消防法の内装制限|条文・概略・倍読みなどの緩和措置から建築基準法の違いまで解説

建物の設計において建築基準法と併せて重要な法律が「消防法」で、内装デザインに深く関わるのが「内装制限」です。
そこで今回は「消防法における内装制限」について、ルールの根拠や概略と関連条文、対象となる建物・部位、緩和措置について“木材のプロ”が詳しく解説します。
建築基準法における内装制限との違いは、よくある質問、内装制限に対応できるおすすめの建材も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
●建築基準法でも内装制限の規定が設けられているため、公共性の高い建築物・大規模建築物の設計デザインを検討中の方は、防火材料(不燃認定を受けた材料)の選定をご検討ください。
●恩加島木材は、高品質・レパートリー豊富で環境にも配慮した「突板不燃化粧板・突板不燃複合板」を製造販売しております。
Contents
消防法における「内装制限」根拠・関連条文

消防法は、火災の予防・警戒・鎮圧と、危険物の取り扱いに関する規制、防火管理や点検、救急業務により、火災から国民の生命と財産を守ることを目的とした法律です。
その中でも、建築の新築・リノベーションに深く関わるのが「内装制限」のルールで、インテリアデザインに制限が設けられています。
「内装制限」は、主に公共性が高く不特定多数が利用する建物や大規模建物を対象に、室内に面する全ての部分※において内装仕上げ材や意匠材を防火材料・防炎材料にすることを義務付けるルールです。
※室内に面する全ての部分:建築基準法第2条第4号で定める、「居室」と「風呂・トイレ・洗面所・駐車場・機械室・倉庫、その他これらに相当する部屋」、「通路(廊下・階段)」において、壁と天井の室内に面する範囲(人が出入りしない収納やユニットタイプの浴室は含まない)
防火材料と防炎材料はどちらも火災の延焼を抑える目的で国が認定する建材を指しますが、目的と管轄が異なります。
| 防火材料 | ・着火しにくく、一定時間は燃焼しない性能をもつ ・建築基準法で定める「燃焼しない」「有害な変形・溶融・亀裂・損傷が生じない」「有害なガスが発生しない」性能を維持できる時間によって、3種類に分けられる 〈不燃材料〉加熱開始後20分間は防火性能を維持できる 〈準不燃材料〉加熱開始後10分間は防火性能を維持できる 〈難燃材料〉加熱開始後5分間は防火性能を維持できる ・国土交通省(建築基準法に基づく) |
| 防炎材料 | ・燃えにくく、自己消火性をもつ ・材料ごとに定められる「残炎時間・残じん時間・炭化面積・炭化長及び接炎回数」に係る基準に適合するもの ・総務省消防庁および日本防炎協会(消防法に基づく) |
消防法・消防法施行令において内装制限の根拠となる条文は以下の通りです。
| 法令の種類 | 主な関連条文 |
|---|---|
| 消防法 | ・第8条および第8条の2 |
| 消防法施行令 | ・第6条(防火建物の指定) ・第12条の2(スプリンクラー設備に関する基準) ・第13条(水噴霧消火設備等を設置すべき防火対象物) ・第26条第5項(誘導灯及び誘導標識に関する基準) |
消防法における「内装制限」の基本ルール

消防法における内装制限を受けるのは特定の建築物における一部の内装仕上げ材と意匠材です。
建物の規模・用途などによって、使用できる建築材料が異なるのでご注意ください。
※下記内容は法令の抜粋ですので、詳細は関連法規を必ずご確認ください。また、自治体ごとの条例で内装制限に関する特記事項を設けている場合もあります。
対象となる建築物
消防法における内装制限の対象となるのは、主に「防炎防火対象物」で、以下の建物が該当します。
| 建物の種類 | 詳細 |
|---|---|
| 高層建築物 | ・地表から高さ31mを超える建築物(避難が困難になりやすいため、早期の火災拡大抑制が重要) ※根拠法令:消防法(第8条の3第1項) |
| 地下街 | ・地下に設けられた店舗・事務所や、その他これらに類する施設で、地下道およびそれに連続して設けられたテナントなど(避難が困難になりやすいため、早期の火災拡大抑制が重要) ※根拠法令:消防法(第8条の3第1項) |
| 特殊建築物の一部 | ・劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場 ・病院、診療所、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎 ・百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場 ・学校、体育館 ・倉庫 ・自動車車庫、自動車修理工場 ・上記に類する建物で政令で定めるもの ▶︎それぞれの用途において、延床面積や構造種別(耐火建築物・準耐火建築物かどうか)で適用されるルールが異なる ※根拠法令:消防法(第8条の3第1項)、消防法施行令(別表第1)、建築基準法(第2条の2)、建築基準法別表第1(い) |
上記の他にも、以下の建物は内装制限の対象になります。
| 建物の種類 | 詳細 |
|---|---|
| 大規模建築物 | ・延床面積500平方メートルを超える3階建て ・延床面積1,000平方メートルを超える2階建て ・延床面積3,000平方メートルを超える1階建て(平屋) ▶︎全て、学校等と、耐火建築物又は準耐火建築物の高さ31m以下で100㎡以内に防火区画された特殊建築物以外の居室、病院・診療所などで高さ31m以下の部分は対象外 |
| 火気使用室 | ・調理室、浴室その他の室で、かまど、コンロなど、火を使用する設備または器具を設けた部屋(IHクッキングヒーターは火が出ないため、火気使用室にならない場合も) ▶︎天井高さが6mを超える場合は対象外 |
| 無窓居室 | ・採光、換気、排煙、避難する上で有効な窓がない部屋(床面積が50㎡を超える居室で、天井から80cm以内にある開放できる窓などの合計面積が床面積の1/50未満の場合) ▶︎それぞれの用途において、延床面積や構造種別(耐火建築物・準耐火建築物かどうか)で適用されるルールが異なる ※根拠法令:消防法(第8条の3第1項)、消防法施行令(別表第1)、建築基準法(第2条の2)、建築基準法別表第1(い) |
これら対象となる建物の内装材(主に天井・壁の仕上げ材)には、防火材料を採用しなくてはいけません。
(参考:建築基準法施行令第108条の2、建築基準法施行令第1条の5・6)
不燃・準不燃・難燃材料のどれを使用するかは、以下の条件によって異なります。
- 建物の用途
- 耐火建築物・準耐火建築物・その他の建築物のどれに該当するか
- 施工場所が、居室・通路(廊下・階段)のどちらか
- 防火区画の面積(スプリンクラー等自動式消火設備があれば、区画を2倍に計算でき、内装制限が緩和される)
(参考:建築基準法第35条の2、建築基準法施行令第112条・第128条の3の2・第128条の4・第129条)
また、カーテン・カーペット・暗幕・展示用の幕などには、防炎材料の使用が義務付けられています。
対象となる(ならない)部位
消防法における内装制限を受ける(受けない)部分は、原則として以下の範囲です。
| 対象となる部分 | ・室内における天井および壁の全面(建築基準法では、床面から高さ1.2m以下の壁は除外) ・鴨居、柱、梁などの木材が露出する部分 ・壁や天井の照明器具のカバー等で、室内に面する面積(見付面積)が当該部分の室内に面する部分の1/10以上の部分 ・天井まで達しない間仕切り壁やパーテーションのうち、常時同一の場所に設置されて簡単に移動できないもの ・天井まで達しない間仕切り壁やパーテーションのうち、床面から高さ2m以上で、空間を区切る用途のもの ・上記以外で、簡単に移動や撤去できない木材やその他の可燃材料を用いた壁面収納などの家具棚 |
| 対象とならない部分 | ・30㎝未満の巾木など造作部材 ・壁や天井に装飾用として設けた小規模の角材等(格子天井・よしず天井など、天井の一部を構成する場合は対象) |
(参考:東京消防局|第6内装制限・防火材料)
消防法における「内装制限」の緩和措置

消防法における内装制限には、いくつかの緩和措置が設けられており、これらをうまく活用すれば、「店舗の内装に木を取り入れたい」などの設計プランも可能です。
1/10緩和
消防法では、柱・梁などの木材が露出する部分や、壁・天井に設置された照明器具のカバー等で、当該の表面積が室内に面する部分の1/10以上だと内装制限を受けます。
逆に言えば、これらの表面積を1/10以下に抑えられれば、内装制限の対象にならないということです。
ただし、建築基準法においてはこの緩和措置が認められず、自治体によってはこの措置を導入していないところもあるのでご注意ください。
天井高さを6m以上にする
消防法では、窓など開放できる部分の開口面積が床面積の1/50未満の場合は、内装制限を受けます。(床面積が50㎡を超える居室の場合)
ただし、天井の高さを床から6m以上にすると、火災時の煙が上に溜まり、人がいる床付近に到達するまで時間がかかるため、内装制限の対象外になります。
ただし、建物の用途によってはスプリンクラーなどの自動消火設備を設置することが条件になっているため、注意が必要です。
天井仕上げ材に準不燃・不燃材料を使用する
天井に準不燃材料・不燃材料を用いると、壁のみが内装制限の対象外になります。
ただし、建物の規模や用途によっては、元から天井に準不燃材料を使用しなくてはいけない場合もあり、建築基準法においては、500㎡以内に防火区画を設ける場合は、壁・天井のどちらにも不燃材料を使用しなくてはいけません。
そのため、この緩和措置を使えるケースは限られるため、事前に詳細をご確認ください。
自動消火設備と排煙設備の両方を設置する
スプリンクラーなどの自動消火設備※と排煙設備※の両方を設置すると、内装制限の対象外になる可能性があります。
※自動消火設備:スプリンクラー設備・水噴霧消火設備・泡消火設備・その他類似する設備で法令で定めるもの
※排煙設備:排煙機・給気機・排煙風道・給気風道及び附属設備で法令にて定めるものを指し、換気設備や排煙機能を備える空気調和設備も含む
ただし、排煙設備の設置については建築基準法と関連法令で定められており、それを遵守する必要があります。
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建築基準法における「内装制限」との違い

内装制限のルールは、消防法・建築基準法のそれぞれで定められていますが、詳細が異なるのでご注意ください。
| 消防法 | 【目的】 ・火災の延焼防止と、初期消火、避難安全、人命救助、本格消火の実現 ・建物に関するハード面の規定に加え、消防点検の実施や防火管理者の人選など、ソフト面の規定も含む 【対象部位】 ・壁と天井の全面(天井や壁の仕上げ材のみ対象で、下地材は対象外) ・カーテン、カーペット、暗幕、展示用の幕など(防炎材料の使用が義務) 【確認検査】 消防法に基づき、建築確認の途中で行われる消防同意にて、管轄の消防署が実施 |
| 建築基準法 | 【目的】 ・火災の初期段階における安全な避難(避難の誘導)を確保する ・原則として、建物に関するハード面の規定を定める 【対象部位】 ・壁の床から高さ1.2m以上と天井の全面で、床は対象外(天井や壁の仕上げ材だけではなく下地材も対象になる可能性あり) ※回り縁・巾木・窓枠・窓台などの造作部材は全て対象外 ※腰壁やパーテーションは、原則対象外 ※天井高さが3m以上ある居室・通路や、屋外へ直接避難できる出口がある居室は対象外 【確認検査】 建築基準法に基づき、建築確認において、建築主事が実施 |
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消防法の内装制限に関する「よくある質問」

ここでは、消防法・建築基準法の内装制限について、多くの方からいただくご質問を紹介します。
Q.建具の内装制限の対象になる?
A.消防法・建築基準法のどちらも、内装ドアや収納扉などの建具は内装制限の対象になりません。
ただし、共同住宅やホテル、オフィスビルなどでは、特定防火設備・防火設備として防火ドアや防火シャッターの設置が義務付けられています。
| 特定防火設備 | ・60〜120分以上の耐火性能を有する ・長時間の火災でも延焼を防止できる ・高性能防火戸(ドア)や特定防火シャッターなど |
| 防火設備 | ・20分以上の耐火性能を有する ・火災初期段階での延焼を防止できる ・防火戸(ドア)など |
また、壁に設置する木製パネルや固定されたパーテーションに設置されたドアは、消防法における内装制限の対象となる可能性があるので注意が必要です。
Q.消防法における「倍読み」緩和とは?
A.消防法における「倍読み」緩和は、内装制限ではなく消防用設備の設置基準に係るルールです。
耐火建築物や準耐火建築物において、主要構造部や内装際に防火材料を採用すると、消防用設備(屋内消火栓・消化器・自動火災報知設備)を設置しなくてはいけない面積単位が2〜3倍に拡大され、結果的に設置台数を減らせます。
(例:木造などの一般建築物=設置最低面積500㎡ごと→耐火構造かつ内装材に防火材料を使用=設置最低面積1,500㎡ごと)
(参考:消防法施行令第11条の2)
つまり、「倍読み」は、内装制限に関する緩和措置ではなく、内装制限に適合することで得られる緩和措置ということです。
Q.消防法・建築基準法の2025年改正で「内装制限」に関連する変更点はある?
A.消防法の2025年改正では、内装制限に関する変更点はありませんが、建築基準法では「大規模建築物における部分的な木造化の促進」に伴う変更が追加され、壁・床で防火区画された範囲内であれば、壁に部分的な木造化(木部のあらわし)が可能になりました。
これにより、内装制限の対象となる建物でも、内装木質化のハードルが下がります。

ちなみに、消防法の2025年改正では、建築基準法第12条に基づく点検(12条点検)の点検方法が見直され、目視だけではなく、赤外線調査やドローンを使用した非接触型調査も可能となりました。
内装制限に対応可能な恩加島木材の「不燃・難燃突板化粧板」

恩加島木材は、天然木の風合いを残した高品質な「突板化粧板」を製造している建材メーカーです。
突板(つきいた)とは、天然木を0.2〜0.5mmの薄いシート状にスライスした素材で、合板やMDFなどの基材(きざい)表面に貼り合わせることにより意匠材として使用でき、天井・壁の仕上げ材や家具・建具の面材として多くの事例で採用されています。

恩加島木材が自信を持って提供する突板化粧板シリーズの強みは以下の通りです。
- 無垢材と同様の「ナチュラルな見た目と質感」
- 工業製品ならではの「高い品質と寸法安定性」※無垢材と比較した場合
- 軽量化による「施工効率性アップ」※無垢材と比較した場合
- 「変形リスクの抑制」※無垢材と比較した場合
- 「安価かつ安定した材料の提供」※無垢材と比較した場合
- 「同じ品質・見た目の大量材料を提供」※無垢材と比較した場合
- UV塗装・抗ウイルス塗装などを含む表面塗装仕上げの「自社施工による品質確保」
- 合板・MDFや不燃パネル、シート材、有効ボード、リブパネルなど、同じ突板を用いた「豊富な製品レパートリー」
さらに弊社では、国産材や地域材、間伐材、成長の早い小径材を活用し、「人工突板」の開発・製造にも努めるなど、森林活性やカーボンニュートラル実現に向けた取り組みを行っています。
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この突板化粧板の基材を不燃材料にした弊社の不燃ボード(天然木練付不燃化粧板・天然木練付不燃複合板)は、内装制限の対象となる部分の仕上げ材にもご採用いただけます。
| 天然木練付不燃化粧板 | 不燃材の表面に天然木突板0.2mmを貼り合わせた化粧板です。 国土交通省からの個別認定を取得済みの不燃材料として、飲食店や商業施設、官公庁など内装制限のある施設でもご利用いただけます。 ■不燃認定番号 NM-1272/NM-1368 |
| 天然木練付不燃複合板 | 弊社独自の加工技術で作り上げた不燃複合板です。 裏面に特殊合板を積層しているため、高強度を実現しています。 国土交通省からの個別認定を取得済みの不燃材で、体育館や武道場などの仕様におすすめです。 ■不燃認定番号 NM-5420 |
それぞれ、オプションとして、クリア塗装・着色塗装・抗ウィルス仕上げや、木口貼り・木口塗装・うづくり加工・面取り加工のご注文も承っております。
● 豊富な樹種・木目とUV塗装も選べる「PANESSE(パネッセ):非不燃・不燃天然木練付突板化粧板」
● 重い・割れやすい・高コスト・ビスが効かないなどの懸念点を解消した「不燃突板複合板」
● 国内初・組み立てた状態で準不燃認定を取得した「リブパネル」
● 国内初・孔を開けた状態で不燃認定を取得した「有孔ボード」
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まとめ
消防法における内装制限は、建物利用者の安全性や財産を守るための重要なルールです。
主に室内の天井・壁に防火材料の使用が義務付けられます。
建築基準法でも内装制限の規定が設けられているため、公共性の高い建築物・大規模建築物の設計デザインを検討中の方は、不燃認定を受けた材料の選定をご検討ください。
恩加島木材は、高品質&レパートリー豊富で、環境に配慮した「突板化粧板」を製造販売しております。
「思い通りのデザインを実現したい」という方は、恩加島木材の突板製品をご採用ください。


