〈グラフで見る〉日本における森林伐採の推移とその影響|地球温暖化との関連性について解説

〈グラフで見る〉森林伐採による影響|地球温暖化との関連性について解説

「地球温暖化の原因は森林伐採」「地球上の森林は減っている」と思っている方も多いでしょう。

確かに、世界で見ると木々は多く伐採され続けており、森林減少による環境破壊が問題視されています。

しかし、必ずしも森林伐採が地球温暖化や環境破壊に直接影響するとは限りません。

そこで今回は、“木材のプロ”である1947年創業の恩加島木材が、日本の森林伐採量と森林減少の傾向、森林伐採による環境・人・動物への影響、「森林伐採=環境破壊・地球温暖化」ではない理由について詳しく解説します。

建築分野でできる森林破壊抑制に向けた取り組み例も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

このコラムのポイント
● 伐採によって世界の森林は減少傾向にありますが、日本において森林面積は長年横ばいです。

● 地球環境や人・動物の暮らしに影響を及ぼすのは、違法森林伐採や自然災害による森林減少であり、計画的な伐採はむしろCO2削減につながります。

● 建築においては森林減少の抑制や脱炭素に向けた取り組みとして、木材利用や国産材・地域材の積極的な活用が進んでいます。

● 恩加島木材は国内外の木材から作られた良質な突板を仕入れ、レパートリー豊富で高品質な内装仕上げ材を製造販売しております。


日本における森林伐採量と森林減少の傾向

世界と日本の森林伐採量と森林減少率

地球全体では地表のおよそ31%が森林を占め、その面積は約40億3000万ヘクタール、日本の約106個分にも相当します。

しかし、世界の一部では無計画な違法伐採や山火事などによって森林面積は徐々に減っており、毎年平均※で520万ヘクタール減少していると言われています。

※2000〜2010年の平均

世界の森林減少
(引用:環境省|世界の森林を守るために

ここで重要なポイントは、森林面積は世界全体で減り続けている訳ではないという点です。

中国や北米、ロシア、そして日本など一部の地域では森林面積は増加しています。

では、ここで日本における森林伐採量の推移を見てみましょう。

日本における森林伐採面積と立木材積
林野庁|森林・林業統計要覧2024のデータを基に弊社にて作成)

このグラフを見ると、近年、日本における森林伐採量が微増していることが分かります。

これだけ見ると、日本の森林は減少していると思いますよね。

しかし、実際、日本の森林面積は1960年代から2020年代にかけてほとんど変わっていません。

日本の森林面積推移
(引用:林野庁|「森林資源の現況」について

日本の国土面積は3,780万ヘクタールですから、ここ半世紀に渡り森林面積は国土の66〜67%をキープし続けているということです。

ポイント
世界の森林は減少傾向にありますが、ベトナムやタイなどの温帯地域では植林活動が継続されており、北米・ロシアなど林業が盛んな地域では計画的な伐採と植林が維持されています。

日本も例外ではなく、林野庁による管理の元、森林面積は60年以上維持されており、伐採による森林減少は見られません。

しかし、世界に目を向けると違法伐採や無計画な都市計画などの人為的原因や、干ばつ・森林火災などによる自然災害によって、森林減少の問題は解決できていないのが実情です。


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森林減少の原因は伐採以外にも

森林減少の原因

「森林減少=人による無秩序な伐採」というイメージが強いですが、森林が破壊されている原因はそれだけではありません。

人為的な原因

  • 森林から農地・宅地などへの転用
  • 無秩序・無計画な違法伐採
  • 東南アジアや南アメリカ、アフリカなど伝統的に行われている焼畑農業
  • 発展途上国での燃料確保による大量伐採
  • 先進国の木材輸入に伴う伐採地域の不均等

自然災害による原因

  • 干ばつ
  • 森林火災

森林減少を止めるためには、これらの原因1つずつを解決していく必要があります。

ポイント
現在日本では、違法伐採を阻止するためのクリーンウッド法や木材利用促進法の制定、木材自給率アップに向けた国産材・地域材の活用、GXの促進など様々な取り組みが行われています。


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森林減少による環境・人・動物への影響|地球温暖化など

森林伐採による環境・人・動物への影響

日本だけではなく世界で森林減少を止めるための取り組みが実施されているものの、森林破壊によって自然環境や人・動物の暮らしに影響が出ているのも事実です。

環境への影響

森林の減少は、木々のCO2吸収効果を低下させ、気候変動や地球温暖化の一因になります。

ここで森林のCO2吸収量と人間が日常生活で排出する吸収量を比較してみましょう。

森林※のCO2吸収量約304t-CO2/ha
一般家庭が排出する年間CO2排出量3,608kg-CO2(=3.608t-CO2)/世帯
(参考:林野庁|森林はどのぐらいの量の二酸化炭素を吸収しているの全国地球温暖化防止活動推進センター|家庭からの二酸化炭素排出量(2023年度)

※36~40年生・スギ人工林の場合(樹種や樹齢によってCO2吸収量は異なる)

上のデータを見ても分かるとおり、森林が1ヘクタール失われると、一般家庭100世帯分が排出するCO2を吸収できなくなるという訳です。

環境省の公表によると、人為的に発生する温暖化効果ガスの約60%がCO2(二酸化炭素)で、このまま化石燃料の使用などによってCO2排出が続くと、最悪なシナリオで21世紀末までに世界の平均気温が2.4~6.4℃上昇し、北極海の氷が溶けるなどの深刻な異常気象をもたらすことが予想されています。

〈地球温暖化の進行によってもたらされる異常気象〉

  • 大気中の水蒸気量増加による大型台風・豪雨とそれに伴う洪水
  • 干ばつや熱波とそれに伴う森林火災や砂漠化

人・動物の暮らしへの影響

森林減少は私たち人間の暮らしにも大きな影響を及ぼします。

  • 森林による「水資源の貯留機能」が失われ、水不足になる
  • 森林による「水質の浄化機能」が失われ、水質汚染をもたらす
  • 森林による「洪水の緩和機能」が失われ、土砂災害が増える
  • 森林減少によって水溜まりが増え、蚊などを媒介した伝染病※が蔓延する(亜熱帯地域など)
  • 森林(林産物)の所有権をめぐる争いが増える
  • 森林で繁殖・生息する動植物が減る
  • 水質汚染により、河川や海で繁殖・生息する動植物が減る

※マラリア・黄熱病・デング熱など

 このように、森林減少は私たちの生活を脅かしかねないリスクをはらんでいるのです。

「森林伐採=森林破壊」ではない|理由と現状

「森林伐採=環境破壊・地球温暖化」とは限らない|日本の森林蓄積量推移

「森林伐採=森林破壊」というネガティブなイメージがありますが、必ずしもそうとは限りません。

実際に、森林面積が国土の2/3を占め木造建築の歴史が長い日本においては、森林減少が進んでいないのが現状です。

その理由は、計画的な森林伐採にあります。

計画的かつ継続的な森林伐採によって、森林の木々が若返り、成長の過程でより多くのCO2を吸収するためです。

そのため、世界では“森林の循環(植林・間伐・主伐・再植林)”を活性化するために、様々な分野で木材利用が進んでいます。

ポイント
木材利用は森林減少や森林破壊を助長すると思われがちですが、正しい森林循環維持の一部を担う森林伐採を継続するために欠かせません。

森林減少を止めるために重要なのは「違法伐採された木材を使わない」「できるだけ国産の木材を使う」という点です。

国産材や地域材の積極的な利用は、木材の運搬におけるエネルギー消費量やCO2排出量の削減につながり、林業・製材業など地方経済の発展につながります。


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“建築”で森林破壊を止める|具体例と木材利用によるメリット

日本の森林を守るためにできること

現在、森林減少を止めるために世界で取り組まれているのが、「建築の木造化」と「内装の木質化」です。

木造建築は非木造建築と比べて材料の製造過程で排出されるCO2量が少なく、内装仕上げに用いられる木材も石油系(塩ビ系)材料と比べて環境負荷※を減らせます。

※製造時のCO2排出量や燃焼時における有毒ガスの排出

木造は二酸化炭素排出量が少ない
(引用:林野庁|木材利用の動向(1)

「建築の木造化」と「内装の木質化」加えて、森林減少の抑制やSDGs・カーボンニュートラルな社会の実現に向けた取り組みとして、以下のような動きも活発になっています。

  • 国産材や地域材(地産材)の積極的な活用
  • 間伐材や小径材の有効活用


ポイント
恩加島木材は1947年創業より培った知識とネットワークを活かして、国内各地から良質な突板(つきいた)を仕入れ、内装材を製造しております。

また、小径材を活用した人工突板の開発・製造にも取り組んでおりますので、「森林保護につながる内装建材を採用したい」という方は、ぜひ恩加島木材にご相談ください。

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恩加島木材の高品質な「天然木練付化粧板」

恩加島木材の高品質な「天然木練付化粧板」

恩加島木材は、国内外から良質でレパートリー豊富な突板を仕入れ、高品質な突板化粧板(天然木練付化粧板)を製造する建材メーカーです。

突板化粧板とは、天然木を0.2〜0.3mmほどの薄いシート状にスライスした突板(つきいた)を表面材とし、それを基材(きざい)に接着したパネル材です。

壁・天井の仕上げ材や家具・建具の表面材など、幅広い部位に採用されています。

恩加島木材が自信を持って提供する「突板化粧板の強み」は以下の点です。

  • 無垢材と同様の「ナチュラルな見た目と質感」に仕上がる
  • 工業製品なので「品質安定性が高い」
  • 軽量化を実現でき、「施工効率性アップ」につながる
  • 無垢材よりも温度や湿度環境変化による「変形リスクが少ない」
  • 希少性があり高価な樹種でも、「無垢材より安価」で安定して材料を入手しやすい
  • 原木1本から取れる突板面積は無垢板材よりも広いため、「同じ風合いを大量入手しやすい」
  • 特殊塗装によって「表面の耐摩耗性・耐汚性」が高く、日焼けによる変色も抑えられる
  • 「不燃・難燃材料認定取得済み」製品もあり、内装制限のある建築物にも採用可能で、対象部分と対象外部分の仕上げを揃えられる

さらに弊社では、国産材や地域材、間伐材、成長の早い小径材を積極的に活用し、森林活性やカーボンニュートラル実現に向けた取り組みも行っています。

恩加島木材工業の突板化粧板シリーズ
● 豊富な樹種・木目とUV塗装も選べる「天然木練付突板化粧板(非不燃・不燃)
● 重い・割れやすい・高コスト・ビスが効かないなどの懸念点を解消した「不燃突板複合板
● 国内初・組み立てた状態で準不燃認定を取得した「リブパネル
● 国内初・孔を開けた状態で不燃認定を取得した「有孔ボード
● 0.5mm厚突板による立体感と特殊UV塗装で耐久性と抗菌性能を付与した日本初上陸のプロダクト「突板化粧合板・KDパネル

内装制限の対象となる建築物へご採用いただける製品を取り揃えておりますので、建物の設計デザインに木目を取り入れたい方はお気軽に弊社までご相談ください。


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まとめ

森林伐採によって世界の森林は減少傾向にありますが、日本において森林面積は長年横ばいです。

地球環境や人・動物の暮らしに影響を及ぼすのは、違法森林伐採や自然災害による森林減少であり、計画的な伐採はむしろCO2削減につながります。

そのため、建築においては森林減少の抑制や脱炭素に向けた取り組みとして、木材利用や国産材・地域材の積極的な活用が進んでいます。

恩加島木材では、人の生活環境と地球環境の両方に配慮した高品質な突板化粧板を製造しております。

「思い通りのデザインを実現したい」「環境に配慮した建物にしたい」という方は、レパートリー豊富な恩加島木材の突板製品をご検討ください。