内装制限に建具は含まれる?建築基準法・消防法の違いを設計者向けに解説

「内装制限」は、建築基準法と消防法では対象範囲が異なるため、「建具は対象なのか」「家具や什器はどう扱われるのか」と判断に迷う設計者は少なくありません。
内装制限は建築設計において重要な法規の1つであり、内装材の選定に大きく影響します。
特に、内装木質化を検討する場合、「どこに木材や木質建材を使えるか」は、多くの設計者が疑問に感じるポイントです。
そこで本記事では、建築基準法・消防法における「内装制限」の概要と、対象範囲、建具・建具枠に関する防火規定について実務的に詳しく解説します。
内装制限の対象範囲における木材の使用可否など「よくある質問」も紹介しますので、ぜひ設計の参考にしてください。
このコラムで分かること
- 建築基準法・消防法で定める「内装制限」のルールは、対象となる建物や範囲、使用できる建築材料、緩和措置の内容が異なります。
- 建具と建具枠は建築基準法の内装制限では原則、対象外であるのに対して、消防法の内装制限では表面積によって対象となる可能性がある点です。
- 建築基準法では防火区画のルールによって建具を特定防火設備にしなくてはいけないケースがあります。
Contents
「内装制限」とは|建築基準法・消防法の基本ルール

内装制限とは、建築基準法と消防法で定める内装仕上げ材(一部、下地材)を対象とした防火規定で、目的とルールの内容が異なります。
| 比較項目 | 建築基準法 | 消防法 |
|---|---|---|
| 制度の目的 | 建物の内装仕上げ材※に燃えにくい素材を使用することで、建物利用者の安全な避難経路を確保する ※一部、下地材を含む | 火災発生と出火時の初期拡大を防ぎ、消火活動を円滑に行えるようにする(国民の生命・身体・財産を火災から守る) |
| 制限の対象建築物 | ・一定規模以上の特殊建築物 ・一定規模以上のその他の建築物 ・火気使用室 ・無窓居室 ・11階以上の防火区画 ・地下街 | ・防火対象物に指定されたもののうち消防法第8条の3(および消防法施行令第4条の3)で定める建築物(高さ31mを超える建築物、特殊建築物、地下街など) |
| 制限の対象部位 | ・居室および通路(廊下・階段)の天井と壁における内装仕上げ材 | ・建築基準法第2条第4号で定義する「居室」における室内に面する部分のすべて※の内装仕上げ材(防炎対象物品) |
| 制限の対象部位に用いられる建材 | 防火材料※ (不燃・準不燃・難燃材料) | 防火材料(不燃・準不燃・難燃材料)もしくは防炎材料※ ※絨毯などの敷物やカーテン、暗幕、布製ブラインド、舞台の大道具、工事用シートなども含む |
| 所管省庁 | 国土交通省 | 総務省消防庁 |
▶︎建築基準法で定める内装制限の詳細は「内装制限とは?対象の建築物・部位と緩和措置、不燃材料の基準、注意点を設計者向けに解説」をご覧ください。
▶︎消防法で定める内装制限の詳細は「消防法の内装制限|条文・概略・倍読みなどの緩和措置から建築基準法の違いまで解説」をご覧ください。
上記の他に、自治体の条例によって独自のルールを設けているところもあるため、詳細は管轄の建築主事もしくは指定確認検査機関にご確認ください。
内装制限のルールを理解する上で重要なキーワードとなるのが、「防火材料」と「防炎材料」です。
| 種類 | 性能 |
|---|---|
| 防火材料のうちの「不燃材料」 | 不燃性能※を、加熱開始後20分以上維持できる建築材料 |
| 防火材料のうちの「準不燃材料」 | 不燃性能※を、加熱開始後10分以上維持できる建築材料 |
| 防火材料のうちの「難燃材料」 | 不燃性能※を、加熱開始後5分以上維持できる建築材料 |
| 防炎材料 | 防炎性能※をもつ建築材料 |
※不燃性能:建築基準法施行令第108条の2で定める「燃焼しない・防火上有害な変形、溶融、き裂その他の損傷を生じない・避難上有害な煙又はガスを発生しない」性能
※防炎性能:消防法第8条の3および消防法施行令第4条の3で定める「残炎時間、残じん時間、炭化面積など、炎が接した際に燃え広がりにくい」具体的な数値基準を満たす性能
上記から分かるとおり、防火材料の不燃性能は「不燃材料>準不燃材料>難燃材料」の順で高く、防炎材料とは性質がまったく異なります。
▶︎おすすめコラム:内装制限の範囲はどこまで?対象となる部分・ならない部分を徹底解説
「内装制限」の対象範囲はどこか|天井・壁・床・建具・家具(什器)の取り扱いと緩和措置

内装制限のルールでは、建築基準法と消防法でそれぞれ詳細な対象の範囲を定めているため、注意が必要です。
建築基準法
建築基準法の内装制限では、対象建築物の居室・通路に該当する空間で、天井と壁の仕上げ材(一部、下地材も)に防火材料の使用が義務付けられます。
ただし、この範囲でも対象になる部分と対象にならない部分があるので注意しましょう。
| 内装制限の対象になる部分 | ・格子天井など、天井の一部を構成する木材(天井・壁の見付け面積1/10を超える場合) ・鴨居、柱、梁などの木材が露出する部分(天井・壁の見付け面積1/10を超える場合) |
| 内装制限の対象にならない部分 | ・人が出入りしない収納スペースの内部 ・ユニットバス(システムバス)の内部 ・床面からの高さ1.2m以内の壁面(一部例外があるため要注意) ・巾木、廻り縁、窓台、窓枠などの造作部材 ・天井や壁に装飾用として取り付けた少量の木材や照明カバー(天井・壁の見付け面積1/10以下)→通称「1/10緩和」 ・壁や床に固定されている家具や什器 ・内装ドアやパーテーション、開閉間仕切り壁、壁面収納の扉などの建具 |
▶︎天井・壁における見付け面積の緩和措置については「内装制限における見付面積の考え方|木材仕様の1/10緩和と木質仕上げ材選びのポイント」を併せてご覧ください。
消防法
消防法の内装制限は、基本的に対象建築物の居室※における室内に面する部分の全ての内装仕上げ材が対象です。
※居室:建築基準法第2条第4号で定める「居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室」
ただし、こちらも一部例外で制限を受けない場所があります。
| 内装制限の対象になる部分 | ・建築基準法のルールでは対象外である床から1.2m以下の壁面(原則、全面が対象) ・天井まで達しない間仕切り壁やパーテーションのうち、常時同じ場所に設置されて簡単に移動できないもの ・天井まで達しない間仕切り壁やパーテーションのうち、床面から高さ2m以上で、空間を区切る用途のもの ・木材やその他の可燃材料を用いて簡単に移動や撤去できない壁面収納などの大型の家具 |
| 内装制限の対象にならない部分 | ・天井高さが床から6m以上の居室 ・自動式消火設備(スプリンクラー設備、水噴霧消火設備、泡消火設備、二酸化炭素消火設備、粉末消火設備、パッケージ型自動消火設備など)や排煙設備(排煙機・給気機・排煙風道・給気風道など)を設置している居室 ・人が出入りしない収納スペースの内部 ・ユニットバス(システムバス)の内部 ・幅30cm未満の巾木、廻り縁、窓台、窓枠など造作部材 ・天井や壁に装飾用として取り付けた少量の木材や照明カバー(天井・壁の見付け面積1/10以下) |
ちなみに、消防法では対象建築物に消防設備(消火設備・警報設備・避難設備)の設置基準も定められているため、内装制限のルールと併せて管轄消防署などに確認しましょう。
建具・建具枠・木製ドアは内装制限の対象になるのか|防火区画との関連性

建具・建具枠は、消防法上は表面積などの条件によって対象となる場合がありますが、建築基準法の内装制限では原則「対象外」です。
ただし、ホテルやマンションなどの出入り口ドアは、建築基準法における「防火区画」の制限を受けるので注意が必要です。
防火区画とは、建物の内部で火災が発生した際に、延焼したり煙が周囲に広がったりするのを防ぐために、階数・床面積・構造種別ごとに一定基準で耐火性のある壁や戸で区切る計画を指します。
防火区画は4種類に分けられます。
| 防火区画の種類 | 概要 |
|---|---|
| 面積区画 | ・「主要構造部を耐火構造とした建築物」「準耐火構造を義務付けられた建築物」などが対象 ・対象建築物の種類に応じて、500㎡・1000㎡・1500㎡の単位で防火区画しなくてはいけない |
| 高層区画 | ・「11階建て以上の建築物」「共同住宅の住戸部分」などの一部が対象 ・対象建築物の階数と室内の天井・壁の仕上げで用いる防火材料に応じて、100㎡・200㎡・500㎡の単位で防火区画しなくてはいけない |
| 竪穴区画 | ・「地階」「3階に居室がある主要構造部を準耐火構造とした建築物」などが対象 ・階段、吹き抜け、エレベーターシャフト、ダクトスペースなどとそれ以外を分けて、延焼や煙が他の階に広がらないように防火区画しなくてはいけない |
| 異種用途区画 | ・「1つの建築物に複数の異なる用途が混在し、それぞれの管理者や利用者が異なる場合」「建物の一部が建築基準法27条の別表1に該当する建築物」が対象 ・異なる用途を隔てる部分を防火区画しなくてはいけない |
これら防火区画に面する建具(扉)は、特定防火設備※(防火戸)にしなくてはいけません。
※特定防火設備:建築基準法施行令第112条第1項で定める加熱開始後60分間、加熱面以外の面に火炎を出さない性能を持つ開口部など
特定防火設備に該当する扉は、一号扉(防煙性能あり)・二号扉(防煙性能なし)・その他の扉に分けられますが、告示にはどの扉も共通して、以下のように仕様が定められています。
- 骨組を鉄製とし、両面にそれぞれ厚さが0.5mm以上の鉄板を張った防火戸
- 鉄製で鉄板の厚さが1.5mm以上の防火戸又は防火ダンパー
- 鉄骨コンクリート製又は鉄筋コンクリート製で厚さが3.5cm以上の戸
- 土蔵造で厚さが15cm以上の防火戸
(出典:国土交通省|告示・通達一覧|建設省告示第1369号「特定防火設備の構造方法を定める件」)
なお、防火区画に設ける防火戸は「内装制限」とは別の規定で求められるものであり、混同しないよう注意しましょう。
ここでポイントとなるのが、防火戸には仕上げ材の制限がないという点です。
そのため、壁や天井、家具・什器とコーディネートして、木質建材の仕上げにすることも可能です。
防火戸などに施工できる突板シートや薄い突板化粧板も選定可能です。
同じ突板で非不燃仕様もお選びいただけますので、内装仕上げ材と家具・建具をトータルコーディネートしたい方は、弊社までご相談ください。
▶︎おすすめコラム:突板不燃化粧板|特徴やメラミン化粧板・化粧ケイカル板との違いを解説
FAQ|内装制限の対象範囲やルールに関する「よくある質問」

ここでは、内装制限に関する「よくある質問」を紹介します。
Q.「内装制限」の対象範囲に木製建材や木材を採用できる?
A.内装制限の対象範囲でも、1/10緩和の措置を利用して木部の見付け面積を天井・壁の1/10以下に抑えるか、不燃木材・不燃突板化粧板など防火材料の認定を受けた材料を使えば、実現可能です。
▶︎1/10緩和の詳細は「内装制限における見付面積の考え方|木材仕様の1/10緩和と木質仕上げ材選びのポイント」をご覧ください。
不燃木材・不燃突板化粧板は、緩和措置を利用しなくても内装制限の条件を満たします。
ただし、不燃木材はコストや厚み、経年変化(白華現象※など)の観点で扱いにくいため、内装仕上げ材には、施工性が優れてサイズや厚みのレパートリーが豊富な不燃突板化粧板がおすすめです。
※白華現象:不燃木材の薬剤が空気中の湿気に引き寄せられて表面に滲み出て結晶化する現象

Q.内装制限の対象に共同住宅(マンション)は含まれないって本当?
A.共同住宅(マンション)は、専有部分に限定して200㎡(約60坪)以内であれば、内装制限の対象外になる可能性があります。
(共同住宅の内装制限は、建物全体の規模・耐火性能・階数などにより判定され、プランによっては例外もあるため、詳細は建築主事にご確認ください。)
ただし、共用部分(廊下・階段・エントランス・エレベーターホールなど)では、200㎡以内ごとに防火区画されていない範囲は、内装制限の対象となる場合が多いのでご注意ください。
また、共用部分にある地階や火気使用室、無窓居室は、もれなく内装制限の対象になります。
▶︎マンションの内装制限については「共同住宅(マンション)の内装制限とは?適用条件・対象範囲・使用できる仕上げ材をわかりやすく解説」をご覧ください。
Q.不燃突板化粧板は、内装制限の全要件をクリアできる?
A.国土交通大臣から不燃認定を受けている不燃突板化粧板は、準不燃材料・難燃材料の使用を義務付けられている部分にも対応可能です。
ただし、不燃突板化粧板を採用する際には、必ずカタログなどに書かれている認定番号を確認しましょう。
▶︎防火材料の認定番号については「建材の不燃認定とは|種類・認定番号の調べ方と実務で失敗しない材料選定、内装木質化のポイント」をご覧ください。
Q.不燃突板化粧板は建具の面材に使用できる?枠のデザインは揃えられる?
A.不燃突板化粧板は、特定防火設備だけではなく、内装ドアや収納扉、パーテーションの面材に採用でき、枠には突板シートを貼ることが可能です。
内装制限の対象ではない部分とデザインの調和を取りたい場合は、不燃・非不燃で同じ突板を使用しているメーカーを選びましょう。
【内装制限対応】恩加島木材の突板化粧板シリーズ

恩加島木材は、国内外から多種多様な突板を仕入れ、天然木の風合いを残した高品質な「突板化粧板」を製造している建材メーカーです。
突板とは、天然木を0.2〜0.5mm程度にスライスした薄板で、これをMDFや不燃パネルと貼り合わせることにより、ポリエステル化粧板やメラミン化粧板、オレフィン化粧板とは異なり、天然木の色合いや質感を表現できます。

恩加島木材が自信を持って提供する「突板化粧板の強み」は以下の点です。
- 無垢材と同様の「ナチュラルな見た目と質感に仕上がる」
- 工業製品なので、無垢材よりも「品質と寸法の安定性が高い」
- 無垢材よりも軽量化が可能で、「施工効率性アップにつながる」
- 無垢材よりも温度や湿度の環境変化による「変形リスクが少ない」
- 希少性があり高価な樹種でも、「無垢材より安価で安定して材料を入手しやすい」
- 原木1本から取れる突板面積は無垢板材よりも広いため、「同じ風合いを大量入手しやすい」
- UV塗装などの特殊塗装により「表面の耐摩耗性・耐汚性が高い」
- 通常の化粧板と同じ突板を用いた「不燃・難燃材料認定取得済み化粧板」もあり、内装制限など防火規定の対象部分と非対象部分の仕上げを揃えられる
▶︎おすすめコラム:突板製品はこうして生まれる。森から現場までのプロセスは?生産工程や恩加島木材の強みを紹介
さらに弊社では、国産材や地産材(地域材)、間伐材、成長の早い小径材を積極的に活用し、「人工突板」の開発・製造にも努めるなど、森林活性やカーボンニュートラル実現に向けた取り組みを行っています。
● 豊富な樹種・木目とUV塗装も選べる「PANESSE(パネッセ):非不燃・不燃天然木練付突板化粧板」
● 重い・割れやすい・高コスト・ビスが効かないなどの懸念点を解消した「不燃突板複合板」
● 国内初・組み立てた状態で準不燃認定を取得した「リブパネル」
● 国内初・孔を開けた状態で不燃認定を取得した「有孔ボード」
「どの化粧板を採用すべきか判断に迷っている」「案件ごとに最適な材料選定をしたい」という方は、案件ごとに最適な仕様提案も可能ですので、まずはお気軽にご相談ください。
▶︎おすすめコラム:突板化粧板のデメリットや注意点は?メーカーだから分かる解決方法を紹介
まとめ
建築基準法・消防法で定める「内装制限」のルールは、対象となる建物や範囲、使用できる建築材料、緩和措置の内容が異なります。
特に注意しなくてはいけないのが、建具と建具枠は建築基準法の内装制限では原則「対象外」であるのに対して、消防法の内装制限では表面積によって対象となる可能性がある点です。
また、建築基準法では防火区画のルールによって建具を特定防火設備にしなくてはいけないケースもあります。
防火規定を受ける建具にナチュラルな木目を取り入れたい場合は、恩加島木材工業の「突板化粧板シリーズ」をご検討ください。
恩加島木材工業は、高品質かつバリエーション豊富で国土交通大臣の不燃認定を受けている「不燃突板化粧板」を製造・販売しており、突板は国産材や地産材(地域材)をご指定いただけます。
「思い通りのデザインを実現したい」「地域に根付く建物にしたい」という方は、設計条件に合わせた最適な仕様提案も可能ですので、まずは「恩加島木材工業」までお気軽にご相談ください。


