MDF材のデメリットとは?水・湿気への弱さ、加工時の注意点、材料選びのポイントを設計者向けに解説

MDF材のデメリットとは?水・湿気への弱さ、加工時の注意点、材料選びのポイントを設計者向けに解説

MDF材は、表面が平滑で加工しやすく、家具や内装材などに広く使われる木質材料です。

一方で、水・湿気に弱くビスの保持力に注意が必要などのデメリットもあります。

MDF材を採用する際は、こうした弱点を理解し、使用環境や求める性能に合った材料を選ぶことが重要です。

本記事では、MDF材のデメリットや使用時の注意点、パーティクルボード・合板との違い、材料選定のポイントを解説します。

ホルムアルデヒド放散量規制や内装制限との関連性、規格サイズなどについても紹介しますので、建築設計の参考にしてください。

このコラムで分かること

  • MDF材は、表面が滑らかで加工しやすく、無垢材や合板よりも温度や湿度の変化による変形リスクが低い点がメリットです。
  • MDF材を設計に採用する際には、水・湿気に弱い点やビス保持力に関する注意点など、デメリットを把握しておく必要があります。
  • 化粧MDF材を内装材として採用する場合、設計のプランによっては、ホルムアルデヒド放散等級(Fフォースター等級)や防火材料としての認定内容を確認する必要があります。

MDF材とは|特徴と種類・メリット

MDF材とは|特徴と種類・メリット

同じく木質パネル材としてパーティクルボード(木片板)もありますが、こちらはMDF材よりも素材である木材チップが粗いという違いがあります。

MDF材は木質素材を原料とした建築材料ですが、品質はJAS(日本農林規格)ではなく、JIS(日本産業規格)のJIS A 5905で定められており、以下の種類に分類されます。

  • 普通MDF材:家具や造作部材に用いられる
    • 素地MDF材:無研磨板(両面が素地のまま)と研磨板(両面が素地のままだが、研磨済み)に分かれる
    • 化粧MDF材:単板仕上げ(素地MDF材の両面もしくは片面に、化粧単板を接着したもの)、プラスチック仕上げ(素地MDF材の両面もしくは片面に、合成樹脂系シート・化粧フィルム・合成樹脂含浸紙などを接着したもの)、塗装仕上げ(素地MDF材の両面もしくは片面に、工場にて塗装処理したもの)に分かれる
  • 構造用MDF材:構造材に用いられ、無研磨板(両面が素地のまま)と研磨板(両面が素地のままだが、研磨済み)に分かれる

MDF材は建築現場において幅広い建物・部位に採用されており、主に以下の点がメリットです。

  • 無垢材や合板と比べて、温度や湿度の変化による変形(反り・伸縮など)が生じにくく、寸法安定性が高い
  • 表面が比較的滑らかで、加工しやすい(無研磨板でも無垢材・合板より表面が平滑)
  • 原料に廃材・端材を活用できる(リサイクル建材の一種)

▶︎関連コラム:【建築設計向け】MDF材とは?特徴・用途・合板との違いと採用ポイントを実務レベルで徹底解説

MDF材のデメリットとは|設計者が知っておきたい5つの弱点

MDF材のデメリットとは|設計者が知っておきたい5つの弱点

MDF材には、寸法安定性・加工性・環境配慮性というメリットがある一方で、採用する際に注意すべきデメリットがあります。

水・湿気に弱く、吸水すると膨張・変形しやすい

そのため、水が直接かかるキッチンなどの水回りや、湿度の高い給湯室などに採用する場合は注意が必要です。

木口が見えない納まりでも、金具などを取り付けて素地が現れている部分や表面材が剥離・摩耗している部分から湿気を吸収し、カビが繁殖するケースも考えられます。

耐水MDF材には、撥水添加剤を含む接着剤が使用されており、吸水による影響を軽減することが可能です。

ビスの保持力や局所的な強度に注意が必要

木質繊維の密度・厚みによって、ビスの保持力が異なり、扉のヒンジ取り付け部など頻繁に可動する部分は、繰り返し負荷がかかるため、次第に部品が緩む場合があります。

また、MDF材の木口(側面)方向からビスを打つと、繊維が崩れてビスがすぐに抜け落ちるリスクも想定しておきましょう。

MDF材のビス保持力を高める主な方法は、以下のとおりです。

  • ビスを打ち込む位置に下穴を開けておく(ビスの直径60〜70%程度の下穴を開けると、ビスを打ち込んでも木質繊維が裂けにくい)
  • MDF材やパーティクルボード専用のビスを使う(ネジ山が大きく、引き抜き強度が高い)
  • ビスと接着剤を併用する(ビス穴にあらかじめ接着剤を入れてからビスを打ち込むと、硬化後にビス保持力が高まる)
  • ネジインサート※を使用する(ビスよりも引き抜き強度が高い)

※ネジインサート:ステンレスなどで作られている部材で、円筒形で内側がネジ山になっており、ボルトを差し込むと部材同士をしっかりと接続できる

ただし、これらの方法の効果は、現場での施工品質に左右され、明確な試験データはないため、設計段階ではMDF材の木質繊維密度や強度データを確認し、材料を選ぶことが重要です。

表面仕上げ・木口処理が必要になる

MDF材は、素地のままで仕上げ材として使用すると、意匠性・耐久性を確保できないため、化粧材や塗装による表面処理が必要です。

また、木口は吸水性が高く強度が低いため、露出しない納まりを検討したり、木口テープで処理したりする必要があります。

しかし、MDF材は木質繊維で構成されており、塗料を吸い込みやすいため、現場塗装の場合は徹底した下地処理(吸い込みどめ)が欠かせず、均一に仕上げられない可能性があるためご注意ください。

そのため、仕上げ材としてMDF材を採用する場合は、以下いずれかの「化粧MDF材」を使うことが一般的です。

  • 単板仕上げ化粧MDF材:挽板※1や突板※2などの木質建材を表面に接着したもの
  • プラスチック仕上げ化粧MDF材:合成樹脂系シート・化粧フィルム・合成樹脂含浸紙などを接着したもの(メラミン化粧板・オレフィン化粧板・ポリエステル化粧板など)
  • 塗装仕上げ化粧MDF材:工場にて表面を塗装処理したもの

※1 挽板(ひきいた):丸太を厚さ2〜3mm程度の薄い板状に切り出した素材
※2 突板(つきいた):丸太を厚さ0.2〜0.5mm程度の薄いシート状に切り出した素材

この中では、天然木の木目や質感を活かしたい場合に「単板仕上げ化粧MDF材」、木目以外の色柄を表現したい場合に「プラスチック仕上げ化粧MDF材」が多く採用されます。

木口処理用の純正木口テープを用意しているメーカーもあるため、材料選定の際に確認しましょう。

▶︎関連コラム:突板化粧板とは?無垢材やメラミン・オレフィンとの違い、メリット・デメリットを解説

傷・膨張の程度によっては、補修・交換が必要になる

化粧MDF材の表面に傷がついた場合、タッチアップペンなどで部分補修しても、補修跡を完全に目立たなくすることは難しく、表面材が薄いタイプは研磨による補修はできません。

湿気によって変形した場合、クランプによって反りを多少矯正することはできても、根本的な解決にはならず、再び元に戻ってしまう可能性があります。

表面材が剥がれたり角部分が欠けたりした場合、脆くなっている部分を取り除き、接着剤やパテで部分補修する方法が用いられますが、損傷が大きいと平滑に仕上げるのは困難です。

補修が難しい場合はMDF材ごとの交換を要するため、部分交換が容易な納まりにし、施工時に同じ仕上げ材の材料を保管しておくなど対策を講じておきましょう。

密度・重量・使用環境・製品仕様に制約がある

そのため、広い面積への施工や高所への施工では、下地への負荷や材料の搬出方法を考慮する必要があります。

また、前述した通り、湿度の高い場所では耐水MDF材を採用する必要があります。

このように、MDF材を採用する際には、用途を踏まえ、仕様を総合的に判断することが重要です。

MDF材のデメリットを回避するには|使用時の注意点と材料の選び方

MDF材のデメリットを回避するには|使用時の注意点と材料の選び方

MDF材の弱点を踏まえて設計段階で適切なMDF材を選定するためには、以下のポイントを確認する必要があります。

使用場所に応じて耐水性・強度・仕上げ仕様を確認する

耐水タイプでも、過度な水濡れには対応できない可能性があるため、必ずメーカーの施工要領書などを確認しましょう。

MDF材を構造材として使用する場合だけではなく、家具・内装ドアなどの材料として使用する場合も、強度の確認が欠かせません。

MDF材は製品ごとに木質繊維の密度と強度が異なるため、施工部位に合わせた材料選定がポイントです。

JIS A 5905(繊維板)では、以下の項目について区分と品質表記が定められています。

  • 密度(g/c㎥):普通MDF材は0.35以上、構造用MDF材は0.70以上0.85未満
  • 含水率(%):5以上13以下
  • 曲げ強さ(N/㎟):普通MDF材は5.0〜30.0以上、構造用MDF材は25.0もしくは30.0以上
  • 湿潤時曲げ強さ(N/㎟):普通MDF材は7.5〜15.0以上、構造用MDF材は12.5もしくは15.0以上
  • 剥離強さ(N/㎟):普通MDF材は0.2〜0.5以上、構造用MDF材は0.4もしくは0.5以上
  • 木ネジ保持力※(N):普通MDF材は200〜500以上、構造用MDF材は規定なし

※上記の木ネジ保持力は、厚さ15mmのMDF材にしか適用されません。

代替品も検討する(MDF材・パーティクルボード・合板の違いを理解する)

化粧仕上げのMDF材・合板・パーティクルボードにおける主な違いは、以下のとおりです。

材料の種類特徴
MDF材
(細かい木質繊維を固めた材料)
強度:△
(表裏面の近くと中心層で違いがある)

変形:△
(合板より、湿度や温度の変化による変形が起こりにくい)

ビス保持力:△
(施工時の工夫が必要)

耐水性・耐湿性:△
(耐水タイプは高いが、一般タイプは低い)

重量:△
(強度やビス保持力を確保するためには一定の厚さで、重くなりがち)

価格:△
(タイプによって異なる)
パーティクルボード
(粗い木質繊維を固めた材料)
強度:△
(側面からの衝撃や点荷重に弱い)

変形:△
(合板より、湿度や温度の変化による変形が起こりにくい)

ビス保持力:△
(施工時の工夫が必要)

耐水性・耐湿性:△
(耐水タイプは高いが、一般タイプは低い)

重量:△
(強度やビス保持力を確保するためには一定の厚さで、重くなりがち)

価格:◯
(他の材料と比べて、相対的に安価)
合板
(薄い単板を交互に積層した材料)
強度:◯
(層ごとの違いが少なく、均一)

変形:△
(湿度や温度の変化によって変形しやすい)

ビス保持力:◯
(MDF材やパーティクルボードより高い)

耐水性・耐湿性:△
(耐水タイプは高いが、一般タイプは低く、樹種による違いもある)

重量:◯
(MDF材やパーティクルボードより軽い)

価格:△
(MDF材やパーティクルボードより、相対的に高価)

これらの違いを把握し、現場ごとに施工部位・必要な厚さ(薄さ)などを踏まえて仕上げ材を選ぶ必要があります。

内装材は「ホルムアルデヒド放散等級」を確認する

簡単に確認するには、「Fフォースター等級」の表示をチェックする方法があり、F☆☆☆☆が最高グレードで最もホルムアルデヒド放散量が少ないことを意味します。

等級表示がないものは内装材として使用できず、F☆☆・F☆☆☆は使用面積に制限があるのでご注意ください。

なお、ホルムアルデヒド放散等級の対象には、MDF材などを二次加工した家具・キッチン・キャビネットなどの製品も含まれます。

▶︎関連コラム:F☆☆☆☆(エフフォースター)の基準とは? 安心・快適な空間づくりに必要な訳をずばり解説

内装制限の対象範囲は「防火材料の認定内容」を確認する

▶︎内装制限の詳細は「内装制限の範囲はどこまで?対象となる部分・ならない部分を徹底解説」をご覧ください。

MDF材は、告示で定める不燃材料・準不燃材料・難燃材料には含まれないため、個別の製品で国土交通大臣の認定を受けているかチェックが必要です。

▶︎防火材料の認定制度については「建材の不燃認定とは|種類・認定番号の調べ方と実務で失敗しない材料選定、内装木質化のポイント」をご覧ください。

JIS A 5905では、MDF材に「難燃2・3級」の区分がありますが、これは建築基準法で定める防火材料の認定基準とは異なるため注意しましょう。

防火材料として国土交通大臣の認定を受けている製品もありますが、そのほかに、不燃パネルを基材とし、突板などの表面材と組み合わせた不燃化粧板の選択肢もあります。

▶︎不燃化粧板の詳細は「不燃突板化粧板とは?特徴・メリット、メラミン化粧板との違い、選び方を徹底解説」をご覧ください。

表面仕上げの選択肢を確認する

MDF材を仕上げ材として採用する場合、材料選定において、デザインの選択肢も重要です。

化粧MDF材を選ぶ際には、以下の点を押さえましょう。

  • 単板仕上げ化粧MDF材(挽板貼り・突板貼り)
    • 天然木のナチュラルな木目や質感を取り入れたい場合
    • 表面に耐汚性を求める場合(ウレタン塗装・UV塗装仕上げ)
    • 家具・内装ドア・天井や壁の仕上げ材のデザインを揃えたい場合(他の基材を含めると、厚みや不燃性能の選択肢が多く、トータルデザインしやすい製品もある)
  • プラスチック仕上げ化粧MDF材(メラミン化粧板・オレフィン化粧板・ポリエステル化粧板など)
    • 石目調・メタル調や幾何学柄、単色など、木目以外のデザインにしたい場合
    • 表面に耐汚性と耐熱性の両方を求める場合(メラミン化粧板)


ポイント
『恩加島木材工業』は、1947年創業以来培ったネットワークと知識を活かし、国内外から高品質の突板を仕入れ、化粧板などに加工している建材メーカーです。

突板化粧板シリーズPANESSEは、不燃・非不燃のタイプや、化粧板・有孔ボード・リブパネル・ルーバーなど、幅広いラインアップを取り揃えております。

オイル塗装に加えて、ウレタン塗装やUV塗装など、オリジナル色も含めたご注文に対応可能です。

すべての製品で同一の突板をご指定いただくこともできますので、内装を木目でトータルコーディネートしたい方は、弊社までお気軽にご相談ください。


基材・樹種・塗装仕上げを選べる『恩加島木材工業』の突板化粧板シリーズ

基材・樹種・塗装仕上げを選べる『恩加島木材工業』の突板化粧板シリーズ

さらに、表面仕上げは、一般的な塗装方法に加えて、特殊塗装やオリジナルカラーの調色にも対応しており、すべて自社工場・自社スタッフで対応可能です。

製品の用途や設計プラン、ご予算に応じて、以下の項目について個別に提案いたしますので、お気軽にご相談ください。

  • 基材の種類(MDF材・合板・不燃パネルなど)
  • 樹種・木目の選定
  • 塗料・塗装方法の選定(クリア・着色・光沢・質感など)
  • カラーの選定(既存部分との色合わせ・オリジナルカラーの調色など)
  • 実物サンプルの製作
  • サイズ
  • 各種加工(割付に合わせた正寸カット・木口貼り加工・うづくり加工・本実加工など)
  • 納期・梱包方法

仕様の詳細が決まっていない段階からのご相談も承っております。

▶︎関連コラム:突板製品はこうして生まれる。森から現場までのプロセスは?生産工程や恩加島木材工業の強みを紹介

ポイント
『恩加島木材工業』は、建材メーカーとして、多様な突板製品をご提案しております。

● 豊富な樹種・木目・塗料を選べて、不燃材料認定を取得している「PANESSE(パネッセ):天然木練付突板化粧板」

● 0.5mm厚突板による立体感と抗菌UV塗装を付与した日本初上陸のプロダクト「KDパネル:突板化粧合板」

● 重い・割れやすい・高コスト・ビスが効かないなどの懸念点を解消した「不燃突板複合板」

● 国内初・組み立てた状態で準不燃認定を取得した「リブパネル」

● 国内初・孔を開けた状態で不燃認定を取得した「有孔ボード」



FAQ|化粧MDF材に関する「よくある質問」

FAQ|化粧MDF材に関する「よくある質問」

ここでは、化粧MDF材に関する「よくある質問」を紹介します。

Q.MDF材は屋外にも施工できる?

耐水タイプでも、雨ざらしや湿度を含む外気との長期的な接触は前提とされていないため、屋外に施工するとメーカーの製品保証を受けられない可能性があるのでご注意ください。

Q.MDF材の規格サイズ(寸法・厚さ)はどのくらい?

  • 厚み:2.5・4・5.5・7・9・12・15mm
  • 寸法:3×6・3×7・3×8・4×8

上記のほかに、割付に合わせた正寸カットや4×10※の特注も、1枚から対応可能です。

※一部の厚みのみ

Q.MDF材を採用する前にサンプルで確認すべき点や発注時に必要な情報は?

  • 製品に関する要望
    • 用途(施工部位)
    • 樹種、木目、色味、突板の貼り方など
    • 表面、裏面、木口の仕様
    • 希望サイズ(幅、長さ、厚み)
    • 基材の種類
    • 防火材料認定の必要性
    • 色差の許容範囲
  • 加工に関する要望
    • 塗装の有無と塗料の種類
    • 細部の加工有無
  • 発注に関する要望
    • 必要数量、発注予定量
    • 予算
    • 希望納期と納品先
    • 実物サンプルの製作希望
    • 納品方法(分納の有無や梱包方法など)

まとめ

MDF材は、表面が滑らかで加工しやすく、無垢材や合板よりも温度や湿度の変化による変形のリスクが低い点がメリットです。

ただし、材料を選定する際には、水・湿気に弱い点やビス保持力に関する注意点など、デメリットを把握しておく必要があります。

化粧MDF材を内装材として採用する場合、設計のプランによっては、ホルムアルデヒド放散等級(Fフォースター等級)や防火材料としての認定内容を確認することが欠かせません。

恩加島木材工業は、高品質でバリエーション豊富な「突板化粧板製品」を製造・提供しており、国土交通大臣の不燃認定を受けているものや国産材・地域材を使用した製品もお選びいただけます。

「思い通りのデザインを実現したい」「地域に根付く建物にしたい」という方は、設計条件に合わせた仕様をご提案できますので、まずは「恩加島木材工業」までお気軽にご相談ください。