〈ナラ・突板化粧合板〉特徴や木目・カラーの種類、よくあるQ&Aを解説

ナラ突板材の特徴とは

日本の広い地域に生息し、建築材料として多く活用されている「ナラ」ですが、どのような特徴があるかあまり知られていません。

そこで、今回は「ナラ」の木材としての特徴や、メリット・デメリット、その他多くの方が気になる疑問について解説します。

ウッドインテリアの材料をご検討中の方は、是非参考にしてください。

このコラムのポイント
●「ナラ材」は、高耐久な点などオーク材と似ている特徴を持ちますが、木目の風合いに差があります。

● 希少価値の高い「ナラ材」を内装に取り入れる場合には、品質安定性や施工性の高い突板化粧板がおすすめです。

● 恩加島木材は、産地にこだわった良質な突板を用いて、高品質で多彩な突板製品をご提供しています。



ナラ材のメリットやオーク材の違いは?耐久性・木目の特徴

ナラ
ナラ(板目)

一般的に「ナラ材」と呼ばれるものは、ブナ科コナラ属の落葉広葉樹を指します。

どんぐりの成る木として、見たことのある方も多いでしょう。

日本では、北海道から九州までの広い地域に分布しており、特にミズナラが一般的です。

ポイント
ミズナラは、Japanese Oak(ジャパニーズオーク)と呼ばれますが、木材においてはナラ材とオーク材は明確に区別されています。

日本産やロシア産、中国産が「ナラ材」、北米産や欧州産を「オーク材」と呼ぶのが通常です。


※オーク材については、「高品質なオーク材をインテリアに。樹種の特性・おすすめ商品を紹介」をご覧ください。

では、ナラ材の特徴について詳しく解説します。

高い耐久性

ナラ材の最も特徴的な点は、高密度・高硬度であるところです。

密度や重量の指標である気乾比重(乾燥木材の重さと同じ体積の水の重さを比較した数値)の平均値は「0.67」で、杉の「0.38」と比べると、その高さは明確です。

気乾比重の数値が大きいほど、重くて硬いことを表します。

そのため、衝撃に強くキズが付きにくく、フローリングやドアなどの内装建材に多く用いられています。

同じ種類であるオーク材も「0.72」程度なので、耐久性の面ではナラ材・オーク材に大きな違いはありません。

高い耐水性

ナラは、根で吸収した水分を運ぶ道管にチロースと呼ばれる風船状の物質が詰まっているため、細胞内に水が行き渡るまで時間がかかります。

(引用:国立研究開発法人 森林研究・整備機構|さし穂・移植木の活着と水分生理

つまり、耐水性が高いと言うことです。

この特徴は、ナラ材・オーク材どちらにも見られ、古くから船やウイスキー樽・ワイン樽の材料として使われてきています。

そのため、家具、特に水シミがつきやすいテーブルの天板やカウンターの材料に使われるケースが多いです。


変形リスクが低い

細胞内に水分が浸透しにくいため、湿度の変化にも左右されにくく、反りや歪み、伸縮などの変形リスクが比較的低いとされています。

こちらの特徴も、ナラ材・オーク材に共通しています。

ただし、水分に強い反面、油分が少ないため、極度に乾燥した環境下では、木割れが起こる可能性は否めません。

そのため、家具や内装材として使う場合は、表面保護塗装やオイル塗装が必要です。

木目と香りが特徴的

ナラ材は、全体的に淡灰白色で、柾目には特徴的な斑が現れます。

オーク材の中でもホワイトオークと呼ばれるものも、同様に淡い白褐色ですが、それよりもナラ材の方が木目が細かく繊細です。

そのため、床材や壁材、天井材や家具の材料として重宝されています。

ナラ材が放つ独特な香りも、人気のポイントです。

その香りは、お香の伽羅や白檀に例えられることもあります。

希少性が高い

日本産のナラ材は、近年、自然災害や林業衰退、大量伐採の影響から、その数が減少しています。

また、ミズナラ等が集団的に枯損する「ナラ枯れ」の発生も深刻で、林野庁を筆頭に、各地でその撲滅に向けて取り組んでいます。

変色しているのがナラ枯れの被害にあった樹木
(引用:林野庁|ナラ枯れ被害


ロシア産も希少樹木に認定されていてその流通量が厳しく制限されており、中国産は自国内での需要が増えたことで輸出量は減っています。

つまり、良質なナラ材はかなり希少価値が高いということです。

特に、北海道産のミズナラは、美しい虎斑が現れるものが多いため、高値で取引されています。

一方、オーク材は針葉樹に比べると高価ですが、広葉樹の中では比較的リーズナブルです。

ポイント
私たち“恩加島木材”では、1947年に木材工業所として創業して以来培ったネットワークを活かして、良質な北海道産ナラ材を多く取り扱っています。




ナラ材のデメリットを解決するのが「天然木突板化粧板」

突板のメリット・デメリット

耐久性や耐水性が高く美しい木目を持つナラ材は、木材の中でも人気が高い樹種です。

ただし、欠点がないと言う訳ではありません。

まず、高密度であるが故に、重くて硬いため、細かい加工が難しく、施工効率も軽くて柔らかい木と比べると劣ってしまいます。

また、高価であることから、広い面積に無垢材を取り入れるハードルは高いでしょう。

そこでおすすめなのが、「天然木突板化粧板」です。

突板化粧板とは、天然木を0.2~0.3mm程度のシート状にスライスした“突板”を合板などに接着した内装建材です。

「突板化粧板」のメリット
● 表面は天然木なので、無垢材と同様にナチュラルな見た目になる。

● 材料の軽量化が実現でき、施工効率性アップにつながる。

● 温度や湿度環境変化による変形リスクが少ない。

● ナラ材のように希少価値があり高価な材料でも、無垢材より木材量を減らせるため、安価な上に、安定して材料を入手しやすい。

● 樹木1本から取れる突板面積は、無垢材を板材にするよりも広いため、同じ風合いを大量入手しやすい。

● 特殊塗装によって、表面の耐キズ性・耐汚性を高められ、日焼けによる材料の変色も抑えられる。

● 貼り合わせる基材種類によっては、不燃・難燃認定を受けられるため、内装制限のある建築物にも採用しやすい。


無垢材の風合いを活かしながらも、コスト面・性能面のメリットをプラスした内装材こそ「突板化粧板」なのです。


木口や細かい部分にはナラ材の「天然木突板シート」を

突板シート

木口や細かい部分、曲部には、突板化粧板と同様に天然木突板を用いた「突板シート」をご採用ください。

特殊複合紙の表面に0.2mm厚さの突板を貼り合わせた総厚0.4mmの化粧シートで、板状の材料では対応しきれない部分の施工におすすめです。

もちろん、化粧板と同じ突板を用いているため、インテリアのトータルコーディネイトにも適しています。

国土交通省からの個別認定を取得済みの不燃材料であるため、内装制限のある施設にもお使いいただけます。

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ナラ突板化粧板のラインナップ|板目・柾目・杢目・ラスティック・集成

突板練付化粧板

恩加島木材では、高品質なだけではなく、様々な建物や納まり、デザインを実現できる多彩な商品を取り揃えています。

ナラ材を含めた常時40種以上の樹種を取り揃え、さらにそれぞれ複数の木目模様をご用意していますので、設計デザインのイメージに合わせてお選びください。

では、弊社製品の特徴と合わせて、ナラ材の木目ラインナップをご紹介します。

PANESSE(パネッセ)

こちらは、天然木練付化粧板のシリーズで、基材によって「不燃ボード」「難燃ボード」「MDF化粧合板」「突板シート」「有孔パネル」「テクスチャーボード」と多彩なラインナップをご用意しています。

樹種も40種類以上から選定可能で、産出地を限定した地産材のご注文も承っております。

ナラ材は、「柾目」「板目」「ロータリー目」に加え、素朴でナチュラルな印象の「ラスティック柄」と、「集成柄」の5種類からお選びいただけますので、ぜひご採用ください。

▶︎「PANESSE」の詳細はこちらから


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KDパネル

K6129AN
K6129AN

KDパネルは、台湾・KEDING社製の天然木化粧合板で、当社が自信をもって展開する日本初上陸のプロダクトです。

0.5mmの厚単板で木目の立体感を、特殊UV塗装で耐久性と抗菌性能を付与した今までに無い化粧合板。

天然木本来の質感と、メラミン化粧板のような強度・施工性を兼ね備えています。

KDパネルには、ナラ材ではなくオーク材が用いられており、カラーの種類が豊富な点が特徴です。

以下10種類からお選びいただけます。

▶︎「KDパネル」の詳細はこちらから


リブパネル・ルーバー

リブパネル・ルーバー

最近トレンドのリブパネルやルーバーも、PANESSEの化粧板と同じ樹種で製造しております。

リブパネルは、もちろん天然木練付化粧板に貼り付けた仕様で、あらかじめ工場でパネル組みをしている高精度・省施工型の製品です。

ルーバーも同様で、高意匠ルーバーとして多くの現場でご好評いただいています。

基材は木芯・不燃(ダイライト、エースライトなど)からアルミ押出成形品(※ルーバーのみ)まで対応しておりますので、内装制限のある建物へもご採用いただけますので、ぜひご検討ください。

▶︎「リブパネル・ルーバー」の詳細はこちらから

▶︎「リブパネル」の規格図ダウンロードはこちらから


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一口メモ
世界的に著名な建築家・隈研吾氏の設計による「和歌山県・有和中学校新校舎」をはじめ、様々な建築物へ当社製品が採用されています。
詳しくは、納入実績・施工実績・最新トピックスをご覧ください。




ナラ突板化粧板に関するよくあるQ&A|厚さ・経年変化・お手入れ方法

KDパネル(K6129AN)
KDパネル(K6129AN)

ナラ材は意匠性が高く内装材としても人気の樹種です。

ただし、材料の種類や施工後の取り扱い方などを理解しておかないと、後で思わぬトラブルに発展しかねません。

そこで、多くの方が気になる点についてお答えします。

ナラ突板化粧板の厚さはどのくらい?

恩加島木材のナラ突板化粧板は、基材の種類によって厚さが異なります。

【基材の種類】厚さ(単位:mm)
不燃材6/9/12/15/18/21/24 mm
難燃材15 mm
MDF2.5/4/5.5/6/7/9/12/15/18/21/24/30 mm
合板2.5/4/5.5/6/9/12/15/18/21/24/30 mm
シート材0.4〜1.2 mm
※商品ラインナップによって厚さが異なりますので、詳しくはお問い合わせください。


現場の納まりや仕様に合わせて、適切なものをお選びください。


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ナラ突板化粧板の経年変化は?

ナラ材は、時間が経つと黄色味が増して、白褐色から「飴色」「黄土色」へと変色します。

この経年変化も、ナラ材の魅力と言えるでしょう。

ただし、部分的に直射日光が当たると、場所によって色が違ってしまうため注意が必要です。

恩加島木材では、UV塗装や日焼け防止塗装などの特殊塗装も全て自社工場で行なっているため、高品質な突板化粧板をご提供できます。

ザ・ファインタワー大手前」では、実際に日焼け防止塗装を施した材料をご採用いただきました。


ナラ突板化粧板はどうやってお手入れするの?

ナラ突板化粧板は、無塗装の状態では無垢材同様に水拭きできません。

日常的な軽い汚れは、硬く絞った布巾で拭き取る程度に留めてください。

しつこい汚れが付いてしまった場合は、水で薄めた中性洗剤を使うこともできますが、変色する可能性もあるため、まずは目立たないところで試してみましょう。

どちらの場合も、水気が残らないようにすぐ乾拭きする点がポイントです。

屋外や紫外線を多く受ける場所や、土足歩行のフローリング材など表面が摩耗しやすい場所には、定期的なオイル塗装をすると長持ちします。

耐汚性を高めたい箇所には、ウレタン塗装やUV塗装がおすすめです。

経年変色を軽減する塗料もありますので、詳しくはぜひご相談ください。


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恩加島木材の取り組み

SDGs実現につながる“恩加島木材”の突板化粧板製品

私たち“恩加島木材工業”は、1947年創業以来、突板製品専門メーカーとして時代の変化を見極めながら、国内に限らず世界中の銘木を使い、良質でバラエティに富んだ内装材を作り続けてきました。

突板の常備在庫はおよそ1000束に上り、その豊富なストックから、仕様やご要望に応じて一枚一枚丁寧に選定しています。

木の特性を熟知した“恩加島木材工業”が自信を持ってご提供する突板製品は、多くの住宅や公共施設にて採用されています。

内装の木質化は、今やカーボンニュートラルや脱炭素化の実現には欠かせません。

当社では、地球環境を守るために、以下の取り組みを行っています。

国産材・地域材の利用

産地を限定した国産材・地域材を積極的に用いて、日本の貴重な資源である“森林”、そして林業・製材業を守るために取り組んでいます。

地産材の納入実績
JR北陸新幹線・長野駅 コンコース内天井(長野県産杉利用)
香川県多度津町庁舎(香川県産材利用)
某百貨店 什器(大阪府内産桧利用)
新居浜商業高校 体育館(愛媛県産材利用)
京都女子大学(京都府内産桧利用)
京都 某ホテル(京都府内産利用)
金沢サッカー場内装(石川県産材利用)
鳥取県立美術館(鳥取県産材利用)


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間伐材の利用

森を豊かにするためには、適切な間伐が必要不可欠です。

弊社では、杉・桧の小径間伐材からスライスされた突板をバランスよく配置して美しい突板化粧板を製造。

森の活性化・林業の利益化向上・廃棄物の削減などの観点から、SDGs実現に向けた取り組みとして間伐材の積極的利用を行っています。

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人工突板の開発・製造

原木 ロータリー

「人工突板」と聞くと、どうしても自然由来の素材を連想しにくいかもしれませんが、こちらも天然木材から作られた建材です。

間伐材や短期間で成長する植林樹木などの小径材を活用します。

森林の木々をこまめに伐採・植林するサイクルは、森を健康に保つためにも非常に重要なポイントです。

ポイント
“恩加島木材”は、国内で数少ない人工突板製品の開発・製造を行っている会社です。
サスティナビリティの高い建築物を目指す方は、ぜひ“豊かな森を守る”人工突板のご採用をご検討ください。


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自社工場での自然エネルギー活用

2023年10月より、自社工場へ太陽光発電システム(141kW)および蓄電池を導入し、再生可能エネルギーの創出や脱炭素化への貢献を目指します。



まとめ|価格の高いナラ材は突板化粧板がおすすめ

ナラ材は、その耐久性・耐水性や意匠性の高さから人気の高い樹種ですが、年々その流通量は減少して希少価値が高まっており、価格も高価です。

そのため、無垢材ではコスト面で採用のハードルが高く、同じ品質のまとまった量の材料を入手するのが困難なケースも少なくありません。

そこでおすすめなのが、「突板化粧板」です。

天然木の風合いを表現できる上に、材料コスト削減や軽量化を実現できます。

恩加島木材では、柾目・板目に加え、樹種によっては独特な印象を持つ“杢目”柄もご用意し、産地を限定した材料もご提供可能です。

製品は、天然木突板を使った化粧板やフローリング材、ルーバー、有孔ボードなど多岐にわたっていますので、「統一性のある洗練されたデザインを実現させたい」「コストの高い樹種を採用したい」とお考えの方は、ぜひに一度恩加島木材の突板製品をご検討ください。


日本初〉大臣認定取得|恩加島木材の“不燃突板複合板”

難燃_不燃複合板

建築基準法上で「特殊建築物」に指定される商業施設や宿泊施設などを建てる際に欠かせないのが、“不燃突板複合板”です。

天然木突板(厚さ0.2mm)に不燃材料である無機質不燃板(厚さ6・9mm)を貼り合わせた材料です。

しかし、今までの不燃突板化粧板には施工上の問題点がありました。

  • 重い
  • 割れやすい
  • 高コスト
  • ビスが効かない


それらの問題を解決したのが、恩加島木材の不燃突板複合板」です。

天然木突板(厚さ0.2mm)+ 無機質不燃板「ダイライトFAL」(厚さ6mm)+ 特殊合板(厚さ9mm)で構成されているため、ビスが効いて割れません。また、軽量化されたため、施工効率もアップします。
※幅290mmまでは本実加工も可能です。

日本で初めて大臣認定を受けたため、安心して採用していただけます。



恩加島木材が現場の様々なご要望にお応えします

恩加島木材が現場の様々なご要望にお応えします

「プリントシート材の木目だと味気なく個性が出せない」「天然木を使用したいが無垢材だとコストが高くメンテナンスが不安」そんな時には、天然木突板を使っておしゃれで安らげる空間をデザインしてみませんか?

恩加島木材の歴史ある熟練技術で、デザイナー様や設計士様の疑問やご要望にお応えします。

随時、木材選定から各種オーダー加工に関するご相談を承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。