木目ドアの材料「突板」とは|メリット・デメリットや無垢材との違いを解説

木目ドアの材料「突板」とは|メリット・デメリットや無垢材との違いを解説

木目ドアの表面材として多く採用されているのが「突板化粧板」です。

しかし、突板と聞いてもいまいちどんな素材か分からない方も多いでしょう。

そこで今回は木目ドアの表面材に用いられる突板(つきいた)化粧板の特徴やメリット・デメリットについて“木材のプロ”が解説します。

無垢材でつくるドアとの違いも紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

このコラムのポイント
●天然木にこだわった木目のドアを採用したい場合におすすめの材料が「突板化粧板」です。

●突板化粧板で作るドアは、無垢材ドアと比べてコスト面や性能面におけるメリットがありますが、その一方で事前に押さえておくべきデメリットや注意点もあります。

●恩加島木材は国内外から産地にこだわった良質な突板を仕入れ、高品質で施工性・デザイン性の高い突板化粧板を製造販売しています。


木目ドアの表面材に使われる材料の種類

木目ドアの表面材に使われる材料の種類

木目ドアの材料は、主に「無垢材・突板化粧板・メラミン化粧板やオレフィン化粧板などの面材」の3つです。

どれも、木目の玄関ドア・内装ドア・収納ドアの表面材として多くの事例に採用されています。

無垢材

一般的にドア厚と等しい厚さの板材を加工して作る建具です。

無垢材をカットしたいくつかのパーツを組み合わせてドアに加工します。

突板化粧板

突板を合板などに貼り合わせた突板化粧板をドアの芯材となる集成材フレームやハニカムコア材に接着してドアに加工します。

※ハニカムコア材:紙製の蜂の巣状六角形セルを繋ぎ合わせた材料で、軽量かつ高強度で、コア内の空気によって断熱性にも優れた材質

メラミン化粧板・オレフィン化粧板などの面材

突板化粧板と構造は似ていますが、表面材として非木質の印刷シートを貼り合わせます。

天然木の質感や色合いを生かしたドアにしたい場合には、無垢材もしくは突板化粧板が採用されます。

ただし、どちらも表面保護のための塗装やコーティングが欠かせません。

耐水性を重視する場合は、メラミン化粧板・オレフィン化粧板などの面材がおすすめです。

ポイント
木製にこだわりたい方には無垢材もしくは突板化粧板のドアをおすすめしますが、無垢材のドアには重量やコストなどの面で欠点があるため、一般的には突板化粧板を表面材にしたドアが採用されます。

突板化粧板は、既製・造作(オーダーメイド)問わず木目ドアに欠かせない建築材料です。


▶︎おすすめコラム:突板・挽板・無垢材それぞれの違いとは?どれがおすすめ?特性から選び方まで徹底解説

▶︎おすすめコラム:天然木にこだわるなら突板練付化粧板。メラミン化粧板・オレフィン化粧板・プリント化粧板との違いは?

木目ドアに多く使われる「突板化粧板」とは

最も多く使われる「突板化粧板」とは

木目ドアの材料として多く採用される突板化粧板は、表面材である突板(つきいた)と基材で構成されるパネル材です。

表面材突板(天然木を0.2〜0.3mmほどの薄いシート状にスライスした素材)
基材合板・MDF・不燃パネル・粘着シート材など


突板化粧板は、ドアの表面だけではなく、フローリングや室内の壁・天井仕上げ材、カウンター、家具の材料など、幅広い部分に採用されています。

ちなみに、日本農林(JAS)規格では突板化粧板を「天然木化粧合板」に分類していますが、天然化粧合板には挽板※化粧板も含まれます。

※挽板(ひきいた):天然木を厚さ2〜3mmの薄い“板状”にスライスした素材

ポイント
突板はとても薄く火災時にすぐ燃え尽きるため、基材を不燃パネルにすれば、防火材料としての認定を受けられます。

基材の種類は見た目で分からないため、防火材料にしなくてはいけない部分とそうではない部分の仕上げを揃えられる点がポイントです。

そのため、内装制限の対象となる建物で天井や壁と内装ドアの素材を揃えられます。


▶︎おすすめコラム:突板製品はこうして生まれる。森から現場までのプロセスは?生産工程や恩加島木材の強みを紹介

▶︎おすすめコラム:造作建具でこだわりのデザインに。既製建具との違いやメリット・おすすめ面材まで解説

突板化粧板のドアにするメリット|無垢材ドアとの比較

突板化粧板のドアにするメリット|無垢材ドアとの比較
KDパネル(ホワイトアッシュK6178QN)

突板化粧板の木目ドアには、無垢材ドアと比べて有利な点がいくつもあります。

無垢材と同様のナチュラルな質感と見た目

突板は天然木をスライスした素材であるため、見た目や質感は無垢材とほぼ変わりません。

そのため、印刷では表現できないナチュラルな仕上がりになります。

無垢材よりも低価格

突板化粧板は無垢材よりも天然木の割合が少ないため、希少価値が高く高価な樹種ほど価格を抑えられます。

ただし、杉など一部の樹種では無垢材の方が突板化粧板より価格を安く抑えられる可能性もゼロではありません。

しかし、杉の中でも安価なグレードの木材は、木肌が粗くドアの素材にあまり適していないので注意しましょう。

樹種(木目・カラー)のレパートリーが豊富

突板化粧板は無垢材よりも樹種のレパートリーが多く、国産・輸入材問わず多数の中から選択できます。

また、突板化粧板でしたら、重い樹種や変形しやすい樹種、高価な樹種など、無垢材ではドアの材料に適していない種類を選定できる点もポイントです。

近年は、樹種に加えて突板の原料となる木の産地まで指定する事例は珍しくありません。

▶︎おすすめコラム:今こそ木材も“地産地消”する時代。脱炭素化に向けた地産材・地域材利用について解説


無垢材より変形しにくい

無垢材のドアは、季節ごとに生じる温度や湿度の変化によって、反ったり伸縮したりして建て付けが悪くなる可能性があります。

それに対して突板化粧板ドアは、変形しやすい無垢材部分がとても薄いため、反りや伸縮のリスクを抑えられる点は重要なメリットです。

※芯材に集成材を用いる場合、全く変形しない訳ではありません。

無垢材より軽い

突板化粧板ドアは内部に空洞があるため、無垢材のドアよりも大幅に重量を抑えられます。

一般的な片開きドアの重さを比べると、無垢材ドアが20〜30kg※に対して、突板化粧板のドアは10〜15kgが平均です。

※樹種によって異なる

そのため、枠への荷重が少なく経年による建て付け不良が起こりにくく、開閉に必要な力も少なくて済みます。

無垢材より品質ムラが少ない

無垢材は天然素材なので、同じ産地・樹種でも木1本ごとに品質に差が出る点は否めません。

対して、突板化粧板は天然素材を使うものの、工場でつくられる工業製品なので、品質が安定してます。

そのため、ホテルや集合住宅など、品質が同じドアを大量に必要とする現場では、主に突板化粧板のドアが採用されます。

特殊塗装も可能

無垢材ドアは基本的に組み立てた後に着色塗装やクリア塗装を施すため、現場塗装するケースは珍しくありません。

それに比べて突板化粧板は面材の時点で工場塗装するのが原則です。

そのため、大掛かりな機材や扱いにくい塗料を用いた特殊塗装も可能になります。

特殊塗装の例は以下の通りです。

  • 表面の耐摩耗性を高めるUV塗装
  • 木材の日焼け防止塗装
  • 抗菌・抗ウイルス塗装

※突板化粧板の塗装については「ウレタン塗装・UV塗装・ラッカー塗装・オイル塗装… 各種木材塗装の違いは?抗ウイルス塗装についても解説」をご覧ください。

恩加島木材では、突板化粧板の製造から特殊塗装まで、全て自社工場にて行なっているため、お客様のご要望に細かく対応できます。

テクスチャー付きの材料もある

突板化粧板は、表面を特殊加工した個性的なテクスチャーのタイプもあります。

テクスチャー付きの化粧板でドアを造作すると、高級感やオリジナリティのある雰囲気に仕上がるため、店舗やホテルなどの採用事例は少なくありません。

恩加島木材では、突板化粧板に様々なテクスチャーをプラスした「天然木練付テクスチャーボード」を製造しています。

浮造(うづくり)
なぐり
オビノコ



ドア以外と素材を揃えられる

突板化粧板は木目ドアと天井や壁、家具の面材の素材を揃えられます。

そのため、統一感のあるインテリアデザインにしたい方におすすめです。

不燃認定を受けている突板化粧板でしたら、内装制限など防火規定にかかわる範囲にもご採用いただけます。

対して無垢材ドアの場合、天井や壁、家具の面材と素材を揃えることは難しく、防火規定をクリアするためには納まりなどの工夫が必要になりコストがかさむのでご注意ください。

恩加島木材では、通常の突板化粧板に加えて、防火規定をクリアできる不燃認定取得済みの「天然木練付不燃化粧板」・「天然木練付不燃複合板」や、ホールや体育館の壁・天井材としておすすめの「天然木練付有孔化粧板」などのラインナップを揃えたPANESSE(パネッセ)を製造しています。


突板化粧板のドアにするデメリット・注意点|無垢材ドアとの比較

突板化粧板のドアにするデメリット・注意点|無垢材ドアとの比較

突板化粧板のドアが無垢材ドアより優れている点はいくつもありますが、逆にデメリットもあるので注意しましょう。

ドアの設置場所などに応じて、突板化粧板のドアと無垢材ドアを使い分けることが重要です。

木目に継ぎ目が出る

突板の幅は最大でも600mm程度なので、化粧板やドアの幅がそれ以上の場合はどうしても継ぎ目が出てしまいます。

突板の継ぎ目

突板の継ぎ目を目立たせたくない場合には、直線的な木目の柾目(まさめ)がおすすめです。

※木目については「木目の違いでイメージが大きく変わる。板目・柾目・杢目の違いや突板の貼り方まで徹底解説」をご覧ください。

恩加島木材では、常時40種類以上の突板を揃え、さらに板目・柾目(一部の樹種は杢目も)をお選びいただけます。

雨や紫外線を受ける場所だと表面にヒビが入る可能性がある

突板化粧板の表面材である突板は、一般的に0.2〜0.3mmと薄いため、雨や紫外線を受けて湿潤・乾燥を繰り返すとひび割れる可能性があります。

そのため、雨ざらしになる玄関ドアなどにはおすすめできません。

ただし、このデメリットは無垢材ドアにも共通し、同様に雨や紫外線によって表面が毛羽立つなどの現象が起こります。

※突板化粧板のデメリットについては「突板化粧板のデメリットや注意点は?メーカーだから分かる解決方法を紹介」をご覧ください。

無垢材と同様に変色する

突板化粧板は無垢材と同様に日焼けやその他の原因によって経年変色します。

特に変色しやすい樹種は以下の通りです。

  • スギ
  • ヒノキ
  • パイン
  • チェリー
  • ウォールナット

樹種によって、段々と色が淡くなるタイプと濃くなるタイプがありますので、材料選定の際にはどのように変色するかも確認しましょう。

ちなみに、木材の経年変色は直射日光が当たる場所に限らず、照明光に含まれる微量の紫外線でも日焼けする場合があるので注意が必要です。

恩加島木材では、日焼けによる変色を抑制する塗料のオプションもお選びいただけます。

無垢材よりも触り心地が硬い

突板化粧板は天然木の厚さがとても薄いため、無垢材ドアと比べると触り心地は硬く感じます。

ただし、椅子などの家具やフローリングと異なり、ドアの触り心地が問題になる事例はほとんどありません。

無垢材よりも細かいデザインや細工は難しい

突板化粧板は素材が異なる表面材と基材で構成されているため、無垢材のように彫刻を施したり細かい細工をしたりできません。

そのため、突板化粧板は主にシンプルモダンなすっきりとしたデザインにおすすめです。

恩加島木材では、様々な納まりに対応できる木口やパネル端部の加工オプションもご追加いただけます。

木口貼り加工
木口塗装加工
面取り加工


無垢材より開口できる面積が小さい

突板化粧板のドアは構造上、全面ガラスのような大開口のデザインは実現が難しく、ドアの強度を確保するために、外周のフレームを太くする必要があります。

ただし、強度を確保できる範囲であればドアの上から下までスリット状に明かり取り窓を設けるデザインは製作可能です。

無垢材よりも強い衝撃に弱い

突板化粧板ドアは内部に空洞があるため、場所によっては強い衝撃を受けると穴が開いてしまうので注意しましょう。

対して板材で作る無垢材ドアは、衝撃を受けても簡単には壊れません。

突板化粧板ドアの強度を高くするためには、内部の空洞を減らす必要があり、ドアが重くなる可能性があります。

無垢材より補修が難しい

突板化粧板は表面材と基材で素材が異なり、さらに表面の突板は薄いため、キズやシミがついても研磨して補修することはできません。

また、特殊塗装が施されていると、現場塗装による補修が困難です。

そのため、細かい擦りキズや汚れ・シミを防ぎたい方には、UV塗装した突板化粧板がおすすめです。

UV塗装は紫外線で硬化する特殊塗料によって短時間で分厚い塗膜を形成できます。

恩加島木材では自社工場でUV塗装する化粧板に加えて、台湾・KEDING社が手がける0.5mmの厚単板と高強度抗菌UV塗装KDパネルも販売しております。

ポイント
無垢材・突板化粧板で作られる内装ドアは、どちらも天然木材ならではのナチュラルな色合いや木目が魅力です。

ただし、無垢材ドアと突板化粧板ドアは異なるメリットとデメリットがあるため、プランに応じて適切な内装ドアを選びましょう。

「無垢材ドアと突板化粧板ドアのどちらにすればいいか分からない」という方は【内装ドア選び】無垢VS突板化粧板どちらがいいか|メリット・デメリットを徹底比較をご覧ください。


突板化粧板を用いた内装ドア・収納扉の「おしゃれな事例」

恩加島木材が製造・販売する突板化粧板は、様々な事例のドアに採用されています。

その中からいくつか抜粋し、デザインのポイントを紹介します。

ドア・天井・壁・家具を同じ面材で

突板化粧板ドアのメリット・デメリット
KDパネル(オークK6187AS)

こちらの事例は、収納ドアと造作家具、天井・壁の仕上げ材を同じ化粧板に統一した事例です。

ドアには取手をつけず、シームレスでシンプルモダンな空間に仕上がっています。

テクスチャーボードで個性的に

内装ドアの種類
施工事例:スプランディッド大阪WEST

こちらは、マンションの玄関ドアと共用部の壁仕上げ材に突板化粧板を採用した事例です。

ウェーブのラインが浮き出るテクスチャーボードを凹凸をつけて貼り合わせ、個性的に仕上げています。

統一感がありながらも印象的なデザインに

無垢材ドア・突板ドアの比較
施工事例:ザ・ファインタワー大手前

こちらはマンションの内装ドアと壁の装飾、さらに天井・壁仕上げに弊社の突板化粧板をご採用いただいた事例です。

玄関収納の扉から間接照明をあしらった壁パネルを同じ木目で揃え、シンプルながらも印象的なデザインにまとめました。

木目天井
施工事例:ザ・ファインタワー大手前

同じマンションの共用部には、造作家具と壁・天井を化粧板仕上げにして、清掃しやすい仕様にしています。

ポイント
恩加島木材の突板化粧板は、住宅・非住宅問わず数多くの事例にご採用いただいております。詳しくは施工事例納入実績ページをご覧ください。



高品質な突板化粧板は“恩加島木材”にご相談ください

恩加島木材の高品質な「天然木練付化粧板」

恩加島木材は、国内外から良質でレパートリー豊富な突板を仕入れ、高品質な突板化粧板(天然木練付化粧板)を製造する建材メーカーです。

突板化粧板の製造から着色塗装・特殊塗装まで全て自社工場で行うため、オリジナリティを表現できる木質建材をお探しの方は、ぜひ恩加島木材までご相談ください。

恩加島木材が自信を持って提供する「突板化粧板の強み」は以下の点です。

  • 無垢材と同様の「ナチュラルな見た目と質感」に仕上がる
  • 工業製品なので「品質安定性が高い」
  • 軽量化を実現でき、「施工効率性アップ」につながる
  • 無垢材よりも温度や湿度環境変化による「変形リスクが少ない」
  • 希少性があり高価な樹種でも、「無垢材より安価」で安定して材料を入手しやすい
  • 原木1本から取れる突板面積は無垢板材よりも広いため、「同じ風合いを大量入手しやすい」
  • 特殊塗装によって「表面の耐摩耗性・耐汚性」が高く、日焼けによる変色も抑えられる
  • 「不燃・難燃材料認定取得済み」製品もあり、内装制限のある建築物にも採用可能で、対象部分と対象外部分の仕上げを揃えられる

さらに弊社では、国産材や地域材、間伐材、成長の早い小径材を積極的に活用し、森林活性やカーボンニュートラル実現に向けた取り組みも行っています。

恩加島木材工業の突板化粧板シリーズ
● 豊富な樹種・木目とUV塗装も選べる「天然木練付突板化粧板(非不燃・不燃)
● 重い・割れやすい・高コスト・ビスが効かないなどの懸念点を解消した「不燃突板複合板
● 国内初・組み立てた状態で準不燃認定を取得した「リブパネル
● 国内初・孔を開けた状態で不燃認定を取得した「有孔ボード
● 0.5mm厚突板による立体感と特殊UV塗装で耐久性と抗菌性能を付与した日本初上陸のプロダクト「突板化粧合板・KDパネル

内装制限の対象となる建築物へご採用いただける製品を取り揃えておりますので、建物の設計デザインに木目を取り入れたい方はお気軽に弊社までご相談ください。


▶︎おすすめコラム:突板・挽板・無垢材それぞれの違いとは?どれがおすすめ?特性から選び方まで徹底解説

▶︎おすすめコラム:突板製品はこうして生まれる。森から現場までのプロセスは?生産工程や恩加島木材の強みを紹介


まとめ

天然木にこだわった木目のドアを採用したい場合におすすめの材料が「突板化粧板」です。

無垢材と比べてコスト面や性能面においてメリットがあります。

ただし、突板化粧板で木目ドアを製作する際には、事前に知っておいていただきたいデメリットもあるのでご注意ください。

無垢材ドア・突板化粧板ドアそれぞれのデメリットを解消できるのが、恩加島木材の突板化粧板です。

「思い通りのデザインを実現したい」「環境に配慮した建物にしたい」という方は、高品質でレパートリー豊富な恩加島木材の突板製品をご採用ください。