これからの建築に求められる“トレーサビリティ”とは?メリットを簡単解説

木材のトレーサビリティ

建築分野においても、SDGsへの取り組みが盛んになっています。

建材の持続可能性や従事者の労働環境改善が注目されがちですが、それに加えて最近進んでいるのが「トレーサビリティの取り組み」です。

そこで、今回は「トレーサビリティ」の概念やメリット、私たち“恩加島木材”の取り組みを紹介します。

「顧客満足度や自社の信頼性を高めたい」「社会的存在価値の高まる設計デザインにしたい」という方は、是非参考にしてください。

このコラムのポイント
●トレーサビリティとは、製品(建築物)に関して、材料の産地や製造工程、施工工程、廃棄先など全てにおいて「いつ・誰が・どのように」携わったのかが分かるようにする取り組みです。

●トレーサビリティを一部にでも取り入れることで、顧客からの信頼獲得や業務の効率化などを得られます。

●恩加島木材は、産地にこだわった良質な突板を用いて、高品質で多彩な突板製品をご提供しています。




トレーサビリティとは?

トレーサビリティとは

トレーサビリティとは、「trace(追跡)」+「ability(能力)」から生まれた造語です。

その製品が“いつ・どこで・誰によって”作られたのかを明らかにする取り組みで、原料の産地から生産過程、供給、廃棄にいたる一連の関連企業などを追跡可能にした状態を指します。

元々は、リコールが起こりやすい自動車や食品、医療品にて取り入れられてきましたが、近年は“建築”にまで浸透しつつあります。

まだ一般的に聞き馴染みのない言葉ですが、大手ゼネコンの携わる大型プロジェクトでは、採用事例が増えています。

ポイント
消費者の安全思考は年々高まりつつあるため、発注側はリスクヘッジの一環としてトレーサビリティを求める傾向が見られます。


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トレーサビリティと建築・建設との関係は?

トレーサビリティと建築の関係

建築に携わる方の中で、まだ「トレーサビリティ」を意識している方はそれほど多くはないかもしれません。

しかし、プロジェクトの規模を問わず、複数の下請け企業に施工を依頼する場合、どの会社がどこまで携わっているのかを把握することはとても重要なことは事実と言えるでしょう。

トレーサビリティの本質は、何か問題が起こった場合の原因や責任の所在を明確にすることです。

一つのプロジェクトに多企業が関わる建築・建設業界においては、材料の原産地や加工業者、解体・廃棄した場合の処分先まで追跡できるようにしておくことで、「確かな安心・安全と手厚い補償サービス」につながります。

また、各工程ごとに責任の所在を明確にすることで、施工者の立場を守ることも期待できるはずです。

ポイント
トレーサビリティを建築現場へ導入することで、万が一問題が起こっても速やかに原因解明・是正対応が可能となります。
企業の信頼を損なわないためにも、大切な仕組みです。


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トレーサビリティを取り入れるメリットは?

トレーサビリティは、日本国内のみの取り組みだけではなく、世界的な潮流として広まっています。

最も信頼性が高く多くの国で採用されているのが「ISO 9001(品質)」ですが、そのほかにもトレーサビリティを公表することで、多くのメリットが期待できます。

  • 業務効率の向上や組織体制、業務継承の見える化
  • 各工程における生産性や材料のロス把握
  • コンプライアンスの遵守や適応確認
  • リスクマネジメントの徹底
  • 信頼性向上による海外企業を含む取引先拡大
  • 品質保証による社会的信頼・顧客満足・企業イメージの向上


いくら制度の高い施工をしても、100%不具合や問題を回避することはできません。

大切なのは、万が一不具合や問題が発生した場合に、迅速かつ確実に対応できること。

そのために、トレーサビリティは欠かせないのです。

ポイント
多分野においてトレーサビリティが浸透している昨今、消費者は“完成までのプロセス”全てを把握したい意識が高まっています。
不透明な部分があるとそれが不信感につながってしまう恐れがあるため、トレーサビリティが大切です。


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部分的に取り入れるだけでも効果あり

森林経営管理制度

トレーサビリティは、顧客満足度向上や生産性の効率化を実現させる上で、大きなキーポイントです。

しかし、実際に中小企業や中小プロジェクトでは、トレーサビリティにかかる人員やコストを確保できないかもしれません。

実際に、建築・建設業界で“完璧な”トレーサビリティを導入できているのは、主要ゼネコンによる大規模プロジェクトのうちのほんの一部にすぎません。

ただし、だからと言って他社と差別化を図るためには、トレーサビリティを意識することは重要です。

100%追跡できなかったとしても、一部だけでも取り入れることでメリットは得られます。

まずは、建材の産地・製造工程を“トレース”してみてはいかがでしょうか。

ポイント
“恩加島木材”では、原料である突板の産地にこだわり、貼り加工から特殊塗装、在庫管理、出荷対応に至るまで、自社で責任を持って行っています。


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原料産地にこだわり全製造工程を自社で行う“恩加島木材”の突板化粧板

サスティナブルな内装建材

私たち“恩加島木材”が皆様にご提供しているのは、天然木をスライスした突板を用いた化粧板などの内装建材です。

住宅はもちろん、内装制限のある商業施設・公共施設にも対応できるよう、不燃材を基材とした商品も取り揃えていますので、建物用途問わずご採用いただける点がポイント。

原料となる突板の選定、職人による貼り作業、特殊加工や塗装、在庫管理、出荷作業までの一連を、全て自社工場にて行っています。

また、産地を限定した国産材・地産材を積極的に用いて、日本の貴重な資源である“森林”、そして林業・製材業を守るために取り組んでおり、様々な施設へもご採用いただいています。

地産材の納入実績
JR北陸新幹線・長野駅 コンコース内天井(長野県産杉利用)
香川県多度津町庁舎(香川県産材利用)
某百貨店 什器(大阪府内産桧利用)
新居浜商業高校 体育館(愛媛県産材利用)
京都女子大学(京都府内産桧利用)
京都 某ホテル(京都府内産利用)
金沢サッカー場内装(石川県産材利用)
鳥取県立美術館(鳥取県産材利用)


人の目・手に触れる内装材に、産地や製造工程が明確な材料を用いることで、トレーサビリティ最大のメリットである「顧客の安心・安全」を実現できます。

また、地場で育った樹木を建築の内装材として採用すれば、地域経済の発展に貢献できるほか、建物利用者の愛着が増し、その場所にあることの意義が高まるはずです。


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SDGs実現に向けたエコ建材は“恩加島木材”へご相談ください

SDGs実現につながる“恩加島木材”の突板化粧板製品

サスティナブルな内装材をお探しの方には、“突板化粧板”をおすすめします。

無垢材は施工時の含水率と時間が経過した状態の含水率の変動によって、反りや木割れが起きてしまうリスクは避けられません。

一方、突板化粧板は寸法安定性の高い合板などを基材にするため、施工性も高く湿度変化によって変形する心配が少ないのです。

私たち“恩加島木材工業”は、1947年に創業以来、突板製品専門メーカーとして時代の変化を見極めながら、国内に限らず世界中の銘木を使って、良質でバラエティに富んだ内装材を提供し続けてきました。

突板の常備在庫はおよそ1000束に上り、その豊富なストックから、仕様やご要望に応じて一枚一枚丁寧に選定しています。

木の特性を熟知した“恩加島木材工業”が自信を持ってご提供する突板製品は、多くの住宅や公共施設にて採用されています。

内装の木質化は、今やカーボンニュートラルや脱炭素化の実現には欠かせません。

ウッドインテリアをご検討中の方は、ぜひ一度“恩加島木材工業”の製品をご覧ください。

間伐材の利用

森を豊かにするためには、適切な間伐が必要不可欠です。

ただし、間伐材をうまく活用しなくては林業の利益を生み出せません。

近年は、木製ガードレール、木製遮音壁、木製魚礁、木杭等や、バイオマス用燃料、コンクリート型枠などに活用されています。

さらに無駄なく使い切るために、弊社では、杉・桧の小径間伐材からスライスされた突板をバランスよく配置して美しい突板化粧板などを製造。

森の活性化・林業の利益化向上・廃棄物の削減などの観点から、SDGs実現に向けた取り組みとして実施しています。

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人工突板の開発・製造

原木 ロータリー

「人工突板」と聞くと、どうしても自然由来の素材を連想しにくいかもしれませんが、こちらも天然木材から作られた建材です。

間伐材や短期間で成長する植林樹木などの小径材を活用します。

植林から製材に適したサイズに成長するまで40〜50年程度かかる銘木とは異なり、短いサイクルで建築材料を生み出せます。

森林の木々をこまめに伐採・植林するサイクルは、森を健康に保つためにも非常に重要なポイントです。

ポイント
“恩加島木材”は、国内で数少ない人工突板製品の開発・製造を行っている会社です。
サスティナビリティの高い建築物を目指す方は、ぜひ“豊かな森を守る”人工突板のご採用をご検討ください。


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自社工場での自然エネルギー活用

2023年10月(予定)より、自社工場へ太陽光発電システム(141kW)および蓄電池を導入し、再生可能エネルギーの創出や脱炭素化への貢献を目指します。


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“恩加島木材”の多彩な商品ラインナップ

恩加島木材では、高品質なだけではなく、様々な建物や納まり、デザインを実現できる多彩な商品を取り揃えています。

KDパネル

KDパネルは、台湾・KEDING社製の天然木化粧合板で、0.5mmの厚単板で木目の立体感を、特殊UV塗装で耐久性と抗菌性能を付与した今までに無い化粧合板です。

天然木本来の質感と、メラミン化粧板のような強度・施工性を兼ね備えています。

恩加島木材工業が自信をもって展開する日本初上陸のプロダクトです。

▶︎「KDパネル」の詳細はこちらから



PANESSE(パネッセ)

天然木練付化粧板のシリーズで、基材によって「不燃ボード」「難燃ボード」「MDF化粧合板」「突板シート」「有孔パネル」「テクスチャーボード」と多彩なラインナップを実現。

樹種も40種類以上からお選びいただけますし、産出地を限定した地産材のご注文も承っております。

▶︎「PANESSE」の詳細はこちらから


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リブパネル・ルーバー

最近トレンドのリブパネルやルーバーも、その他化粧板と同じ樹種で製造しております。

リブパネルは、もちろん天然木練付化粧板に貼り付けた仕様で、あらかじめ工場でパネル組みをしている高精度・省施工型の製品です。

ルーバーも同様で、精度の高い高意匠ルーバーとして人気商品となっています。

基材は木芯・不燃(ダイライト、エースライトなど)からアルミ押出成形品(※ルーバーのみ)まで対応しておりますので、内装制限のある建物にもご採用いただけます。

リブパネルはHPより規格書もダウンロードできますので、是非ご検討ください。

▶︎「リブパネル・ルーバー」の詳細はこちらから


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一口メモ
世界的に著名な建築家・隈研吾氏の設計による「和歌山県・有和中学校新校舎」をはじめ、様々な建築物へ当社製品が採用されています。
詳しくは、納入実績・施工実績・最新トピックスをご覧ください。




まとめ|まずは建築材料の産地にこだわってみませんか?

建築の設計デザインにおいて、当然ながら意匠性・耐久性などの観点から材料を選ぶことは重要です。

ただし、より高い顧客満足を提供するためには、安心・安全な材料選びが欠かせません。

トレーサビリティを一部にでも取り入れることで、お客様からの信頼を得られるはずです。

そこでおすすめするのが、産出地にこだわった建材の採用。

国産材・地産材や間伐材から作られた建材を採用すれば、利用者が愛着の湧く建築物になります。

“恩加島木材”は長年培った経験と知識をもとに、みなさんの設計デザインをお手伝いさせていただいております。

製品は、天然木突板を使った化粧板やフローリング材、ルーバー、有孔ボードなど多岐にわたっているため、空間のトータルコーディネートも可能です。

「環境に配慮した製品を取り入れたい」「統一性のある洗練されたデザインを実現させたい」とお考えの方は、ぜひに一度恩加島木材の突板製品をご検討ください。


日本初〉大臣認定取得|恩加島木材の“不燃突板複合板”

難燃_不燃複合板

建築基準法上で「特殊建築物」に指定される商業施設や宿泊施設などを建てる際に欠かせないのが、“不燃突板複合板”です。

天然木突板(厚さ0.2mm)に不燃材料である無機質不燃板(厚さ6・9mm)を貼り合わせた材料です。

しかし、今までの不燃突板化粧板には施工上の問題点がありました。

  • 重い
  • 割れやすい
  • 高コスト
  • ビスが効かない


それらの問題を解決したのが、恩加島木材の不燃突板複合板」です。

天然木突板(厚さ0.2mm)+ 無機質不燃板「ダイライトFAL」(厚さ6mm)+ 特殊合板(厚さ9mm)で構成されているため、ビスが効いて割れません。また、軽量化されたため、施工効率もアップします。
※幅290mmまでは本実加工も可能です。

日本で初めて大臣認定を受けたため、安心して採用していただけます。



恩加島木材が現場の様々なご要望にお応えします

恩加島木材が現場の様々なご要望にお応えします

「プリントシート材の木目だと味気なく個性が出せない」「天然木を使用したいが無垢材だとコストが高くメンテナンスが不安」そんな時には、天然木突板を使っておしゃれで安らげる空間をデザインしてみませんか?

恩加島木材の歴史ある熟練技術で、デザイナー様や設計士様の疑問やご要望にお応えします。

随時、木材選定から各種オーダー加工に関するご相談を承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。