉木材の価格高騰はいつまで続く?最近の価格動向をチャートで解説



ウッドショックは終了したって本当?

ウッドショックは終了した?

2023年に入って私たちの生活はだいぶ落ち着きを取り戻しましたが、「ウッドショックは終了した」と言うのは、少々時期尚早かもしれません。

林野庁の公表するデータを見ると、木材価格は既にピークアウトしていることが分かります。

ただし、ウッドショック前の状態に戻ったとは言い切れません。

(引用:林野庁|モクレポNo.18


輸入製材の価格推移は、ウッドショックが始まった2021年上半期から上昇し始め、同年10月に一度ピークアウトしたものの、ロシア・ウクライナ情勢の開始と共に、再びピーク時同様の価格まで戻りました。

原木を加工した後に輸入する構造用集成材や合板は、価格変動のスタートが若干遅れたものの、製材と同じような動きを追っています。

この推移を鑑みると、「ウッドショックは終わった」「木材価格が落ち着いた」と言うのも間違いではありません。

ただし、米ドルに対する円安傾向は続いているため、日本国内における輸入材価格はまだまだ楽観視できる状態とは言えないでしょう。

円安傾向
(「日本銀行|主要時系列統計データ表」を基に作成)




ウッドショック後も輸入材から国産材への移行が必須な理由

輸入材から国産材への移行

ロシア・ウクライナ情勢開始後から、原油や天然ガスの高騰が続いており、木材に限らず建築資材は総じて物価高傾向です。

また、輸入材の入手困難な状況が続いており、樹種によっては「いつ・どのくらい」手に入れられるのか、不透明な点は否めません。

そこで、注目されているのが「国産材・地域材の活用」です。

日本は、国土の2/3を森林が占める“森林大国”であるにもかかわらず、未だ建築用材等の自給率は「48.0%(2021年)」にとどまっています。(参考:林野庁|「令和3年木材需給表」の公表について

ただし、日本政府の施策や建築業界の意識変化によって、輸入材から国産材への転換が進んでいる点も事実です。

輸入材から国産材へ変えるメリットは、以下の7点です。

  • 輸入材価格は為替の影響を受けやすく、国産材は政府介入によって価格変動が比較的緩やか
  • 運輸におけるエネルギー負荷が少ないため、原油高の影響が小さい
  • 工期に合わせて確実に材料を入手できる可能性が高い
  • 高品質な木材を安定して入手しやすい
  • ウッドマイレージ(木材輸送時の環境負荷を表す指標)が少なく、環境問題解決に寄与できる(参考:文部科学省|地球環境への配慮
  • 地域の経済発展、ひいては国内経済の発展に繋がる
  • 国産材や地域材を使うことで、その土地に根付いた愛される建物になる


このように、コスト面だけではなく環境面においてもメリットがある「国産材利用」。

ウッドショックをきっかけに、プロジェクトの規模問わず、建築現場において国産材利用の動きが進んでいます。

〈おすすめコラム〉

今こそ木材も“地産地消”する時代。脱炭素化に向けた地産材・地域材利用について解説


ウッドショックの影響を受けにくい“突板化粧板”

突板のメリット・デメリット

今後も起こりうるウッドショックなどの木材高騰。

そのリスクを少しでも回避したい方に、内装へ「突板化粧板」を採用する方法です。

突板化粧板とは、天然木を薄くスライスした突板を、合板などの基材に貼り合わせた内装材です。

無垢材の質感や風合いを残しつつ、天然木量を大幅に削減できるため、木材価格高騰の影響を最小限に抑えられます。

また、無垢材より施工面・コスト面で優れている点もあります。

  • 天然木と同様に美しい木目を表現できる
  • 無垢材よりもコストを抑えられる
  • 良質な材料を安定的にまとめて入手しやすい
  • 軽量且つ伸縮が少なく寸法安定性が高い
  • 無垢材よりも軽量なため、施工性が高い
  • 基材に不燃材などが使われている材料であれば、内装制限のある建物にも採用できる


無垢材のデメリットを解消できるのが「突板化粧板」の魅力です。

国産材では対応しきれない希少価値の高い樹種でも、まとまった面積を施工できる可能性があります。

ウッドインテリアを検討中の方は、ぜひ突板化粧板を設計デザインへご採用ください。



〈おすすめコラム〉

突板・挽板・無垢材それぞれの違いとは?どれがおすすめ?特性から選び方まで徹底解説

天然木にこだわるなら突板練付化粧板。メラミン化粧板・オレフィン化粧板・プリント化粧板との違いは?



“恩加島木材”の高品質な突板化粧板シリーズ

サスティナブルな内装建材

私たち“恩加島木材”の突板化粧板は、「原料となる突板の選定」、「職人による貼り作業」、「特殊加工や塗装」、「在庫管理」、「出荷作業」までの一連を、全て自社工場にて行なっている点が強みです。

住宅はもちろん、内装制限のある商業施設・公共施設にも対応できるよう、不燃材を基材とした商品も取り揃えています。

1947年創業以来培った経験と知識を活かし、幅広い樹種の突板を取り扱っていますので、お気軽にご相談ください。


KDパネル

KDパネル施工事例

KDパネルは、台湾・KEDING社製の天然木化粧合板で、恩加島木材工業が自信をもって展開する日本初上陸のプロダクト。

0.5mmの厚突板で木目の立体感を実現し、特殊UV塗装で耐久性と抗菌性能を付与した今までに無い化粧合板です。

天然木本来の質感と、メラミン化粧板のような強度・施工性を兼ね備えています。

▶︎「KDパネル」の詳細はこちらから




PANESSE(パネッセ)

天然木練付化粧板のシリーズで、「不燃ボード」「難燃ボード」「MDF化粧合板」「突板シート」「有孔パネル」「テクスチャーボード」と多彩なラインナップをご用意した商品です。

樹種レパートリーも40種類以上と多彩で、産出地を限定した地産材のご注文も承っております。

▶︎「PANESSE」の詳細はこちらから




〈おすすめコラム〉

恩加島木材の豊富な突板化粧板ラインナップ 厚さと基材の種類を紹介

木目を活かす木材の表面仕上げとは?塗装や加工の種類を紹介


リブパネル・ルーバー

最近トレンドのリブパネルやルーバーも、PANESSE化粧板と同じ樹種で製造しております。

もちろん天然木練付化粧板に貼り付けた仕様で、あらかじめ工場でパネル組みをしている高精度・省施工型の製品です。

高意匠な内装材として、ご好評いただいております。

リブパネルはHPより規格書もダウンロードできますので、是非ご検討ください。

▶︎「リブパネル・ルーバー」の詳細はこちらから




〈関連コラム〉
天然木の風合いを生かした“ルーバー”と“リブパネル” 特徴や不燃対応について徹底解説

樹種別の特徴や木目のトレンドは?恩加島木材の人気樹種や選び方のポイントを解説

ポイント
世界的に著名な建築家の方が設計した建築物へも、当社製品が採用されています。

詳しくは、納入実績・施工実績・最新トピックスをご覧ください。




恩加島木材の取り組み

SDGs実現につながる“恩加島木材”の突板化粧板製品

“恩加島木材工業”は、1947年に創業以来、突板製品専門メーカーとして時代の変化を見極めながら、国内に限らず世界中の銘木を使い、良質で意匠性の高い内装材を作り続けてきました。

突板の常備在庫はおよそ1000束に上り、その豊富なストックから、仕様やご要望に応じて一枚一枚丁寧に選定しています。

木の特性を熟知した“恩加島木材工業”が自信を持ってご提供する突板製品は、多くの住宅や公共施設へご採用いただいています。

また、カーボンニュートラルや脱炭素化に向けた積極的な取り組みを通して、サスティナブルな建築材料をご提供するべく努めております。

ウッドインテリアをご検討中の方はもちろん、環境に配慮した建築材料をお探しの方も、ぜひ一度“恩加島木材工業”の製品をご覧ください。

〈おすすめコラム〉

突板製品はこうして生まれる。森から現場までのプロセスは?生産工程や恩加島木材の強みを紹介

国産材・地産材の積極的な利用

産地を限定した国産材・地産材を積極的に用いて、日本の貴重な資源である“森林”、そして林業・製材業を守るべく取り組んでいます。

地産材の納入実績
JR北陸新幹線・長野駅 コンコース内天井(長野県産杉利用)

香川県多度津町庁舎(香川県産材)

某百貨店 什器(大阪府産桧材)

阪急百貨店(大阪府産桧材)

新居浜商業高校 体育館(愛媛県産材)

京都女子大学(京都府内産桧材)

京都 某ホテル(京都府産材)

金沢サッカー場内装(石川県産材)

鳥取県立美術館(鳥取県産材)

岐阜県庁舎(岐阜県産桧材)

某企業工場(宮城県産杉材)

鳥取県立美術館(鳥取県産材利用)



〈関連コラム〉

今こそ木材も“地産地消”する時代。脱炭素化に向けた地産材・地域材利用について解説



間伐材の利用

森を豊かにするためには、適切な間伐が必要不可欠です。

ただし、間伐材をうまく活用しなくては林業の利益を生み出せません。

森の活性化・林業の利益化向上・廃棄物の削減などの観点から、間伐材を積極的に活用し、SDGs実現に向けた取り組みを行っています。

〈関連コラム〉

“間伐材の利用”がSDGsのカギを握る?現状の問題点やメリット・デメリットについて解説


人工突板の開発・製造

原木 ロータリー

「人工突板」と聞くと、どうしても自然由来の素材を連想しにくいかもしれませんが、こちらも天然木材から作られた建材です。

間伐材や短期間で成長する植林樹木などの小径材を活用します。

植林から製材に適したサイズに成長するまで40〜50年程度かかる銘木とは異なり、短いサイクルで建築材料を生み出せます。

森林の木々をこまめに伐採・植林するサイクルは、森を健康に保つためにも非常に重要なポイントです。

ポイント
“恩加島木材”は、国内で数少ない人工突板製品の開発・製造を行っている会社です。
サスティナビリティの高い建築物を目指す方は、ぜひ“豊かな森を守る”人工突板のご採用をご検討ください。


〈関連コラム〉

“人工突板”は天然木由来の建材。基礎知識やウッドショックとの関連性について解説


自社工場での自然エネルギー活用

2023年10月(予定)より、自社工場へ太陽光発電システム(141kW)および蓄電池を導入し、再生可能エネルギーの創出や脱炭素化への貢献を目指します。



まとめ|ウッドショックの影響を受けにくい国産材

ウッドショックによる木材の価格高騰や納期遅延は、日本の建築業界へ大きな影響を及ぼしました。

輸入材の価格はピーク時より落ち着いたものの、ウッドショック前までは未だ回復していません。

また、今後も続く可能性のある円安ドル高によって、まだまだコスト面で厳しい局面が続くことも考えられます。

そこでおすすめなのが、国産材の積極的な利用です。

輸入材よりも為替市場や世界情勢の影響を受けにくく、環境面や社会面でもメリットがあります。

国産材を用いた突板化粧板でしたら、無垢材より価格が抑えられ、施工効率性もアップします。

また、安定的に材料を入手できる点も魅力です。

“恩加島木材”が、突板化粧板メーカーとして、長年培った経験と知識をもとに、みなさんの設計デザインをお手伝いいたします。

製品は、天然木突板を使った化粧板やフローリング材、ルーバー、有孔ボードなど多岐に渡るため、空間のトータルコーディネートも可能です。

「環境に配慮した製品を取り入れたい」「統一性のある洗練されたデザインを実現させたい」とお考えの方は、ぜひに一度恩加島木材の突板製品をご検討ください。


日本初〉大臣認定取得|恩加島木材の“不燃突板複合板”

難燃_不燃複合板

建築基準法上で「特殊建築物」に指定される商業施設や宿泊施設などを建てる際に欠かせないのが、“不燃突板複合板”です。

天然木突板(厚さ0.2mm)に不燃材料である無機質不燃板(厚さ6・9mm)を貼り合わせた材料です。

しかし、今までの不燃突板化粧板には施工上の問題点がありました。

  • 重い
  • 割れやすい
  • 高コスト
  • ビスが効かない


それらの問題を解決したのが、恩加島木材の不燃突板複合板」です。

天然木突板(厚さ0.2mm)+ 無機質不燃板「ダイライトFAL」(厚さ6mm)+ 特殊合板(厚さ9mm)で構成されているため、ビスが効いて割れません。また、軽量化されたため、施工効率もアップします。
※幅290mmまでは本実加工も可能です。

日本で初めて大臣認定を受けたため、安心して採用していただけます。



恩加島木材が現場の様々なご要望にお応えします

恩加島木材が現場の様々なご要望にお応えします

「プリントシート材の木目だと味気なく個性が出せない」「天然木を使用したいが無垢材だとコストが高くメンテナンスが不安」そんな時には、天然木突板を使っておしゃれで安らげる空間をデザインしてみませんか?

恩加島木材の歴史ある熟練技術で、デザイナー様や設計士様の疑問やご要望にお応えします。

随時、木材選定から各種オーダー加工に関するご相談を承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。