突板パネル仕上げの壁｜メリット・デメリットと関連法規、材料の選び方、採用事例を紹介

住宅や店舗、ホテル、学校、病院と、さまざまな建築物に採用されているのが「突板パネル仕上げの壁」です。

今回は、「突板パネル仕上げの壁」について、メリット・デメリットと関連する法規、材料選びの手順・ポイントを“木材のプロ”が詳しく解説します。

そのほか、1947年創業の恩加島木材がおすすめする内装建材も紹介しますので、ぜひ最後までごらんください。

突板パネルとは

突板パネルは、突板化粧板や突板合板とも呼ばれる内装仕上げ材で、壁だけではなく天井や造作家具、内装ドアの意匠材として多くの現場で採用されています。

天然木を0.2〜0.3mmほどの薄いシート状にスライスした突板（つきいた）を表面材とし、それを基材（きざい）に接着したぱねる材で、不燃認定を受けているものも少なくありません。

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突板パネル仕上げの壁｜メリット・デメリット

突板パネルを壁の仕上げ材に採用するケースが多い理由は、ずばりそのメリットにあります。

メリット

• 天然木と比べてもほとんど遜色のない自然素材の持つ風合いがある
• クロスや塗装と比べて重厚感や高級感がある
• 天然木本来の調湿作用を発揮する
• 無垢材の板張りよりコストと荷重を抑えられる
• クロスや塗装よりも汚れを落としやすい
• クロスや塗装よりも部分的な張り替えが目立ちにくい
• クロスや塗装のような施工中の乾燥時間は必要ない
• シンプルなインテリアデザインとの組み合わせがトレンド
• 天井や造作家具、内装ドアなどとトータルコーディネートできる

このように、突板パネル仕上げの壁は、デザイン面やコスト面、耐久性、快適性において優れた点が多々あります。

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デメリット

突板パネル仕上げの壁にはメリットがある反面、設計デザインに取り入れる際に知っておくべきデメリットもあるので注意しましょう。

• クロスや塗装仕上げよりコストが高くなる（▶︎無垢材よりもリーズナブル）
• キズや凹みを補修しにくい（▶︎表面強度の高い突板パネルを選ぶ）
• 突板の幅が決まっているため、ダイナミックで大きな木目は表現できない（▶︎逆に突板の並べ方でオリジナリティを表現）
• 木口部分の衝撃に弱く、表面材が剥離する可能性がある（▶︎高品質な突板パネルを選ぶ）
• 紫外線によって経年変色する（▶︎無垢材も同じで、変色を味わいとして捉えることが重要）
• 水に弱い（▶︎無塗装品ではなくウレタン塗装やUV塗装を施したものがおすすめ）
• 屋外には施工できない（▶︎無垢材との使い分けが重要）

このように、一般的なクロスや塗装仕上げの壁と異なる注意点があるので、事前に突板パネルの特徴をよく理解しておくことが重要です。

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突板パネル仕上げの壁に関連する法規

突板パネルを壁の仕上げ際に採用する際、押さえておくべきルールが「内装制限」です。

内装制限とは、建築基準法で定められた防火規定のうちの1つで、不特定多数の人が利用する建物において、火災時に利用者の避難を妨げないように、天井と壁に使用できる建築材料が制限を受けます。

内装制限の対象となるのは主に「特殊建築物」と呼ばれる建物で、劇場・映画館・病院・ホテル・学校・百貨店など多くの人が同時に利用する施設や、倉庫・車庫・危険物貯蔵庫など火災リスクが高い施設が含まれます。

（参考：建築基準法第35条第2項「特殊建築物等の内装」、建築基準法別表第1、建築基準法第2条第2項）

内装制限の対象となる天井と壁には、建物の用途・構造区分・規模（延床面積もしくは階数）などによって、難燃・準不燃・難燃材料のいずれかを選定しなくてはいけません。

突板パネルも例外ではなく、内装制限の範囲内には防火材料※として国土交通大臣より認定を受けた材料を選ぶ必要があります。

※防火材料：難燃・準不燃・不燃材料の総称で、建築基準法で定められた火災時の安全性を確保するための建築材料を指す。実験によって一定時間の間「燃焼しない・有害な変形や損傷を生じない・有害な煙やガスが発生しない」と認められたもの。

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突板パネルを選ぶ手順とポイント

壁仕上げ材として突板パネルを採用する際は、5つのステップに沿って材料を選びましょう。

①不燃性

まずは、施工部位が内装制限の対象かどうかを確認しましょう。

内装制限の対象となる場合は、防火材料として認定を受けているか必ず認定番号を確認してください。

認定区分	認定番号
難燃材料	一般用：RM-◯◯◯◯（数字） 外部仕上げ用：RE-◯◯◯◯
準不燃材料	一般用：QM-◯◯◯◯ 外部仕上げ用：QE-◯◯◯◯
不燃材料	一般用：NM-◯◯◯◯（数字） 外部仕上げ用：NE-◯◯◯◯

※恩加島木材の各種認定についてはこちらをごらんください。

難燃材料＜準不燃材料＜不燃材料の順番で火災への抵抗力は高くなるので、難燃材料の仕様が求められる部位には準不燃・不燃材料を用いることも可能です。

▶︎おすすめコラム：突板不燃化粧板｜特徴やメラミン化粧板・化粧ケイカル板との違いを解説

②耐摩耗性・耐汚性

人の手に触れない高い壁はそれほどキズ・汚れの影響を気にする必要はありません。

しかし、ホテルの客室や病室、学校、幼稚園などの壁に突板パネルを採用する場合は、耐摩耗性・耐汚性もチェックしましょう。

無塗装品はナチュラルな質感が魅力ですが、手垢などの汚れがつきやすい点は否めません。

最近は無塗装の仕上がりに近づけたマットタイプのウレタン塗装やUV塗装を用いた製品が人気です。

▶︎おすすめコラム：ウレタン塗装・UV塗装・ラッカー塗装・オイル塗装… 各種木材塗装の違いは？抗ウイルス塗装についても解説

③樹種

内装デザインに合う樹種の突板パネルを選びましょう。

• 木目の色味（濃いor薄い）
• 木目の柄（目立つor目立たない）
• 木目の向き（すっきりとした柾目or装飾的な板目）

これらの組み合わせによってデザインの印象は大きく変わります。

▶︎おすすめコラム：〈インテリアに使われる木材の種類〉特徴の違いや人気樹種をプロが解説

▶︎おすすめコラム：木目の違いでイメージが大きく変わる。板目・柾目・杢目の違いや突板の貼り方まで徹底解説

④突板のパターン（貼り合わせ方）

同じ樹種でも、突板の並べ方によって突板パネルのデザインは異なります。

※各貼り合わせ方の詳細は突板の貼り方で印象が変わる｜化粧板の種類とおすすめ商品をごらんください。

個性的なデザインにしたいのか、すっきりとシンプルに見せたいのかに合わせて、適した突板の貼り合わせ方を選びましょう。

⑤厚さ・サイズ

納まりによって最適な突板パネルの厚さやサイズは異なります。

特にサイズはパネル割りや見た目、施工効率、材料ロスの量などに影響するため、慎重に検討しましょう。

恩加島木材の自社製品は、以下のサイズ展開です。

材料の種類	厚さ（mm）	サイズ（尺）
突板不燃化粧板 （天然木練付不燃化粧板、天然木練付不燃複合板）	6 9 12 15 18 21 24 30	3×6 3×8 3×9 3×10 4×6 4×8 4×10
突板化粧板 （天然木練付化粧板、化粧MDF）	2.5（MDF・合板） 4（MDF・合板） 5.5（MDF・合板） 7（MDF） 9（MDF・合板） 12（MDF・合板） 15（MDF・合板） 18（合板） 21（合板） 24（合板） 30（合板）	3×6（MDF・合板） 3×7（MDF） 3×8（MDF・合板） 4×8（MDF・合板）
突板難燃化粧板 （天然木練付難燃化粧板）	15	3×6 3×8 4×8
不燃突板シート （天然木練付不燃突板シート）	0.4	3×6 3×8 3×10 4×8（特注） 4×10（特注）

※製品の詳細はこちらをごらんください。

【採用事例】突板パネル仕上げの壁

恩加島木材の突板パネルは、様々な建築物の壁にご採用いただいております。

その中から特徴的なものを抜粋し、デザインのポイントと併せて紹介します。

壁・造作家具・ルーバーとのトータルコーディネイト

こちらはオフィスの壁と水槽を埋め込んだ造作家具、そして天井のルーバーに突板製品をご採用いただいた事例です。

全ての木目と色合いを揃えることにより、統一感のあるインテリアデザインにまとまりました。

装飾的な突板パネルで高級感をプラス

こちらは、マンションのエントランスに突板パネル仕上げの壁をご採用いただいた事例です。

シンプルながらも凹凸のあるパネルによって、重厚感と高級感が加わりました。

淡い色の突板を選定したことにより、明るく圧迫感のない印象に仕上げた点もポイントです。

こちらは複合施設の様々な空間に突板パネル仕上げの壁をご採用いただいた事例です。

天井と壁の木目を揃えつつ、個性的な台形型のパネルを組み合わせ、シンプルながらも印象的なデザインに仕上がっています。

シンプルながらもナチュラル＆清潔感が共存

こちらはカフェテリアの壁と天井に突板パネルを採用した事例です。

木目の主張が少なく淡い色の樹種を選定し、明るく清潔感のある空間にまとめました。

突板パネルを用いると、テーブルやカウンターと質感や色柄を揃えることも可能です。

こちらは、エレベーターホールの壁に突板パネルを施工した事例です。

一見シンプルに見えますが、スリットや間接照明と組み合わせることにより、意匠性の高いデザインに仕上がっています。

突板パネルは“天井仕上げ”にもおすすめ

突板パネル仕上げの壁と併せてトレンドのデザインが「木目天井」です。

和風・洋風、デコラティブ・シンプルモダン…突板の色合いや木目によって、様々なデザインに調和します。

近年は、ホワイトを基調とした白いインテリアに、木目のアクセントウォールや天井を取り入れる事例は珍しくありません。

ただし、天井も内装制限の対象となるため、壁と同様に材料選定の際に注意が必要です。

▶︎おすすめコラム：トレンドの“木目天井”。板材・クロス・シートの特徴やメリット・デメリットについて

高品質な“恩加島木材”の突板パネル材

恩加島木材は、国内外から良質でレパートリー豊富な突板を仕入れ、高品質な突板化粧板を製造する建材メーカーです。

不燃・難燃認定取得済み品や、木材腐朽菌・カビ菌の繁殖を大幅に抑えられるUV塗装品がございますので、住宅・非住宅問わず幅広い建築物へご採用いただけます。

恩加島木材が自信を持って提供する「突板化粧板の強み」は以下の点です。

• 無垢材と同様の「ナチュラルな見た目と質感」に仕上がる。
• 工業製品なので「品質安定性が高い」。
• 軽量化を実現でき、「施工効率性アップ」につながる。
• 無垢材よりも温度や湿度環境変化による「変形リスクが少ない」。
• 希少性があり高価な樹種でも、「無垢材より安価」で安定して材料を入手しやすい。
• 原木1本から取れる突板面積は無垢板材よりも広いため、「同じ風合いを大量入手しやすい」。
• 特殊塗装によって「表面の耐摩耗性・耐汚性」が高く、日焼けによる変色も抑えられる。
• 「不燃・難燃材料認定取得済み」製品もあり、内装制限のある建築物にも採用可能で、対象部分と対象外部分の仕上げを揃えられる。

さらに弊社では、国産材や地域材、間伐材、成長の早い小径材を積極的に活用し、森林活性やカーボンニュートラル実現に向けた取り組みも行っています。

▶︎おすすめコラム：突板・挽板・無垢材それぞれの違いとは？どれがおすすめ？特性から選び方まで徹底解説

▶︎おすすめコラム：
突板製品はこうして生まれる。森から現場までのプロセスは？生産工程や恩加島木材の強みを紹介

まとめ

突板パネル仕上げの壁には、デザイン面やコスト面、耐久性、快適性においてメリットがいくつもあります。

ただし、設計デザインの際には、デメリットや関連法規、材料選定のポイントを押さえておきましょう。

恩加島木材では、人の生活環境と地球環境の両方に配慮した高品質な突板化粧板を製造しております。

「思い通りのデザインを実現したい」「環境に配慮した建物にしたい」という方は、レパートリー豊富な恩加島木材の突板製品をご検討ください。