突板化粧板の塗装とは?工場塗装品のメリットと仕上げの選び方を解説

突板化粧板の塗装とは?工場塗装品のメリットと仕上げの選び方を解説

突板化粧板を内装仕上げ材として採用する際、突板の樹種や木目だけでなく、表面の塗装仕上げも重要な選定要素です。

同じ突板でも、クリア塗装や着色塗装、塗膜の質感によって、色合いや光沢、木目の見え方、使用時のメンテナンス性などが変わります。

また、突板化粧板の塗装は、工場で仕上げる方法と現場で塗装する方法があり、仕上がりの均一性や施工工程、現場環境への対応などに違いがある点には注意が必要です。

この記事では、突板塗装の基本と主な仕上げの種類、工場塗装品を採用するメリット、設計担当者が確認したいポイントを解説します。

ホルムアルデヒド放散量規制との関連性や、メーカーと発注前の打ち合わせをスムーズに進めるポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

突板化粧板の塗装とは|仕上げの種類と木目・質感への影響

【設計実務で使える】施工部位別のおすすめ塗装仕上げ

※突板(つきいた):丸太を、厚さ0.2〜0.5mm程度のシート状にスライスした素材で、単体では建材として使用できない

▶︎関連コラム:突板化粧板とは?無垢材やメラミン・オレフィンとの違い、メリット・デメリットを解説

突板化粧板における塗装の役割|木目を活かしながら表面を保護する

突板化粧板における塗装の主な役割は、以下のとおりです。

  • 塗料を使い分けることにより、光沢(ツヤ)・色調を変えられる
  • 塗膜によって、表面を摩耗・汚れなどから保護できる
  • 抗菌性能・抗ウイルス性能などを追加できる

突板化粧板に採用される塗料の種類|造膜系・浸透系、クリア・着色・UV塗装の違い

突板化粧板には、造膜系塗料・浸透系塗料のどちらも施工でき、クリア・着色・UV塗装など、多様な方法と組み合わせられます。

塗料・塗装方法の種類特徴
造膜系塗料揮発硬化・乾燥硬化により、塗装した物体の表面に塗膜が形成されるタイプの塗料

[例:ウレタン塗料・アクリル塗料・合成樹脂塗料・漆など]
浸透系塗料塗装した物体の内部に塗料が浸透し、表面に塗膜が形成されないタイプの塗料

[例:木材保護着色塗料・オイル系塗料・柿渋など]
クリア塗装造膜系・浸透系のどちらもあり、木肌の色をそのまま残し、クリア仕上げにする塗装方法(ただし、淡い色の樹種は、濡れ色※に仕上がる場合も)
着色塗装造膜系・浸透系のどちらもあり、木肌の色をデザインに合わせて変更できる塗装方法(造膜系の場合は、木目を隠す仕上げや、半透明で木目を残す仕上げを選べる)
UV塗装造膜系塗料の一種で、紫外線によって硬化する特殊塗料を用いるため、ウレタン塗料などと比べて、短時間で厚い塗膜を形成できる

→表面保護効果が高い

※濡れ色:水で濡れたように色が濃くなる現象

突板化粧板には、これら多様な塗料を使用できるのに対して、メラミン化粧板やオレフィン化粧板、ポリエステル化粧板など、印刷紙を用いた化粧板は、塗装をうまくできないものもあります。

▶︎関連コラム:化粧合板は塗装できる?塗料の種類、工場・現場の違い、施工部位別のおすすめ塗装仕上げを徹底解説

造膜系塗料におけるオープン塗装・クローズド塗装の違い

突板化粧板など木質系建材の場合、オープン塗装・クローズド塗装によっても、表面の質感が大きく変わります。

塗装方法の種類特徴
オープン塗装
(オープンポアー仕上げ・目弾き仕上げ)
木材の表面に現れる導管(どうかん)の凹凸を塗料で埋めず、薄い塗膜で仕上げる塗装方法

→天然木に近い質感や手触りが残る
クローズド塗装
(クローズドポアー仕上げ・目潰し仕上げ)
木材の表面に現れる導管(どうかん)の凹凸を塗料で完全に埋める塗装方法(ウレタン塗装など)

→天然木の質感や手触りは失われるが、ガラスのような滑らかな仕上がりにより、高級感を加えられる
木材におけるオープン塗装・クローズド塗装の違い

オープン塗装とクローズド塗装のどちらで仕上げるかにより、手触りだけでなく、光の反射具合も変わるため、仕様選定の際には、実物のサンプルを実際の施工環境に近い場所で確認しましょう。

▶︎関連コラム:木目を活かす木材の表面仕上げとは?塗装や加工の種類を紹介

▶︎関連コラム:突板化粧板のデメリットや注意点は?メーカーだから分かる解決方法を紹介

突板化粧板に工場塗装を採用するメリット|品質・工程・意匠の観点から解説

突板化粧板に工場塗装を採用するメリット|品質・工程・意匠の観点から解説

施工範囲が広い場合や、品質の安定性を重視する場合は、「工場塗装」の方法がおすすめです。

突板化粧板を工場塗装する主なメリットとして、以下の点が挙げられます。

塗装環境を管理しやすい(仕上がりの品質を安定させやすい)

工場内の作業は、現場での作業と比べて、天候や季節の影響を受けにくく、塗料の性能を最大限に発揮できる条件で施工できます。

また、塗装面積が広い場合も、工場の機械設備によって、材料をムラなく均一に仕上げることが可能です。

それに対して現場塗装は、高い技術を持つ作業者でも、広範囲を同じ品質で仕上げることが難しいケースは珍しくありません。

現場での作業工程が減り、施工計画・予算計画を立てやすくなる

温度・湿度などの影響による作業の遅延を防げるため、工程・予算を予定通りに進めやすいのです。

また、既存建物の改修・リノベーション現場や、テナント工事などでは、塗装のための広い作業スペースを確保することが難しい場合もあり、その観点から工場塗装の方法が選ばれるケースは少なくありません。

現場では扱いづらい塗料・塗装方法を採用できる

現場で扱いづらい主な塗料は、以下のとおりです。

  • UV硬化型の塗料(UV塗装)
    • 広い面積の化粧板に塗装する場合は、大掛かりな紫外線照射設備が必要で、現場作業は難しい
    • 現場で使用できるタイプもあるが、室内でも照明光や差し込む太陽光によって硬化が始まるため、扱いにくい
  • 有毒性のある塗料
    • 防腐剤・防虫剤を含む塗料は、取り扱いが厳密に規定されているため、現場での取り扱いが難しい
    • 木材の内部まで塗料を浸透させるためには、大掛かりな加圧設備が必要になる場合がある
  • 不燃塗装
    • 不燃材料として国土交通大臣の個別認定を受けている塗料は、工場塗装でないと認定が無効化する場合がある

上記のように現場塗装が難しい塗料を採用する場合は、工場で塗装された突板化粧板を採用する方法が基本となります。

▶︎関連コラム:【木材塗装】現場・工場の違い|メリット・デメリット、方法を決めるポイントを解説

工場塗装された突板化粧板を採用する際の注意点

工場塗装された突板化粧板を採用する際の注意点

工場で塗装された突板化粧板は、現場で塗装する場合と比べて品質安定性が高い点や塗料の選択肢が増える点がメリットである一方、材料選定の際に知っておいていただきたいデメリットや注意点があります。

  • 発注前に、塗料・仕上げ色などの詳細な検討が必要
    • 特注色・特注仕様の場合は、メーカーとの打ち合わせ・試作品の製作・色合わせ・サンプルによる現場確認などの期間が生じる
  • 発注後の仕様変更が難しい
    • 再製作による納期の遅延や、追加費用が発生する可能性がある
  • 搬入時・施工時などに傷が付くと、タッチアップなどの補修が必要になる
    • 塗料によってはタッチアップ跡が目立つ可能性があるため、納品時の梱包方法や、化粧板表面のフィルム保護について、事前に確認する
  • 現場でカット加工する場合は、木口にタッチアップ塗装が必要になる
    • 設計の段階でサイズが決まっている場合は、工場で正寸カットしてもらう
    • 化粧板と合わせて、タッチアップ用塗料も購入できるか確認する
  • 同じ樹種の突板でも、仕上がりに差が生じる可能性がある
    • 突板の含水率などによって、同じ塗料・塗装方法でも品質が異なる可能性があるため、機械設備による塗装でも、熟練した作業者による設定調整が必要になる
    • 特注品は、木材の自然な色差や木目の違いを前提に、メーカーと仕上がりの許容範囲を協議しておく

工場で塗装された突板化粧板を採用する場合は、メリットだけではなく、これらの注意点を把握し、発注前からメーカーと綿密な打ち合わせを行いましょう。


『恩加島木材工業』の突板塗装技術|自社工場で仕上げる木質内装材

『恩加島木材工業』の突板塗装技術|自社工場で仕上げる木質内装材

『恩加島木材工業』は、創業初期から工場に塗装設備を導入し、ウレタンクリア塗装から着色塗装、UV塗装・抗ウイルス塗装などの特殊塗装まで、専門の職人が対応しております。

製品の用途や設計プラン、ご予算に応じて、以下の項目に関してご提案が可能です。

  • 塗料・塗装方法の選定(クリア・着色・光沢・質感など)
  • 樹種・木目の選定
  • 色合わせ・調色
  • 実物サンプルの製作
  • サイズ
  • 各種加工(割付に合わせた正寸カット・木口貼り加工・うづくり加工・本実加工など)
  • 納期・梱包方法

仕様の詳細が決まっていない段階からでも対応可能ですので、お気軽にご相談ください。

▶︎関連コラム:突板製品はこうして生まれる。森から現場までのプロセスは?生産工程や恩加島木材工業の強みを紹介

ポイント
『恩加島木材工業』は、建材メーカーとして、多様な突板製品をご提案しております。

● 豊富な樹種・木目・塗料を選べて、不燃材料認定を取得している「PANESSE(パネッセ):天然木練付突板化粧板」

● 0.5mm厚突板による立体感と抗菌UV塗装を付与した日本初上陸のプロダクト「KDパネル:突板化粧合板」

● 重い・割れやすい・高コスト・ビスが効かないなどの懸念点を解消した「不燃突板複合板」

● 国内初・組み立てた状態で準不燃認定を取得した「リブパネル」

● 国内初・孔を開けた状態で不燃認定を取得した「有孔ボード」



FAQ|突板化粧板の塗装に関する「よくある質問」

FAQ|突板化粧板の塗装に関する「よくある質問」

ここでは、突板化粧板の塗装に関する「よくある質問」を紹介します。

Q.工場で塗装された突板化粧板は、ホルムアルデヒド放散量の規制を受けないって本当?

工場で塗装された突板化粧板は、合板・MDFや接着剤でのみ規制を受け、塗料に関しての基準は適用されません。

▶︎関連コラム:F☆☆☆☆(エフフォースター)の基準とは? 安心・快適な空間づくりに必要な訳をずばり解説

▶︎関連コラム:ホルムアルデヒドは何に含まれる?健康的な空間づくりに欠かせない“内装材選び”のポイント

Q.突板化粧板を現場塗装・DIY塗装する時の手順と注意点は?

突板化粧板の表面材である突板は、0.2〜0.5mmと薄いため、研磨しすぎて基材が見えたり塗料の吸い込みムラが生じたりする可能性があるため、注意しましょう。

Q.突板化粧板の塗装色は、設計図や色見本だけで決めてもよい?

また、照明の当たり具合によっても雰囲気が異なるため、施工現場に近い環境下でサンプルを確認すると、実際の仕上がりに近い色合いを確認できます。

Q.工場塗装した突板化粧板は、現場で切断・加工できる?

壁仕上げに使う場合など、設計の段階でパネルの割付が決まっている場合は、メーカーにそのサイズで正寸カットを依頼すると、現場作業を減らすことが可能です。

Q.突板化粧板(工場塗装品)の見積もりを依頼する際には、どのような情報が必要?

製品に関する項目・用途や施工部位
・樹種、木目、色味などの要望
・表面、裏面、木口の仕様
・希望サイズ(幅、長さ、厚み)
・基材の種類と、不燃性能の必要性
・色差や白太などの許容範囲
・必要数量、発注予定量
・予算
加工に関する項目・塗装の有無と塗料の種類
・細部の加工有無
・突板の貼り方(木目柄の種類)
納品に関する項目・希望納期と納品先
・実物サンプルの製作希望
・分納の有無
・梱包方法

まとめ

突板化粧板と組み合わせられる塗料にはいくつかの種類があり、それぞれ特徴が異なるため、設計プランに応じた仕様選定が必要です。

突板化粧板の塗装は、現場で作業することもできますが、塗装範囲が広い場合は、品質安定性などを考慮すると、工場で塗装されたものがおすすめです。

工場で塗装された突板化粧板は、現場では扱いにくい塗料を選べるほか、施工計画や予算計画を立てやすい点がメリットです。

ただし、メーカーによって取り扱う塗料が制限される場合もありますので、事前に要望をメーカーに伝え、色合わせなどについて打ち合わせをしましょう。

恩加島木材工業は、高品質でバリエーション豊富な「突板化粧板製品」を製造・提供しており、国土交通大臣の不燃認定を受けているものや国産材・地域材を使用した製品もお選びいただけます。

「思い通りのデザインを実現したい」「地域に根付く建物にしたい」という方は、設計条件に合わせた仕様をご提案できますので、まずは「恩加島木材工業」までお気軽にご相談ください。